建設リサイクルを促進するためには、様々な施策を総合的に推進することが重要となりますが、このうち、建築解体廃棄物を中心とした義務、規制等について、新たな法律を制定しました。
(1)目的
特定の建設資材について、その分別解体等及び再資源化等を促進するための措置を講ずるとともに、解体工事業者について登録制度を実施することなどにより、再生資源の十分な利用及び廃棄物の減量等を通じて、資源の有効な利用の確保及び廃棄物の適正な処理を図り、もって生活環境の保全及び国民経済の健全な発展に寄与することを目的としています。
(2)分別解体等の実施義務(図1参照)
本法律の大きな柱の1つに、分別解体等の実施義務を課すこととしています。これは、建設資材として、コンクリート(プレキャスト鉄筋コンクリート板等コンクリート及び鉄から成る二次製品を含む。)、アスファルト・コンクリート及び木材(以下「特定建設資材」といいます。)を用いた建築物等の解体工事又はその施工に特定建設資材を使用する新築工事等であって、その規模が一定基準以上のもの(以下「対象建設工事」といいます。)の受注者は、正当の理由がある場合を除いて、施工方法に関する基準に従って、分別解体等をしなければならないものです。なお、都道府県は、対象建設工事の規模について、条例でより厳しい基準を定めることができることとしています。
(3)再資源化等の実施義務(図1参照)
本法律のもう一つの大きな柱は、再資源化等の実施義務を課すこととしていることです。対象建設工事の受注者は、分別解体等に伴って生じた特定建設資材廃棄物について、再資源化をしなければならないものとしています。ただし、木材については、工事現場から一定の距離の範囲内に再資源化施設がない場合など、再資源化をするには過大なコストがかかる場合には、焼却することによりその大きさを減らせば足りること(本法律では「縮減」といいます。)としています。なお、都道府県は、この場合条例でより遠い距離を定めることができるものとしています。
また、縮減については、本法律の再資源化義務が、受注者にとって実質的には確実に再資源化を行う再資源化施設を選択する行為となる訳ですが、地域によってはこれが非常に遠いところまで運搬しなければ再資源化義務を果たすことができなくなることが考えられます。この際、再資源化に要する費用が嵩み、ひいてはこの費用を負担する発注者にとって過大なもとのなることが考えられるため、この場合は再資源化義務を免除するものです。しかし、この場合でも、廃棄物の減量を図るため、そのまま最終処分場に埋め立てるのではなく、容積を減じて埋立容積を減らすことを義務付けるものです。
(4)義務の実施を確保するための措置(図2参照)
本法律では、これまでに紹介した2つの義務の実施を確保するための措置について規定しています。その一つは、建設工事における発注者の役割の重要性を考慮し、発注者に何らかの役割を担っていただくことです。その役割として、対象建設工事の発注者は、工事の着手する日の7日前までに、分別解体等の計画等を都道府県知事に届け出なければならないこととし、都道府県知事は、その計画が施工方法に関する基準に適合しないと認めるときは、発注者に対し、分別解体等の計画の変更などを命ずることができることとしています。
また、元請業者に対しては、まず対象建設工事を請け負うにあたり、発注者及び下請業者に対して分別解体等の計画など、必要な事項を書面で説明しなければならないとし、発注者に対して義務が課せられた工事であることを知らせるとともに、届出に必要な事項について説明をすることとなります。そして、再資源化等が完了したときは、その旨を発注者に書面で報告し、併せて実施状況に関する記録を作成し、保存しなければなりません。
さらに、発注者と元請業者の契約にあたっては、契約書の中で解体工事に要する費用等を明記することで、両者が解体に関して適正な費用を負担する意識をしっかりと共有することを求めることとしています。
(5)解体工事業の登録(図3参照)
分別解体等と再資源化等の義務を実施する受注者について、その履行を確実なものとするため、従来建設業許可が不要であった者についても、解体工事業を営もうとする者は、管轄する都道府県知事の登録を受けなければならないこととなります。
また、解体工事業者は、工事現場における解体工事の施工の技術上の管理をつかさどる技術管理者を選任しなければならないほか、解体工事を施工するときは、技術管理者にその工事の施工に従事する者の監督をさせなければなりません。さらに、営業所及び解体工事の現場ごとに、標識を掲げなければならないほか、営業所ごとに帳簿を備え、保存しなければなりません。
(6)再資源化等の促進等その他の措置
再資源化によって得られた物が実際に使われなければ、本法律における義務が実施されたとしても、資源が循環したとは言えません。そこで、その利用の促進を図るため、国土交通大臣は、関係行政機関の長に対し、都道府県知事は新築工事等に係る対象建設工事の発注者に対し、再資源化により得られた建設資材の利用について必要な協力を要請することができるものとします。
また、本法律における罰則については、解体工事業者をはじめ、発注者に対しても所要の規定を設けることとしています。たとえば、解体工事業者に対しては、無登録営業等について直罰規定を、分別解体等義務、再資源化等義務に関しては、都道府県知事からの命令に対して、これに従わなかった場合に罰則がかかります。また、発注者が届出義務に違反した場合や、届出に関する都道府県知事からの変更命令に対して、これに従わなかった場合に罰則がかかります。
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