包装タイムス・バックナンバー“2000年7月度”


7月3日号ダイジェストニュース

<シート・プラスチック容器>
◇小型ながら広口容器にも対応
高汎用性の新型PET容器成形機を開発

- 日精エー・エス・ビー機械 -

日精エー・エス・ビー機械(長野県)はこのほど、樹脂から完成容器までを一貫生産する“ワンステップタイプ”のPET容器成形機で、業界最小クラスながら大型機並みの機能を備える新型機「ASB-12N/10型」を開発した。クリーンな成形環境が保てる“連続ノズルタッチ”機構を同タイプで初めて採用。広口容器や扁平容器などにも対応する汎用性を備えていることから、多品種少量生産ニーズに向け展開する。



<その他容器>
◇非木材紙容器市場拡大に拍車
中国から竹製トレーの輸入開始/成形品レベルの品質を訴求

- サウス・エリア・インターナショナル -

サウス・エリア・インターナショナル(東京都)は、非木材紙容器供給の一環として竹素材の食品用トレーを中国から輸入し、生鮮食品分野をターゲットに販売を本格的に開始する。同社はこれまで、バガス(1年草のサトウキビの搾りかす)素材の食品容器を輸入販売してきたが、今回ラインアップを強化したことで、非木材紙容器市場拡大の流れを一挙に加速させていく。



<紙器・段ボール・紙包材>
◇カミコンボード本格展開
自動機導入で量産可能に/オフィス系書類古紙をリサイクル

- オカベカミコン -

オカベカミコン(名古屋市)は、オフィスから出る書類などの古紙をシュレッダーで細かく裁断したものを材料とし、これを圧縮成形して上下を板紙で挟んだ「カミコンボード」の自動ラインを本格稼働させた。同社は、古紙の再利用やゴミ減量化を考慮し、早くから強化板紙「カミコンボード」を商品化してきたが、急増する受注に対応する必要に迫られ、今年3月に1日3tの能力を持つ生産機を導入、テスト期間を経たことから、今回本格稼働に踏み切ったもの。



<フィルム・軟包装>
◇口栓パウチが新たな選択肢に
希釈即席みそ包材で本格採用/廃棄適性も前面に8月下旬から工場出荷

- マルコメ -

マルコメ(長野県)は、8月22日から工場出荷を始める希釈用即席みその新商品「すぐにみそ汁」で、パッケージにリキャップ可能なスパウト(口栓)パウチを採用した。使い勝手のほか廃棄時のゴミ減容化などにも配慮したもので、専用の金型から同社が独自開発したスパウト部分は、より改ざん防止性を高めている。



<外装機器・資材>
◇梱包機用紙バンド発売
柔軟性など機械適性さらに向上

- 日本紙パルプ商事 -

日本紙パルプ商事(東京都)はこのほど、クラフト紙を折り込んで接着剤をコーティングした梱包機用の紙製バンド「MSバンド」を本格発売した。同製品は、プラ製バンドと同様に梱包機での使用を前提に開発したもので、最終仕様では柔軟性を高めるなど機械適性をさらに向上。また、クラフト紙の縒(よ)りひもを複数本並べて接着したタイプの紙製バンドに比べ、リサイクル性や印刷適性、低コスト性にも優れている。



<環境・包材リサイクル>
◇廃EPSを加熱せず再生
減容剤抽出と発泡剤含浸を同時に/低コスト、樹脂劣化少なく

- 鹿児島県工業技術センター -

鹿児島県工業技術センターは、廃EPSを加熱せずに再生できる新技術を開発した。EPSから溶解用の減容剤を抽出する段階で同時に発泡剤を含浸させるもので、既成技術のように減容や溶剤回収段階で熱を使わないため低コストで再生でき、樹脂の劣化も少ないことから、新しいEPSのリサイクル技術として注目されている。



<環境・包材リサイクル>
◇元京大2教授がベンチャー設立
生分解性プラの研究開発企業/バイオマス廃棄物からの製造技術など供与

- グリーンバイオ‐

今春、京都大学教授を退官した木村光氏と白石信夫氏はこのほど、生分解性プラスチックの研究開発を行うベンチャー企業「グリーンバイオ」(京都市)を共同で設立した。すでに両氏が確立したビールかす、米ぬかなどのバイオマス廃棄物を原料とした生分解性プラの製造技術を、容器メーカーやプラスチック成形メーカーにライセンス供与していく方針。



<印刷・印字>
◇24時間内にチラシ供給
高速印刷ノウハウで実現/関連会社で業務開始

- タミヤ -

タミヤ(大阪府)は、6月から“高速”チラシ印刷業務を開始した。関連会社スケッター(タミヤ内)で手掛けているもので、特売チラシなどを24時間内に印刷し、供給している。各店舗で内容の異なる「単店チラシ」は、情報の切り替わりが目まぐるしく、高速印刷へのニーズは潜在的に存在しており、すでにスーパー・小売店などから受注が舞い込み始めている。



<市場レポート>
◇生分解性プラスチック(グリーンプラ)最前線!
次世代プラとして注目/国内潜在需要は年300万t


“自然に還る”プラスチック――。使用中は通常のプラスチックと同等の機能を持ち、使用後はコンポスト(堆肥)化装置や、土中の微生物などによって完全分解する生分解性プラスチック(愛称=グリーンプラ)が国内市場に登場して約10年。以来、廃棄物処理問題など環境対応の救世主として脚光を浴びてきたが、高コストやコンポスト化インフラ整備の遅れなどがネックとなり、まだまだ普及率は低空飛行のままだ。しかし、プラスチック廃棄物問題の切り札的存在として普及への社会的要請は強く、企業の研究開発も活発化している。次世代のプラスチックとして注目を集める同プラの現状と展望を追う。




7月10日号ダイジェストニュース

<包装機・関連機器>
◇カットテープの開封率100%を実現
練り製品用新型結さつ機上市/生産能力5割向上、毎分240本に

- 旭化成工業 -

旭化成工業(東京都)はこのほど、魚肉・畜肉ソーセージやチーズかまぼこなど練り製品用の新型自動充填結さつ機「ADP-FX」と専用フィルムの新グレード「サランフィルムNew」を開発、上市した。同機は、カットテープの溶着方式を変更することで製品の開封性を高め、開封率100%を実現。生産能力も従来機に比べ5割ほどアップし、毎分240本とした。



<包装機・関連機器>
◇光源に赤色LEDを採用
安全・小型の光学式センサー発売/レーザークラス1〜2並みの高精度測定

- サンクス -

サンクス(東京都)は、光学式変位センサーの新製品「LH-50シリーズ」を開発、6月15日から販売を開始した。市場で高まっている“安全”へのニーズに最大限に応えたもので、レーザークラス1よりもさらに安全性の高い赤色LED(発光ダイオード)素子を光源に採用。しかもレーザークラス1〜2の製品と同等の高精度測定を実現した。センサーヘッド、コントローラーともに従来機に比べ大幅に小型・軽量化したことも大きな特徴。



<包装機・関連機器>
◇小型・軽量化して発売
検査用ラインセンサーカメラ

- 日本エレクトロセンサリデバイス -

日本エレクトロセンサリデバイス(大阪市)はこのほど、ラインセンサーカメラ「NXシリーズ」を発売した。同社カメラの中で最も小型で、「世界でも最小ではないか」(同社)という。高速・微細検査が要求される加工製品などの検査工程で自動化が進む中、検査ロボットに搭載したり、小さなスペースに取り付けたりできるカメラ本体の小型・軽量化ニーズに応えたもの。



<紙容器>
◇カード型CDを商品化
独自の紙製包装で保持

- もりや産業 -

もりや産業(大阪市)はこのほど、カード型CD-ROM「エーカード(@−card)」の販売を開始した。スイスの特許技術を基に8cmタイプのCDの上下部を直線状に加工、カード化したもので、独自の特殊紙製パッケージ「@−ホルダー」で保持している。容量は約30MB。企業紹介やホームページアドレス、商品紹介などの情報をインプットし、名刺代わりに顧客へ提供できる。



<フィルム・軟包装>
◇チャック付PE袋の新製品
PE2層で強度、シール性向上/3mm幅のベタシールも

- 生産日本社 -

生産日本社(東京都)は、全国各地区の代理店や規格品販売店に対し、「SSユニパック」「OPG3mmシール」「LG玉縁付き」などの新製品および新規格の説明会を行い、本格販売に乗り出した。中でも注目は「SSユニパック」。PE共押出2層とすることでフィルム強度を高めたストロングタイプのPEチャック袋で、透明性を保持しながら、ヒートシール適性も改良されている。また、初めてシール&カット法を採用したことで3mm幅のベタシールが可能となった。



<フィルム・軟包装>
◇両面防曇の極薄OPP袋
包材重量が40%軽減

- ホリックス -

ホリックス(福岡県)はこのほど、両面防曇のOPPフィルム袋「生き生きパック」の新アイテム「エコミクロン」を製品化した。フィルム厚が15μmの極薄タイプながら袋強度もあり、既存の25μm品に比べて約40%重量が軽減されている。すでに6月に専用高速サイドシール製袋機を導入しており、需注獲得に向けて本格的に営業展開を開始する。



<シール・ラベル>
◇医療品「注意表示」大きく
医療事故防止のための改善策/「禁注射」「のまないこと」「目にはいれない」

- 厚生省‐

厚生省は、医療事故を未然に防止するための具体的改善策を打ち出した。先ごろ開かれた、第2回医薬品・医療用具等関連医療事故防止対策検討会で了承されたもの。内容は、バイアル入り経口剤・外用剤には注射剤としての誤用を防ぐために「禁注射」と記したシールを貼付する、PTP包装などの外用剤には「のまないこと」と表裏に注意表示する、点眼剤に類似した容器の外用剤には「目には入れない」と赤枠内に赤字で記載するよう統一する、など。



<物流関連>
◇真横走行・旋回を実現
画期的フォークリフト/エンジン駆動式では世界初

- TMC -

TMC(大阪市)はこのほど、同社では国産第1号機となるフォークリフト「ACROBA(アクロバ)」を完成、本格販売を開始した。市販では世界初の真横走行や旋回が可能で、2ポンプ・2モーターHST 機能も装備した。国内初の運転シート回転機能も併せ持つなど、荷役の高効率化を実現するマシンとして積極的な販売攻勢をかけていく構えだ。



<物流関連>
◇高速ピッキング、整列装置
毎分100個の整列可能/センサーが瞬時に判別

- 川崎重工業‐

川崎重工業(神戸市)は、高速ピッキング&整列セル「アイライナー」を発売した。ベルトコンベア上のプラスチック容器や紙パックなどを瞬時に判別、仕分けして整列する装置で、従来のパーツフィーダーと比較して約3倍の能力(毎分100個)を発揮するという。ピッキングアーム、コンベアなどを組み込んだパッケージセルとすることで低価格化も実現した。



<物流関連>
◇小物・軽量用のラインコンベア
高機能で低価格化図る/軽搬送用でシリーズ化完了

- オークラ輸送機‐

オークラ輸送機(大阪市)はこのほど、荷物の小型化、軽量化の流れに対応した低価格タイプの新型ライン用コンベヤ「ユニコンJr.」を開発、販売活動を開始した。同社主力製品である中・重量物用のラインコンベアの設計思想を踏襲する一方で、構造の簡素化などでダウンサイジングを図った。ライン用軽搬送用コンベヤのシリーズ化は業界初で、近年の需要のすそ野の広がりに対応する品ぞろえが完了した。



<食品加工・関連機器>
◇新時代の食品加工システム「商品化」へ
賞味期間延長、廃棄ロス改善など/添加剤を不要にし、廉価も実現

- シンワ機械‐

シンワ機械(埼玉県)はこのほど、新時代に向けた食品加工システム「シンワ式フレッシュシステム」(仮称)を開発した。今秋以降、本格展開していく。システムの仕組みは、食材を容器内で完全殺菌し、調理する。賞味期間を大幅に延長し、廃棄ロスを改善するほか、添加物が不要。さらに無人化や食材保存工程が不要になることなどにより製品の低価格化を実現できる。「食リ法」の成立などで食品賞味期間の延長が食品包装業界で改めて大きな課題に浮上している中、有効な解決策として注目される。



<長野県特集2000>
◇包装から見た県内経済事情
ハイテク産業の“行方”に懸念/農産関係には明確な提案必要に


一定量の包装資材が動く分野で、長野県の特色を際立たせる業界の1つが液晶やパソコン、携帯電話に代表される精密・ハイテク産業である。これら製品の需要が好調なことから、表面的には県全体が潤っているように見えるが、実際は一部を除き厳しい状況というのが包装関係者の見解だ。製造業については、設備投資意欲が上向きはじめ、包装資材にも動きが見られるようになっているが、価格が低迷していることから、包装企業の経営の実態は芳しくない。また、農産物業に対しても、出荷数量・金額ともにダウンしているという。生産量日本一のきのこ類も競争激化、価格低迷が続いているため包装機を含めた設備更新はおぼつかない状況だ。このため関連機器メーカーには需要家に対し、具体的かつ明確な提案がさらに強く求められている。一方、農業自体が縮小傾向にあるため、この分野に展開してきた県内包装企業は、プラ雑貨全般など周辺ビジネスへの事業拡大ないし転換にも意欲をみせている。




7月17日号ダイジェストニュース

<ユーザー>
◇一般用目薬の生産再開
改ざん防止の新包装を採用

- 参天製薬 -

参天製薬(大阪市)は、同社への異物混入脅迫事件の対応で休止していた一般用目薬の生産、店頭販売を7月初旬より再開。これを機に、印刷を施したシュリンクフィルムなど、異物混入や改ざん防止への二重、三重の配慮がなされた新パッケージを採用した。出荷量を順次回復させ、8月中旬には全商品が店頭に出揃う見込みとなっている。



<その他の容器> 
◇ネジ式アルミ缶を上市
清涼飲料用で大手が採用

- 武内プレス工業 -

武内プレス工業(富山市)はこのほど、アルミシームレス缶「TD缶」を上市した。大手飲料メーカーで清涼飲料用に採用。新製品はリサイクルを容易にするため、キャップとボトル本体に同一素材のアルミを使用。ガスバリア性や再栓できるリシール性など、多数の優れた点を持つ。また、継ぎ目のないモノブロックタイプなので、肩部の印刷など、パッケージデザイン性を強くアピールできる。



<紙器・段ボール・紙包材>
◇業界初、紙・板紙のポータルサイト
「売ります」がまもなくスタート

- イービストレード -

日商岩井(66%)とNTT-X(34%)の合弁会社、イービストレード(東京都)はこのほど、紙・板紙業界でわが国初の本格的商業ポータルサイト「ベイツポ・ドット・コム」を開設した。情報系のサイトはすでにスタートしており、紙・板紙の市場状況や生産などの統計、紙の知識や銘柄一覧などを掲載している。主目的の電子商取引サイトについては、在庫を公開して販売する「売ります」を7月末にスタートさせる。



<紙器・段ボール>
◇ボブストとBHS社がパートナー関係に
相互の経営資源、技術を有効活用


紙工機械メーカーのボブストグループ(本社・スイス)とBHS社(ドイツ)は先ごろ、お互いの経営資源と技術を有効に活用することで合意した。コルゲーターと段ロール、それに関連したサービス活動については、BHS社がボブストグループのこれまでの活動を引き継ぐ。両者は今後、1つのグループとして、広範にわたるシステム、サービスを提供していく。



<紙器・段ボール>
◇段ボ関連会社統廃合へ
今年10月1日にも中核の3社に

- レンゴー -

レンゴー(東京都)は、関係会社156社のうち主要段ボール会社について、今年10月1日をめどに大和紙器とセッツカートン、日之出紙器工業をそれぞれ中核とする3つの会社に統合・再編成することを決定した。規模の拡大を図るとともに営業戦略の再構築、人材および設備の有効活用、間接部門の合理化などを実施し、経営効率の向上、収益力の強化を目指す。



<フィルム・軟包装>
◇無菌化製品の原料がFDA認可取得
“安全性”での展開を一層強化

- 中国パール販売 -

中国パール販売(東京都)のチューパグループで販売展開する各種無菌化製品「ゼオシリーズ」の原料「ゼオミック」が、6月6日、FDA(米国食品医薬品局)の認可を取得した。無機抗菌剤を用いた包装および関連商品での取得は日本初。国内需要家に向け、今後、より安全性をアピールしながら包装資材を含む抗菌製品市場の開拓を進めたい考え。



<樹脂原料>
◇生分解性樹脂分散体を販売
接着剤、コート剤として幅広い用途に

- ミヨシ油脂‐

ミヨシ油脂(東京都)は、生分解性樹脂「修飾デンプン樹脂」を微量の分散剤で水に分散したエマルジョン「ランデイ」を開発、販売を開始した。ランデイを紙などの対象物に塗工、含浸、スプレーした後、100℃以上の温度でプレス加工すると塗膜が形成される。塗膜が形成された紙は耐水性や耐油性があるため、各種包装容器、耐水紙、水切り紙、生ゴミ袋などに使用できる。木材に対する接着力が強いのも特徴。



<シール・ラベル>
◇バーコードプリンターの新シリーズ
総合性能と接続性を一新した拡張モデル

- サトー -

サトー(東京都)はこのほど、4インチバーコードラベルプリンター「MR400e/410e」の販売を開始した。同機は、同社のベストセラー機MR400シリーズの拡張モデル。総合性能(印字データの受信、編集、印字)の向上と高速化を実現し、ネットワークシステムへの接続を容易にした。



<環境・包材リサイクル>
◇びんのデポジット制がスタート
京都の酒販47店舗で


酒びんの回収を試みる「ローカルデポジット京都方式」が、京都市上京区・北区内の小売酒販47店舗で、6月末から順次スタートした。びんには、店名と返却時に支払われる代金(デポジット)を表示したラベルを貼付してあり、ラベルが自店のものに限り、代金を支払ってビンを回収するという方式。近年、従来の「通いびん」に代わってワンウェイびんが急速に拡大。処理の問題が懸念される中で、地域に密着した酒販店の新たな試みに注目が集まっている。



<ISO関連>
◇環境ISOを認証取得
昨年開設の関東物流センターで/食品包材卸・商社で初

- 水野産業‐

水野産業(東京都)は6月27日、昨年開設した関東物流センター(埼玉県)でISO14001を認証取得した。食品包材卸・商社でのISO14001認証取得は同社が初めて。今後、同ISOの運営をより有効に機能させるため、来年5月(1回目のサーベランス時)には、本社と大阪支社に範囲を拡大し、認証取得する予定。



<プレ・2000号特集>
◇「昭和41年」激動の時代───包装が変わった
創刊の「包装タイムス」から当時の包装産業を読む

昭和41年9月9日に第1号(創刊号)が発刊された「包装タイムス」が、34年目の今年10月に2000号を迎える。当時の記事を通し、包装産業の栄枯盛衰の歴史を学ぶだけでなく、当時の包装産業と今日の包装産業とを比較しながら、“古きをたずねて新しきを知る(温故知新)”手がかりにしたい。


◇「あの日、あの時」
「包装革命」の時代を駆け抜けた“包装人

「包装タイムス」創刊の昭和41年は、まさに「包装革命の時代」の幕開けだと言っても過言ではない。昭和30年代初めにプラスチックが登場。下着や靴下、背広やズボン、さらには靴やカバンにもプラスチック素材が使われだし、広く包装材料にもプラスチック素材が使われはじめたのがまさにこの時期、昭和40年代の初頭だった。そんな時代を駆け抜け、今日も「第一戦」で活躍されている方々にスポットを当て、「あの日、あの時」を語ってもらう。


◇統計で見る包装産業
時代のニーズで大きく変化

「包装タイムス」の創刊当時にさかのぼり「包装資材容器・包装機械出荷統計」などの資料を中心に、過去の記事、時代背景などを考慮して、包装産業全体の移り変わりをたどる。当時、包装関連の出荷統計規模は、現在の9分の1程度だった。その後、包装産業の成長推移には、時代背景と密接にからみながら、包装資材・機器ともに驚異の発展を遂げることになる。包装産業の歴史は、「環境」「品質」「安全」のキーワードに凝縮されると言っても過言ではないだろう。このパートでは、創刊当時から、現在までの30年におよぶ包装産業の動向を、紙・プラスチック・硝子・金属・包装機械・プラスチック加工機械などの分野別に紹介する。




7月24日号ダイジェストニュース

<特報・雪印乳業事件の衝撃@>
◇包材市場への打撃必至
牛乳・乳製品全体への波及懸念/単純には喜べない代替需要


「包材売上高の激減は到底避けられない」──。雪印乳業を需要家に持つ包材サプライヤーから悲痛な声が上がったのは、今回の食中毒事件の全貌がほぼ明らかになった時だった。事件発生当初は、その推移を楽観的に見る向きもあったが、事が一過性の問題として片付けられないほど深刻なことがはっきりしたからにほかならない。被害状況は大方の想像をはるかに超え、実に1万4,000人もの食中毒患者を出し、21工場の操業停止という最悪の事態を招くまでに至ったが、事件発生当初、これを予見できた関係者がほとんどいなかった。



<包装機・関連機器>
◇横型バンドシーラーを発売
脱気後にガス充填が可能

- ユニバック -

ユニバック(大阪市)はこのほど、脱気ガス充填装置を搭載した横型バンドシーラー「KS-01FG」を開発、販売を開始した。真空に近い強力脱気を行う“脱気のみ”、窒素ガスなどを注入する“ガス充填のみ”、これらの動作を連続して行う“脱気した後ガス充填”の3通りの操作ができる。



<シート・プラスチック容器>
◇レトルト用ラミネートチューブ
ロック方式の口径部で再封容易に/医療食品分野での市場開拓狙う

- 共同印刷 -

共同印刷(東京都)はこのほど、レトルト殺菌処理が可能なラミネートチューブの新製品を開発した。PP/アルミ箔の5層ラミネート原反から成形したもので、120℃・30分のレトルト殺菌処理に対応。口径部に“ロック方式”を採用しており、ネジ式に比べ、口で直接内容物を摂取する場合の違和感解消や、リキャップ性の向上も図られている。高齢者用医療用流動食分野などに展開し、初年度1億円の売上げを目指す。



<紙容器>
◇新・福岡工場の建設に着工
西日本の製品供給と開発強化へ

- 凸版印刷 -

凸版印刷(東京都千代田)はこのほど、新・福岡工場(古賀市)の建設に着工した。西日本地区への飲・食料向け製品の供給ほか、非食品パッケージの開発強化が目的。生産工場の自動(FA)化ラインなど最新鋭の設備と最先端の技術を導入し、紙器や軟包材、液体用紙容器などを生産する。完成は2001年6月予定。



<その他容器>
◇町おこし目的に実施
天然素材100%の容器生産へ

- 三日月ナプラス企業組合 -

三日月ナプラス企業組合(兵庫県揖保郡新宮町)は、“町おこし”を目的に、雑草や竹、木など天然素材100%の原料を用いた容器類を生産する。機械メーカー6社がプロジェクトチームを編成し、来年5月の稼動を目指して生産プラントを設置する予定。販売先は神戸市長田区をはじめ、1都2府6県の「ナプラスグループ」。



<シール・ラベル>
◇7月から全面的にPETへ
熱収縮ラベルとキャップシールで

- 月桂冠 -

月桂冠(京都市)は、小型容器の包装に使用するシュリンクラベルと、容器のびん口を包むキャップシール素材を、塩ビからPETへ全面的に切り替えた。焼却処理などに伴う各種環境負荷への懸念から、数量の多いアイテムから順次切り替えを進めていたもので、6月末にこれを完了、7月製造分からすべてPET素材とした。



<フィルム・軟包装>
◇超難燃・再生型EPS開発
ビーズに難燃剤を塗布

- トーソウ化研‐

トーソウ化研(大阪府)は、難燃性とリサイクル性に優れた発泡スチロール「カルック」を開発した。予備発泡段階の発泡ビーズの表面にホウ酸系の難燃剤をコーティングしたもので、通常のEPSに比べ2倍以上の難燃性を発揮する。ペレットなどへの再生もしやすく、再生品ではさらに難燃性も向上するという。



<紙系緩衝材>
◇パルプと酢酸が原料
生分解性バラ緩衝材発売/水の相変化で約70倍に発泡

- 鈴木総業 -

鈴木総業(静岡県)はエムジーと共同で、生分解性のバラ緩衝材「ガイヤエース」を発売した。天然素材のパルプと酢酸から作られるセルロースジアセテートが原料で、発泡には水の相変化に伴う急激な体積膨張を利用した水発泡技術を用い約70倍に発泡する。“チクワブ”のような特殊形状(意匠特許出願済み)にすることで高い緩衝性を発揮する。



<ISO関連>
◇ISO9001を認証取得
本社工場と東京営業所で/シール・ラベル印刷機で国内初

- 岩崎鉄工 -

岩崎鉄工(大阪府)はこのほど、本社工場と東京営業所でISO9001の認証を取得した。シール・ラベル印刷機の製造で同シリーズの取得は国内初。昨年5月にキックオフし、ほとんどの幹部が内部監査員の資格を取るなど、積極的に社員の教育や社内管理の強化に取り組んできた。



<最新動向PETボトル市場(上)>
◇深刻化する「利益なき繁忙」の構図
関連各業界“瀬戸際”局面に


急成長の起爆剤である500mmPETボトルがなお拡大を続けるなど、恐らくオール包装業界の中でも有数の成長分野であるPETボトル市場だが、業界各社の経営状況は「成長」とは裏腹な様相を見せている。というよりも、一部のキャップメーカーや限られたパリソン成形機メーカーを除けば、成長市場を支える関連業界各社はあげて、“瀬戸際”局面に追い込まれているのが実態だ。「利益なき繁忙」の構図がさらに深刻化する成長市場の特徴的な最新動向を追ってみた。



<特集・ISO14000シリーズの現在>
◇環境対応企業へのパスポート
脚光浴びる環境ISO /客観的な管理規格の必要性で


近年の環境論議の高まりが行政のみならず、企業にも責任ある環境対応の必要性を求めるに至ったことは周知の通り。企業にとっては、消費者に製品やサービスを供給する過程で発生する廃棄物の量をいかに減らし、いかに適切にリサイクルするかがその企業のイメージを大きく左右する。ただし、環境問題への対応に企業の独り善がりでなく、客観性が求められているのも事実。そこで現在脚光を浴びているのが国際環境管理規格のISO14000シリーズだ。環境対応が企業にとって必須課題に浮上した現在、取引先から要求されるケースもあり、対外的にも認証取得は欠かせないものとなっている。廃棄物問題でバッシングの的になっている包装産業にとっても、同シリーズを認証取得する意義は大きい。



<プレ・2000号特集>
◇包装産業「今昔」物語
昭和40年代からの「正の遺産を21世紀へ」

包装タイムスが創刊した当時(昭和41年)と今日の包装産業を比較検証。包装産業の「今昔」としてまとめた。


◇循環型社会への挑戦始まる
上半期(1〜6月)ニュースフラッシュバック

容リ法完全施行、循環型社会形成関連基本六法の成立など、包装産業にとって大きな動きのあった今年上半期(1〜6月)に、紙面のトップを飾ったニュースや読者からの反響やインパクトのあった記事を「縦割」ごとにまとめた。




7月31日号ダイジェストニュース

<特報・雪印乳業事件の衝撃A>
◇安易な“無菌神話”の崩壊
防波堤としてのシステムの限界/問われるユーザーのモラル


雪印乳業の集団食中毒事件は、厚生省の専門評価会議を経て操業停止中の同社直営20工場について安全宣言が出されたことで、新たな局面を迎えようとしている。しかし、今回の事件がもたらす包材市場への損害が甚大となることは免れない。そして、深刻な問題として浮上してきたのが、雪印乳業がユーザーであるために生じた“無菌充填包装システムの安全性神話”に対する需要家の信頼の揺れだ。こうした揺れがそのまま無菌充填包装システム市場に打撃を与える可能性も指摘されているが、何より、最新の包装システムをしても消費者に対する安全性が担保できないという認識の拡大が懸念される。従来多くの関係者から信奉を集めてきた無菌充填包装システムは、なぜ今回の事件の防波堤となりえなかったのか。



<シート・プラスチック容器>
◇2.7リットルPETを環境配慮型に
PP素材の取っ手廃止など

- サントリー -

サントリー(大阪市)は、ウイスキーなどに使用している2.7リットルPETボトルを、従来よりリサイクル適性を高めたものに7月製造分から切り替えた。PP素材の取っ手を廃止し、ボトル形状を変更することでハンドリング性も確保。また、タックラベルを採用することで、家庭での分別排出も容易にした。



<その他容器>
◇試験プラントを導入
竹容器サンプル生産開始

- 東亜システムプロダクツ -

東亜システムプロダクツ(京都市)は6月末、竹やアシ、ハギを原料とした成形容器「G・THEC(ジーザック)」の試験プラントを社内に導入した。すでに7月中旬からサンプル生産に入っており、来年1月には福井県内に商業プラントを設備し、年間約2億個を生産する計画。また、今年8月中旬に販売会社も新設する。



<紙系緩衝材>
◇段ボール製成形緩衝材
容リ法対応で拡販本格化

- 凸版印刷 -

凸版印刷(東京都)は、抜き型メーカーのカワグチ(埼玉県)から、家電製品や情報通信端末などの梱包用緩衝材で使われる段ボール製成形緩衝材「TPトレー」の国内専用実施権(一部地域を除く)と海外8カ国の特許を取得した。これを機に、本格的な拡販と海外展開を開始する。容リ法の再商品化義務の非対象製品である点を訴えるとともに、発砲スチロール製緩衝材の切り替え需要にも対応していく方針。



<環境・包材リサイクル>
◇容器包装システム検討会設置
容リ法の問題点、改善策を提示


有識者や市町村、事業者などの関係者をメンバーとする「容器包装リサイクルシステム検討会」の第1回会合が7月6日に行われた。容リ法の実施状況と問題点を整理し、改善策の選択肢を提示するとともに、今後の議論の方向性を明確にすることが目的。同会合では、容リ法の現状が報告されたほか、今国会で論点となった収集費・保管費用等の市町村負担の増大、PETボトルの増大、リターナブルの衰退、識別表示などについて今後検討を進めていくことを確認した。



<環境・包材リサイクル>
◇PETボトル前年度比1.6倍
実施市町村増もスチール缶減/平成11年度分別収集・再商品化実績

- 厚生省 -

厚生省は、容器包装リサイクル法に基づき分別収集を実施した市町村の平成11年度の分別収集量および再商品化量をまとめた。これによると、分別収集の対象となる7品目のうち、特にPETボトルに関しては、収集体制の整備や生産量の増加などにより前年度比1.6倍の量が収集された。逆に唯一減少したのがスチール缶で、分別収集を実施する市町村は増加しているが、発生量がここ数年減っていることが要因のようだ。



<ISO関連>
◇香芝工場が品質ISO取得
医薬、化粧品などの成形包材

- 柏木モールド‐

柏木モールド(大阪府)は6月9日、香芝工業(奈良県)を対象にISO9002を認証取得した。登録範囲は、プラスチックシートおよび不織布をシート成形した製品製造。医薬品や化粧品のパッケージをはじめ、同工場が取り扱うアイテム数は3,000種類以上に上るため、取得までの準備期間約3年の内、約2年を基本システムの構築にあてた。



<印刷・印字>
◇W&H社の新型フレキソ印刷機
性能大幅アップで低価格実現

- リッカーマン・日本 -

センタードラムタイプ(CI型)・フレキソ印刷機のリーディングメーカーとして知られるW&H(ウィンドミュラー&ヘルシャー)社は、先のドルッパおよび同展会期中に本社工場(ドイツ)で開催したハウスショーで、紙・プラスチックフィルム用の各種新型印刷機を公開した。いずれも性能を大幅に向上させながらコストダウンの追究により低価格を実現、大きな注目を集めた。日本における総代理店のリッカーマン・日本(東京都)は、これら新型機を日本市場へ積極的に展開していく方針。



<最新動向・PETボトル市場(下)>
◇3万6,000本時代に突入
高速成形とインラインブローの行方


PETボトル市場の「利益なき繁忙」を演出する最大の背景は、低価格合戦の過熱にある。より廉価なボトルの実現には、モールダーにとっては何より高速成形、需要家にとってはインラインブローの導入がカギ。生産性の改善とデリバリーコストの削減も不可欠となる。現在、某大手モールダーのアセプラインには、毎時1万8,000本の能力を持つワンステージタイプの成形機が約2台組み込まれているという。つまり、充填ベースでは1時間3万6,000本、「1秒10本」の時代に突入しているわけだ。




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