◇発想の転換でジャンプアップ 容器包装リサイクル法対応が重要課題 容器包装リサイクル法がいよいよ来年から全面施行になる。 昨年末に発表される予定だったガイドラインの策定が遅れているが、どちらにしても包装産業、エンドユーザーにとっては今年が重要な年となる。 今年の包材の使用量(重量ベース)によって、来年の再商品化費用(リサイクル費用)負担が変わってくるからだ。包装産業は「何をどこに、どれぐらい販売したか」、ユーザーは「どのような包材を、どのくらい使用したか」を克明に把握するのが今年だ。その重量データをもとに2000年度の費用負担が決まるわけだ。 この動きを知らない包装関係の企業は多い。国・行政のガイドライン策定の遅れ、PR不足が大きな要因だ。法律を決め、それを「官報に掲載すれば事足れり」という姿勢に一番の問題がある───。 とはいっても、現実に容器包装リサイクル法の全面施行は目の前に迫ってきている。 包材メーカー、コンバーターにとって今年は、これにどう対応するかが最重要課題だ。 この法律の影響で、包装産業は大きく変わろうとしている。その一つに挙げられるのが包材の軽量・減量化だ。ブロー容器に替わり、スタンドパック(スタンドパウチ)が大きな伸びを見せそうだ。 重量が軽いため、再商品化の費用負担が軽減されるのと省資源という観点からユーザー各社が注目しているためだ。 スタンドパックは、当初ブローボトルの詰め替え用容器として登場した。それが最近はスタンドパック自体にリジット性を持たせ、口栓を底に付けたりしてボトルの代替としての機能を持たせたものが登場している。米国ではこのスタイルの包装が急増しており、日本でもこの傾向は、今年はさらに急速に進むものと見られ、中小のコンバーター各社もスタンドパック製袋機の増設に踏み切るところが目立ってきている。 今年、さらに加速化しそうなのが、容器の紙化傾向だ。すでに昨年から目立ちはじめ、外食産業のテイクアウト用容器、電子レンジ対応容器など、今まで使われていなかった分野での紙化が著しい。板紙製容器やパルプモールド容器の進出が目に付きはじめている。また、緩衝材分野の採用も増えている。 装置産業関係は厳しい状況が続いている。銀行の貸し渋りで倒産する企業が目立ちはじめ、政府の支援が大いに望まれるが、現在の大企業中心の政策では、中小企業が圧倒的多数の包装産業は厳しい局面に立たされているといっても過言ではないだろう。 しかし、ある好調な機械メーカーは、「もはや低コスト・ロープライスの時代に入ってきた。機械メーカーは従来の包装ではなく、発想を変えた設計・製造で低コスト機の開発に力を入れることが重要だ」と強調する。売れる低コスト機の開発に力を入れているメーカーは増えている。全企業が厳しい環境になっているわけではないようだ。 長い景気低迷が続いているが、ウサギ年の今年、発想を変え、景気低迷からジャンプアップしたいものだ。
<総力特集「容器包装リサイクル法@」>( 2〜11面) ◇完全実施まで 1年 3カ月 様々な矛盾抱えて最終ラウンドに/包装産業界の意向反映するのは今 容器包装リサイクル法完全実施まで、わずか 1年 3カ月を残すのみとなった。しかし、まだ多くのことが決められていないのが現実だ。「特定容器」か「特定包装」かの区別を示す容器包装ガイドライン、特定容器の製造等事業者と利用事業者の区分けをするグレーゾーン問題、何をもって「再商品化」と見なすのかなど、解決しなければならないことが山ほどある。しかし、現実には多くのことが今年に持ち越されてしまっている。繰り返すが残された時間はあとわずかしかない。その間に行政には実に多くのことを決めることが求められている。しかも迅速にだ。 自らの企業で製造または利用している包材が「特定容器」か「特定包装」かによって、負担する再商品化(リサイクル)費用の額は大きく異なる。ある包材が「特定容器」と見なされれば、包材メーカーにも負担がさかのぼるため自社で製造する包材にかかるリサイクル費用を指定法人に支払わなければならない。逆に、「特定包装」だと、その包材を使用している企業のみにリサイクル費用の負担が発生する。 今後、プラスチック容器包装リサイクル推進協議会と紙製容器包装リサイクル推進協議会を中心に、「特定容器」か「特定包装」かを判断する判定委員会なるものが設けられることになるだろう。しかし、包材を「容器」と「包装」に分けることはナンセンスだと本紙は繰り返し主張してきた。包材を 2つに区分けすることに何の意味があるというのだろうか。 もし、「容器」と「包装」に分けることで、中身メーカー側に包装材を削減するインセンティブが働くなら、それもまた意味のあることといえよう。しかし、中身メーカー側が 100%の負担を避けるために、「特定包装」を「特定容器」に切り替えたりするだろうか。 昨年末に開かれたプラスチック容器包装リサイクル推進協議会のセミナーでは、通産省リサイクル推進課の田川和幸課長補佐が講演。「汎用的なものを購入して中身メーカーが購入した場合、中身メーカーが包材の製造等事業者」と説明したが、個別ケースについて包材メーカーから判断を聞かれた際、答えられない場面もいくつか見られた。通産省が包材の製造工程をどれだけ把握した上で、判断しようとしているのか理解に苦しむ。つまり、包材の製造工程はそれだけ複雑で、どこを対象とするかは一概に判断できないといえよう。 こうしたみると、本紙がこれまで主張してきたように、中身メーカーが一律にリサイクル費用を負担する方が、「容器包装判定委員会」などという意味のない組織をつくるより、よほど理にかなっているのではないか、と思えてくる。包材を削減するか、しないかは中身メーカーが判断することであり、包材メーカーが自らリサイクル費用の負担を減らすために、わざわざ包材を削減するなどあり得ないだろう。 とにかく、法文が今のままであるかぎり、永久に容器か包装かの判断をし続けなければならない。だが、包材メーカーの負担が法律で義務づけられているかぎり、中身メーカーが自ら法律の改正を訴えることはありえない。やはり包材メーカーが一体となって訴えていくほかないだろう。
<包装機械関連機器>(14〜17面) ◇昨年は生産額 2度目の大幅ダウン 円安で輸出には若干の明るさ
包装機械市場は今、“冬の時代”を迎えている。
<プラスチック成形・加工機械>(19〜23面) ◇好不調、機種別で明暗 加速する新機種開発と改良
プラスチック成形・加工機械全体では、プラス材料は見当たらない。
<容器>(26〜29面) ◇容リ法対応が最大の焦点 バリアフリーも次代のテーマに浮上
今年の容器分野は、容器包装リサイクル法対応を視野に入れた新製品開発が急速に進む可能性が高い。
<フィルム・軟包装>(31〜35面) ◇機能性が需要拡大のカギ 素材メーカーに求められる需給意識
フィルム・軟包装分野は、今年も“環境対応”と“機能性”をキーワードに、素材の特徴を生かした展開が加速する公算は大だ。
<紙器・段ボール>(38〜41面)
過去最高を記録してきた段ボール業界も、景気低迷の影響で荷動きが悪く、さすがに昨年はマイナスを記録した。
<外装>(43〜47面) ◇“跳躍・飛躍”の 1年を期待 競合企業同士の共同・協調化
“日本列島総不況”だった昨年は、当然ながら外装産業もその括りの中に入っていた。国内消費の低迷は、工業製品の生産量・出荷量を減少させ、その輸送量も減ってしまう。
<パッケージ印刷>(50〜53面)
パッケージ印刷の分野では、オフセット、グラビア、フレキソ、スクリーンとも、印刷機械はおしなべて状況は厳しい。プリンター(印刷企業)が設備投資を手控えているからだ。
<シール・ラベル>(55〜59面) ◇今年こそ膨らむ回復への期待 エコロジー関連、シュリンクなどに萌芽
一般ラベル製品はタック紙の需要がおととし後半から低迷していることからも分かるように、厳しい状況が続いており、今年も回復するかどうか見通しが立たない状況だ。 |
<包装機・関連機器>
- イマージュ -
<シート・プラスチック容器> ◇上海工場が生産開始 プラ加工システム機器メーカーの中国現地生産は初
- カワタ -
<紙器・段ボール> ◇新会社「ユーテック」設立 コルゲーターのメンテを中心に
- 梅谷製作所 -
<フィルム・軟包装> ◇軟質POシート上市 塩ビ並み高透明・高光沢性/専用機で各種融着加工
- 出光石油化学 -
<環境・包材リサイクル> ◇廃プラの高炉利用を計画 2008年に年間20万t
- 住友金属工業 -
<環境・包材リサイクル> ◇プラ包材の再商品化手法を油化、高炉、ガス化に限定 紙製包材は再生利用とRDFに
<鮮度保持関連> ◇自己認証マークは「SIAAマーク」 抗菌製品の自主規格を発表
- 抗菌製品技術協議会 -
<総力特集「容器包装リサイクル法A」>(13〜24面) ◇主要ユーザー各社の取り組み 待ったなし!回収・改良・省資源/全面施行カウントダウンで対応に拍車
<到来!HACCPシステム本格生産時代>(25〜36面) ◇強まる流通サイドの圧力 避けられない世界標準化の動き
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<包装機・関連機器>
- 高木産業 -
<シート・プラスチック容器> ◇A-PETシート製造装置導入へ 容器成形までの一貫化志向/2〜3月に設置
- 栗原製作所 -
<シート・プラスチック容器> ◇ISO9002を認証取得 全工場・販売・管理部門で
- 日本プラスチック工業 -
<紙器・段ボール> ◇非木材紙製容器を輸入販売 中国・緑州開発のパルプモールドタイプ 米FDAが安全性承認
- サウス・エリア・インターナショナル -
<フィルム・軟包装> ◇脱アルミ化対応の新バリア包材 ユポと透明蒸着の組み合わせ/お茶で採用進む
- 王子油化合成紙 -
<フィルム・軟包装> ◇カートリッジ式詰め替えパウチ ヘアケア商品で初採用
- 昭和丸筒 -
<シール・ラベル> ◇ISO9002を認証取得
- 王子化工 -
<環境・包材リサイクル> ◇川崎工場でISO14001取得/ガラスびん業界で初めて 2000年までに全工場で取得へ
- 東洋ガラス -
<物流・ロジスティクス> ◇半導体の搬送システムを受注 独セミコンダクタ300社のテストライン向け
- 村田機械 -
<鮮度保持関連> ◇抗菌剤・製品の自主規格 自己認証登録方式でスタート/業界・消費者の対応が今後の焦点
- 抗菌製品技術協議会 -
<業況アンケート(下)>(3〜4面) ◇トップはこうみる1999年/卯年 後半回復基調に/資材メーカー・商社に明るい見通しも
<総力特集「容器包装リサイクル法B」>(5〜11面) ◇プラ包材の再商品化は油化・高炉・ガス化に 紙製包材はRDF・再生紙/多様な再商品化技術の確保を
<パッケージ・バリアフリーアンケート>(13〜23面) ◇新世紀の包装の課題と変化 共生時代の本格的幕開け “人にやさしい”との視点は包装を変えるか?
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<包装機・関連機器>
- キーエンス -
<シート・プラスチック容器> ◇PET樹脂発泡体製法の特許実施権を供与 米国イーストマン社に初めて/日、韓、台除く地域で食品容器用途に限定
- 積水化成品工業 -
<シート・プラスチック容器> ◇PSP成形子会社を売却 アテナ工業の関東工場に
- 鐘淵化学工業 -
<紙容器> ◇ケナフ容器の品ぞろえ強化 浅底のプレートタイプ投入
- 日本デキシー -
<その他容器> ◇可剥離型接着剤を開発 温水で異種材料を容易に分離/鐘紡が化粧品容器に採用
- 化研テック -
<シート・プラスチック容器> ◇食品残さを樹脂に配合 シート・容器化技術を完成/フスマ、オカラを有効利用
- 赤松化成工業 -
<紙器・段ボール> ◇片段積載機を開発 紙のソリなどにも対応
- 大和メカニック -
<フィルム・軟包装> ◇「スーパーニール」を設備増強 需要急増に対応し安定供給を図る/今秋から年産3,500t稼働
- 三菱化学興人パックス -
<外装機器・資材> ◇部品共有化で低価格実現 ガムテープ繰出機の新製品/コスト競争力武器に需要増狙う
- パックウェル -
<シール・ラベル> ◇ラベル業界に新需要浮上か 水産物に環境ラベルの可能性/資源保護でFAO採用検討
<物流関連> ◇国内初アルミ製リフター 初年度約1,000台見込む
- をくだ屋技研 -
<環境・包材リサイクル> ◇超軽量で耐久性も向上 びん製造の新技術を開発/透明びんに樹脂、ゴムをコート
- 東洋ガラス -
<環境・包材リサイクル> ◇PSに環境ホルモン作用なし 日米欧の研究結果で明らかに/独・BASF社のクレーナー氏が発表
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