循環経済新聞・バックナンバー“2010年2月度”
2月1日号ダイジェストニュース
新年春一番特別号No.1 アミタは、本年5月に、北九州エコタウンエリアの響灘臨海工業団地内に新たな再資源化拠点となる「北九州循環資源製造所」を開設する。敷地面積は、1万7061平方メートルで、年間9万6000トンの生産能力を持つ。初年度は、約1万8000トンの製造を見込み、次年度以降はフル稼働を目指す。 ◇RPF製造を積極推進
産業廃棄物・一般廃棄物収集運搬、産業廃棄物中間処理、下水道清掃・工事、浄化槽保守点検、汚泥の脱水、建物解体まで、幅広い事業を展開する三栄興業(本社・埼玉県三郷市、鈴木勝彦社長)は、2011年度に迫った東京都中央防波堤外側処分場への廃プラスチック埋立禁止やリサイクル促進を念頭に、廃プラ・紙くず、木くず、繊維くずでつくる固形燃料(RPF)の生産を強化することにした。 ◇液肥のCO2排出総量を表示
廃棄物収集運搬・処理を手掛けるアースサポート(島根県松江市、尾ア俊也社長)は、食品残さを原料にした液肥の製造などの過程で排出されるCO2の総量を表示する「カーボンフットプリント(CFP)」を導入した。経済産業省がCFP推進のため設けた制度に基づき、廃棄物処理業としては初の認定を取得。併せて製品のカーボンオフセットも開始した。 ◇脱水能力、2年後に3倍へ
苫小牧清掃企業組合(北海道苫小牧市、渡辺健治理事長)の汚泥リサイクルプラント「エコワークス苫小牧」では、2年後をめどに無機汚泥プラントの脱水プレス機を増設する。 ◇それぞれの立場で発言
プラスチック容器包装リサイクル推進協議会は1月22日、福島市にてプラスチック製容器包装リサイクル第4回「自治体と事業者の交流会」を開催した。 ◇木くず再資源化施設が稼働
建物解体業、産業廃棄物の収集運搬・処分業を手掛ける、駿河サービス工業(本社・静岡県御殿場市、高橋通哲社長)は、同社3カ所目となる屋内型木くず再資源化施設「松田工場」(神奈川県松田町)を本格稼働させた。破砕した木くずチップは製紙原料や燃料用などとして、製紙会社に販売する。一般廃棄物処分業(松田町)の許可も取得した。 ◇9割の金属をリサイクル
電気めっきを処理するのは難しい問題だ。これについて、電気めっき汚泥総合利用産業化の模範プロジェクトは、浙江省温州市で実行可能性の研究報告を行った。あらかじめ審議のうえ、専門家たちの肯定された。プロジェクトは中国国内の技術の上で空白を埋め、2010年に温州市で産業化を実施する予定だ。 ◇青森県が環境再生計画案
青森県田子町と岩手県二戸市にまたがる県境不法投棄事案について、青森県は1月15日、不法投棄現場の環境再生計画の策定に向けて意見募集を始めた。2月10日(水)まで意見募集を行い、20日(土)に開催される原状回復対策推進協議会に諮られる。 ◇これからの循環型社会 第二次循環基本計画進捗状況の点検結果案にみる
中央環境審議会循環型社会計画部会は、第二次循環型社会形成推進基本計画の進捗状況の第2回点検結果案を公表、2月4日まで意見公募を行っている。同案は循環型社会形成のための取り組み状況等について評価し、今後の課題と取り組みの方向を提言するもの。全体として循環型社会に向けた取り組みが着実に進んでいるとみられる。一方、課題として循環型社会、低炭素社会、自然共生社会の三つの社会づくりのそれぞれの動きが相乗的な効果を発揮することが重要としており、これからの循環型社会のありようを鮮明にしている。 ◇電マニ事例発表会を開催へ
(財)日本産業廃棄物処理振興センター(東京・中央、古市圭治理事長)は2月下旬から大阪で3月初めから東京でそれぞれ「業界別電子マニフェスト事例発表会」を開催する。電子マニフェストの普及利用に弾みをつけるのが狙い。1月21日に開かれた第2回電子マニフェスト普及・広報検討会で明らかにした。 ◇新政権下の廃棄物リサイクル対策
不適正な自ら保管に切り込む――。新政権は2010年廃棄物処理法改正に意欲的だ。むしろ、前政権ができなかった部分を強化・徹底し、《民主党らしさ》を打ち出している。大谷信盛・環境大臣政務官は本紙記者に対し、廃棄物・リサイクル政策は大事であり、循環型社会構築の取り組みを一つ一つ前に進めると明快に語った。 ◇地方自治体の動向 制度改正などの概要
昨年4月、前橋市と大津市が中核市に移行したことに伴い、産業廃棄物の各種事務手続きを行う都道府県政令市等は109自治体となった。昨年も条例や要綱の施行、県外廃棄物搬入に伴う事務手続きで動きがみられた。地方自治体における環境行政の動向をまとめた。 ◇地方自治体の動向 インタビュー
廃棄物処理法の改正論議が進む中、各県の産廃行政に対する注目も日々、高まっている。東京都、神奈川県に次ぐ880万人口の大阪府は、自ら保管の届け出や帳簿の備え付け、産廃管理責任者設置など排出事業者責任の強化に関する独自の措置を行う一方、実状を踏まえての指導・啓発にも力を入れ、適正処理推進に取り組んでいる。また2008年、国の法制度に加えて、産廃業者としての優良性評価申請を随時可能とする新制度をスタートさせるなど、優良業者育成にも積極的だ。白谷章産業廃棄物指導課長に、新制度も含む府の産廃行政の各施策、指導方針、廃棄物処理法改正に対する見解などを聞いた。 ◇産廃行政の現在を視る 109自治体にアンケート実施
各自治体が行っている産業廃棄物の処理などに関する指導や規制の傾向は、廃棄物処理法の改正内容にも少なからず影響を与える。今回、編集部では中核市も含めた全109自治体を対象とし、産廃行政の現在について、アンケート調査を実施した。調査結果では、排出事業者による処理施設などの実地確認をすでに定めている、「多量排出事業者」基準を上乗せするといった排出事業者責任の強化に力を入れている回答も少なからず見受けられた。調査結果内容を一部抜粋・紹介する。 ◇全国自治体アンケート調査結果より
廃棄物処理法の改正に伴い、排出事業者の責任強化に対する関心が高まっている。具体的には自ら保管の届け出や、委託する処理施設の実地確認などが盛り込まれる見通しだ。また、建設系廃棄物の排出事業者の明確化などもテーマに挙がっている。ところで、今回行った自治体アンケート調査では、すでに自治体が条例や要綱などでこうした措置を求めているケースも少なくないことが分かった。自ら保管の届け出は通常、100平方メートル以上の保管面積のものを対象とする向きが多いが、なかには廃タイヤなど特定の品目に限って実施している事例もあった。また施設の実施確認は地域の実情に応じて、さまざまな運用がなされていた。自治体アンケート回答結果より、排出事業者責任の強化に関する取り組みを中心に紹介する。
2月8日号ダイジェストニュース
新年春一番特別号No.2
渡辺産業(栃木県日光市、神山昌彦社長)は、焼却炉やボイラー、溶鉱炉などから発生する燃え殻や鉱さいに含まれる重金属などを不溶化して、再生砕石など土木資材として資源化する中間処理工場で、ストックヤードの大幅な増設改修工事を完了。リニューアル施設は、屋内タイプの全天候型で、保管施設の面積を倍以上に拡張し、出入口の間口を広げたことで、遠方からの大型トレーラーの受け入れができるようになった。 ◇網下気室型、100%近い精度
北海道大学(札幌市、資源再生工学研究室)の恒川昌美教授と産業廃棄物の収集運搬・リサイクル・最終処分や廃棄物処理機器エンジニアリングなどを手掛けるアール・アンド・イー(北海道登別市、北山茂一社長、札幌事業所)は、異なる樹脂が混合した廃プラスチックを樹脂毎に選別する網下気室型湿式比重選別機「RETAC JIG」を共同で開発、アール・アンド・イーの処分施設に試験設置し、処理性能を確認した。 ◇今春、一廃残さの受入開始へ
食品残さの飼料化事業を行うイガ再資源化事業研究所(三重県伊賀市、高野康男社長)は、今春から一般廃棄物の受け入れを始める方針を明らかにした。残さ回収量の大幅増に合わせて、自社で経営する養豚場の飼育数も現在の3000頭から5000頭まで拡大していく考え。 ◇リユース事業で新機軸
液晶パネルの再商品化で実績を重ねてきた暁峰(埼玉県草加市、小林翔社長)は、不要になったテレビやパソコンから得られた液晶モニターを再使用し、防犯用などのモニターシステムおよび啓発・宣伝用の電子モニター掲示板を開発した。09年に製品化を終え、今年から販促を強化する。商品全体で1万台の供給目標を掲げた。 ◇総合的評価を実施
プラスチック製容器包装の再商品化について検討する中環審の専門委員会と産構審の検討会は1月29日、都内で合同会合を開催した。
2010年度に導入する措置の実施状況について(財)日本容器包装リサイクル協会専務理事の石井節氏が説明を行った。 ◇通知情報の削除機能など5つの機能を追加
(財)日本産業廃棄物処理振興センター(東京・中央、情報処理センター業務推進部)は、電子マニフェストの次期システムを再構築中。現行システムに加え(1)通知情報の削除(2)課金日の情報を抽出(3)検索件数の上限を拡大(4)電子マニフェスト情報登録照明の拡充(5)ケイタイ版の通知の五つの機能が追加になる。今年5月初めまでに現行システムを終了し、次期システムを稼働させる予定。 ◇改良機を追加導入
友伸工業(埼玉県菖蒲町、小林雄一社長)は、廃石膏ボードから得られた石膏粉を固化材に用いて建設汚泥を再資源化する事業を拡充する。現地改良用の改良機を新たに2機導入し、改良土の生産能力の増強と改良工事の効率化を図る。 ◇処理容量が約1.5倍に
新南(本社・東京、斉藤恭平社長)は新たに、圧力が150トンの自動圧縮梱包機の新機種「SNP-150MH」を開発した。従来機種の圧縮室高さは0.83ミリであるのに比べ、新機種は圧縮室高さ.を1.2メートルに設定しており、ベール処理容量が約1.5倍になる。また、モータに44キロワット(22キログラムワット2基)を使用しているのが特長。 ◇不法投棄撲滅をアピール
不法投棄の撲滅をアピールするため、千葉県は1月27日、佐倉市で不法投棄現場の視察や地元自治会などと連携した清掃活動を行った。森田健作千葉県知事や蕨和雄佐倉市長、千葉県環境大使の野口健さんらも参加。活動終了後には、野口健さんと参加者で活動の感想や不法投棄撲滅に向けた運動などについて意見交換を行った。 ◇都の処理計画改訂に対応
(社)東京産業廃棄物協会(東京・千代田、吉本昌且会長)の第52回定時総会が、1月29日午後4時半から都内の青山ダイヤモンドホールで開催された。2010年度の事業として、適正処理の推進を基本としながら、温暖化対策などの課題にも取り組む。また、法改正や年度内に改訂される都の廃棄物処理計画の動きに的確に対応していくことなどが決められた。 ◇全国リサイクル製品認定制度総覧(解説編)
リサイクル製品認定制度は、約10年前から実施県が現れ、2010年までに全国で類する制度の実施数は36道府県まで伸長している。地域によっては、複数県が連携し、相乗効果を得ようとする試みも見受けられる。制度の創設は、大半が環境部局主導だが、なかには愛知のように建設部局がアクションを起こしている事例もある。また、環境対策に取り組む優良事業所・店舗の認定制度と並存する形で、総体としての資源循環を確保しようとする試みも出ている。特集では、各道府県別に制度の基本情報を網羅するとともに、その特色を総覧する。 ◇環境装置生産実績 (社)日本産業機械工業会の調査から
(社)日本産業機械工業会が会員メーカーなどを対象に調査する環境装置生産実績で、08年度は大気汚染防止装置、騒音振動防止装置の分野で前年度を上回り、ごみ処理の分野で前年度とほぼ同程度だったものの、水質汚濁防止装置の分野が前年度を下回ったため7264億7300万円となり、前年度より1.0%の減少となった。同調査は、1966年から行われているもので、08年度は同工業会と優良環境装置協議会の会員151社を対象にアンケート調査を実施。このうち、官公需に主軸を置く大手プラントメーカーを中心に、環境装置関連の生産実績があると回答した92社の集計を行った。同工業会がまとめた資料から、調査内容を抜粋して紹介する。 ◇中国 最新情報リポート
中国は今、上海万博で盛り上がっている。今年の5月1日から10月31日まで開催するために、各分野の工事が最終段階まで来ており急ピッチで工事が進んでいる。 ◇中国 最新情報リポート
上海市周辺の都市部でも廃プラを再生利用している工場などが次々と稼働している。昨年のリーマンショック後に廃プラを原料にした再生工場の勢力図は、大きく変化した。中国は、輸入と国内回収の二つに分けられるようになった。中国国内の回収量は、08年で約900万トンを記録。輸入量は約707万トンだ。 ◇2009技術ニュースピックアップ
世界的に環境負荷低減ニーズが急速に高まる中、廃棄物の収集運搬車両や処理現場で使う重機などでも温暖化防止に対応した技術開発が活発化している。昨年本紙に掲載された技術ニュースの中から主なものを紹介する。 ◇集めて見る、地球温暖化対策関連情報 ―循環経済新聞の紙面より―
政権交代により鳩山政権は、環境分野でも多岐にわたる新機軸を打ち出しており、地球温暖化対策に関しては、1990年比で2020年までに25%の温暖化ガスの排出削減を対外的に表明している。これら動きも相まって、全産業にわたり地球温暖化防止に絡む動きが活発化している。処理業界にあってもその萌芽が見て取れる。その内容は、自社の排出分に対するカーボンオフセットの取り組みから、再生利用によりCO2削減効果を示して顧客へのサービスとするなど多様化しつつある。木質バイオマス、BDFによるCO2削減対策も相変わらず活発で、事例も増加している。またCO2の分離回収技術の開発や物流効率の見直しにより削減の取り組みも見受けられた。
2月15日号ダイジェストニュース
新年春一番特別号No.3
埼玉県は解体工事現場や産廃施設への立入検査を含めて、石綿含有建材の行政監視を強化する。さいたま市浦和区の解体現場跡地に敷きならした再生砕石に石綿を含む廃材の破片が発見され、県は1月15日から2月3日にかけて、業界団体、破砕業者、解体工事業者宛で、再生砕石への石綿含有建材の混入防止についてチェック体制を強化するよう通知した。石綿含有建材(石綿含有廃棄物)は主に住宅などの解体工事で発生し、廃棄物処理法で破砕が禁止されているが、発注者・元請・解体業者・処理業者間の情報伝達に支障があると、含有建材と分からずに扱うおそれがある。専用の積替保管施設の許可を得なければ、施設などに搬入できないが、川越市とさいたま市を除き、県内に15カ所の許可保管施設がある。 ◇PE1tで2.85t排出
プラスチック包装資材のマテリアルリサイクルと循環利用のための加工、関連機器販売などを手掛ける富士興業(本社・茨城県つくば市、中村昌光社長)は、(独)国立環境研究所が作成した算定式をもとに、廃プラスチックを焼却した際に排出されるCO2の量を算出した。 ◇河川堤防の野草利用
NPO法人エコグループ市原(千葉市原市、須藤吉康理事長)は、刈り取った河川堤防の野草を安全・安価な牧草として利用する取り組みを進めている。昨年10月には国土交通省と連携し、利根川河川敷で野草をロール化する実証実験を行い、市内の酪農家などに提供した。2010年度には、畜産生産コストを低減する技術開発事業として関連団体の助成も受け、事業を本格化する。 ◇2億台が「保管・休眠」
マーケティング・リサーチを行うMM総研(東京・港、中島洋所長)は2月4日、携帯電話やPHSの利用者2000人に対してインターネットアンケートを実施した。その結果をもとに携帯電話のリサイクル状況と中古携帯電話市場の展望についてまとめた。 ◇品質クリアの古紙を認定
全国製紙原料商工組合連合会(全原連、栗原正雄理事長)は、古紙問屋の業界基盤事業として実施している優良性評価事業の一環で、2010年度に日本古紙品質認定(J-BRAND)制度を立ち上げる。日本の古紙の品質維持向上を目的に、定められた品質管理手法で品質が一定基準をクリアしている古紙をJ-BRANDとして認定する。 ◇燃料向け出荷比率を高める
総合整備(本社・東京都杉並区、松島修社長)は、中間処理施設の「瑞穂工場」(東京都瑞穂町)に振動ふるい機や風力選別機などからなる選別ラインを設置した。安定型処分場向けの廃棄物から、燃料向けに廃プラスチック類などを選別する。燃料向けの出荷比率を高め、処分費用の削減、リサイクル率向上につなげる。 ◇電池リサイクルで提携先募集
欧州の環境・リサイクル機器販売を手掛けるディベロップメント・アジア・コンサルティング(川崎市、パトリス・オリヴィエ社長)は、フランスのRecupyl社が持つ一次電池・二次電池リサイクル技術を使い、日本でリサイクル事業を行うビジネスパートナーを募ることになった。技術は電池を破砕、鉄・非鉄と内部にある複合した希少金属を含む部分を分離し、非加熱処理で希少金属を含むパウダーに加工する「機械的処理」と、パウダーにさまざまな薬剤を投入して単体の希少金属を回収する「化学的処理」が一連になったもの。 ◇全国自治体アンケート調査
大規模な敷地を持つ製鉄所や自動車工場、食品工場などの敷地内では、資材管理などを別会社が担当し、敷地内で運搬業務を行うことはしばしば見受けられる。この別会社に、敷地内のごみ集積所への廃棄物運搬を併せて頼むことは業務効率のうえからみると合理的な判断といえる。しかし、適法性という観点から見て、こうした出入り業者による運搬には許可がいるのか、私有地内だから許容され得るのか、とっさに判断はつきにくい。また、自社の産業廃棄物を積んだ他社の車両でも、自社従業員が同乗することで「自ら運搬」と行政が認めているケースもあり、アンケートでは、こうした事例に対する指導をどのように行っているかについてアンケートで回答を求めた(回答数は88)。 ◇廃ポリタンク1万2000個
環境省は、昨年12月中旬から1月末までに日本の海岸に漂着している廃ポリタンクが約1万2000個確認されたことを明らかにした。漂着した県の分析結果によると、中に強酸性の液体が検出された例もあり、生活・自然環境保全上の影響を無視できない。同省は廃ポリタンクに安易に触れないよう注意を呼びかけている。 ◇3Rと低炭素化の両立
鳩山首相が掲げる「CO2などの温室効果ガス25%削減」目標やCOP15での米国、中国などを含めた国際的な議論の広がりに伴い、地球温暖化防止=低炭素化社会構築への関心や取り組みが加速している。日本も長引く景気低迷の打開と低炭素化社会の構築が同時に求められるという難局を迎えているが、廃棄物処理業界やリサイクル業界にとってもこれは重くのしかかる。「3R推進=循環型社会の構築と低炭素化社会構築の両立」だ。不景気を打開しつつ、低炭素化社会と循環型社会を構築するという一見無謀な課題をどう乗り切るのか。環境省の谷津龍太郎廃棄物・リサイクル対策部長にその考えを聞いてみた。 ◇廃プラのリサイクル 経営者に聞く2010年の展望
有価のプラスチックスクラップ、産業廃棄物の廃プラスチックを巡る状況がにわかに慌しくなってきた。東日本、関東エリアでは中国などへの輸出・マテリアルリサイクルが再び勢いを取り戻し、国内マテリアルリサイクルは高付加価値化でこれに対抗する。RPF製造とサーマルリカバリーの分野では、東京湾岸での超大型焼却発電施設が相次いで竣工、燃料となる廃プラを巡り、処理料金競争が激化。従来では考えられない処理料金となっており、各社とも予断を許さない状況になった。
マテリアルリサイクル、RPF製造、サーマルリカバリーの関係3社の経営者に2010年の展望を聞いた。
◇全国リサイクル製品認定制度総覧(データ編)
リサイクル製品認定制度は、約10年前から実施県が現れ、08年までに全国で類する制度の実施数は36道府県まで伸長している。地域によっては、複数県が連携し、相乗効果を得ようとする試みも見受けられる。制度の創設は、大半が環境部局主導だが、なかには愛知県のように建設部局がアクションを起こしている事例もある。また、環境対策に取り組む優良事業所・店舗の認定制度と並存する形で、総体としての資源循環を確保しようとする試みも出ている。特集では、各府県別に制度の基本情報を網羅するとともに、その特色を総覧する。 ◇全国エコタウン大会が盛大に
川崎市と経済産業省は2010年2月3-4日の2日間、川崎市内の川崎日航ホテルで全国エコタウン大会を開催した。テーマは「境なき地球への責任―エコタウンからエコカントリー、そしてエコアースヘ」。基調講演「環境と産業のこれから」では環境と経済に両立に向けた課題やその解決方法について披露、川崎市の取り組み事例も報告された。主な内容を抜粋し、紹介する。 ◇改正土壌汚染対策法
中央環境審議会土壌農薬部会土壌制度小委員会が1月20日、環境省内で行われ、改正土壌汚染対策法施行に向けた省令事項などについて審議された。 ◇第三者評価制度 認定企業一覧
(財)東京都環境整備公社が第三者機関となり、「エキスパート」「プロフェッショナル」の区分に応じて評価する全国初の認定制度で、2月10日、第1回認定企業が公表された。「エキスパート」は107社、「プロフェッショナル」は77社に上った。東京都なども制度の周知に努めている。制度の前向きな活用に期待したい。認定を受けた企業の一覧を紹介する。 ◇バイオマスタウン最新事例
「バイオマス・ニッポン」の推進母体であるバイオマス・ニッポン総合戦略推進会議(内閣府、総務省、文部科学省、農林水産省、経済産業省、環境省)は、地域のバイオマスの総合的・効率的な利活用を図る「バスオマスタウン構想」の募集を2004年8月末から実施している。
05年2月の第1回から、バイオマス・ニッポン総合戦略推進会議により内容が認められて公表に至った地域は224地区225市町村にのぼる。計画によると、10年度には300地区まで「バイオマスタウン」を拡大していく予定だ。
構想書を公表された自治体は、関係する補助金や交付金が各省庁から優先的に受けられるほか、先進地域として全国から注目されることによる地域活性化、などのメリットが得られる。特集では、最新の1月29日に公表された構想書の中から、資源の利活用に焦点を当て、その概略を紹介する。 ◇2009年の廃プラ貿易結果分析
貿易統計の09年12月の廃プラ輸出の結果が出た。1年間の累計は、約149万トンで、対前年2万5671トン減少の98.3%で微減となった。成立した金額は、累計金額が591億3003万円で、対前年212億5122万円減の73.6%で、減少幅は大きい。 ◇鉄スクラップ輸出動向
鉄スクラップの年間輸出量が過去最高を記録した。財務省の貿易統計によると、2009年の年間輸出量は940万7941トンに達し、前年から397万979トン(73%)もの増加となった。
日本国内のスクラップ発生量と電炉需要がともに低迷するなか、インフラ整備や自動車生産で鉄需要が高まる中国や韓国といったアジア市場へとスクラップが流れる、内低外高の状況が続いていることが改めて浮き彫りになった形だ。 ◇インタビュー 弁護士 阿部鋼氏
産廃専門の弁護士が少ないといわれる中、産廃に関する判例や裁判をサポートして10年の実績を持つ阿部鋼弁護士。その活躍は処理業経営者向けの著作や判例に関する著作の出版をはじめ(社)千葉県産業廃棄物協会会報に「弁護士だより」を連載、各地で講演を行うなど精力的である。最高裁等の判例を分析、産廃業界全体のコンプライアンス徹底に尽力したいと念願している。 ◇2008年度廃家電の不法投棄等の状況
環境省は今月2日、2008年度廃家電の不法投棄等の状況を取りまとめ、公表した。廃家電4品目(エアコン、ブラウン管式テレビ、電気冷蔵庫・電気冷凍庫、電気洗濯機)の2008年度の全国の不法投棄台数(推計値)は11万9381台で前年度12万1128台と比べ、1.4%減少した。市区、町、村それぞれの不法投棄台数を比較すると、依然として町村部で単位人口当たりの不法投棄台数が多い傾向がみられた。 ◇海岸漂着物対策は今
環境省は「海岸漂着物対策を総合的かつ効果的に推進するための基本的な方針」(案)について2月23日までパブリックコメントを実施している。基本方針案は「海岸漂着物処理推進法」に基づき、環境大臣が広く一般の意見を聴いて作成するもの。今年度内の閣議決定を目指す。基本方針をもとに海岸漂着物対策の今を追ってみた。 ◇廃棄物処理問題の解決へ
(社)全国都市清掃会議(東京・文京)と松山市は1月28-29日、愛媛県民文化会館(松山市)で「全国都市清掃研究・事例発表会」を開催、約500人の関係者が参加した。廃棄物処理事業に従事する関連機関および企業が業務成果を報告した。
発表された約90件のうち11件を抜粋して紹介する。
2月22日号ダイジェストニュース
◇埋立物掘起して再資源化
アール・アンド・イー(北海道登別市、北山茂一社長)は、北海道から同社の管理型最終処分場に埋め立てた廃棄物の掘り起こしと再資源化の承諾を得た。国内で初めて、埋め立て完了した処分場を掘り起こして有用物を選別再資源化し、不要物は圧縮減容して再度埋め立てるというもの。道内の金属リサイクル業者とシュレッダーダスト(SR)を再資源化することを目的とした合弁会社を昨秋に設立、本年秋から事業化に乗り出す。 ◇国内外の拠点合理化へ
プラスチックリサイクル・循環利用などを手掛ける大明貿易(本社・東京、齋藤秀明社長)は、再生プラスチック原料の国内集荷拠点と中国の加工・生産工場について、それぞれ1拠点で複数の倉庫・工場になっているところを統合するとともに、加工・生産工場は中国各都市のプラスチック製品製造に合わせて加工する樹脂を特化することになった。 ◇中間処理許可を追加取得
食品廃棄物の肥飼料化事業を手掛ける環境テクシス(愛知県豊川市、高橋慶社長)は、1月21日付けで産業廃棄物のろ過、乾燥、選別、破砕の中間処理許可を追加取得し、新たに破砕機や容器分別機などを導入した。容器包装入り食品廃棄物の受け入れにより、回収量の拡大を目指す。 ◇レアメタル含む二次電池リサイクル
使用済み充電式電池(二次電池)の再資源化を中心に事業展開する日本リサイクルセンター(大阪市北区、増田康次社長)は、事業拠点の展開と新技術の導入で、今後の顧客ニーズに対応していく考えだ。 ◇古紙を年30万t資源化
古紙問屋として62年の歴史を持つ國光(東京・台東、深田和利社長)は、年間30万トンに上る古紙を資源化している。廃棄物処理業者とも連携し、幅広い古紙の受け入れに注力している。 ◇一貫体制でリサイクル率向上
コイデ解体(本社・神奈川県相模原市、小出正人社長)は、解体工事と中間処理の一貫体制に加え、電子マニフェストや書類作成などに応え、顧客から信頼を得る営業体制を確立した。本業の解体工事では主に木造戸建て住宅を手掛け、重機の入らない場所や高台の「手壊し」工事など、高い技術力を要する依頼が多い。中間処理施設では、自社工事で発生した廃棄物を中心に受け入れることで、リサイクル率の向上につなげている。 ◇大型対応の生ごみ処理機
バイオ・ファイル(京都市、川端孝辰社長)は、バイオ式の業務用生ごみ処理機「バイオ・マイスター」を開発、販売を開始した。日量1トンまで対応できる大型の処理能力を持つのが特徴で、すでに試験導入した滋賀県の食品加工工場において稼働実績を積んでいる。 ◇産廃税の5年継続を決定
産業廃棄物税の今後のあり方について検討を行ってきた宮城県は、5年間の期間延長を決めた。県環境審議会の答申を受けて改正条例案をまとめ、昨年12月の県議会で可決された。税導入による排出量、最終処分量の低減効果に加え、処分場の残容量に限りがあることや、小規模な不法投棄の根絶に向けて継続が必要と結論付けた。課税期間は来年度から5年間となる。 ◇処理基準等専門委設置へ
中央環境審議会廃棄物リサイクル部会(部会長・田中勝鳥取環境大学教授・サステイナビリティ研究所長)は1月25日第47回の部会を行い、廃棄物処理基準等専門委員会の設置を決めた。昨年11月の水質汚濁防止法の環境基準の項目追加や見直し(環境省告示)を受け、処分場の埋め立て基準などについて必要な検討を行うことになる。 ◇インタビュー 低炭素社会構築と資源環境ビジネス
新政権は温暖化対策を最重要の環境政策とみて、低炭素社会構築を推し進めている。そうした中、廃棄物処理業は、どう対処すべきか。「廃棄物」と「化学」の双方に詳しい村田徳治・循環資源研究所所長が有望とみるのは、廃棄物のエネルギー化であり、ガス化。化石燃料の使用を徹底して削減し、温暖化防止に貢献できると語った。 ◇インタビュー 企業の環境対策ソリューション
民間企業にとって環境対策の重要テーマとなっている廃棄物と省エネ。排出企業の側に立ち、企業の環境対策をサポートするビジネスが活発化している。eソリューションサービス(東京都新宿区)の植田秀樹社長はかつて生ごみ処理機を販売、企業の環境対策の実状に詳しい。リサイクル率向上と同時に、経済的メリットの両立の重要性を力説する。エコでかつトクでなければ循環型社会構築も、低炭素社会構築も現実味を帯びないのかもしれない。 ◇容器包装プラスチックの再商品化手法
中央環境審議会プラスチック製容器包装に係る再商品化手法専門委員会と、産業構造審議会容器包装リサイクルWGプラスチック製容器包装に係る再商品化手法検討会の合同会合が、1月29日、4カ月ぶりに再開した。今後、作業チームで議論を行うための基礎的な整理を行った上で、議論を重ね、今年夏にも取りまとめを行う。
1月の合同会合に(財)日本容器包装リサイクル協会から提出された「2010年度に導入する措置の実施状況」と、事務局から説明のあった「今後の検討を進めて行く上での容器包装リサイクル制度の目的・趣旨」を抜粋して紹介する。 ◇グリーン購入は今・基本方針改定
グリーン購入法(「国等による環境物品等の調達の推進等に関する法律」)に基づく「環境物品等の調達の推進に関する基本方針」が2月5日、その変更について閣議決定された。紙類のうち「印刷用紙」の判断の基準に総合評価指標方式を導入するのをはじめ制服・作業服等の基準の見直し、イベント等での使用を想定した「旗」「のぼり」「幕」の追加など11品目を追加したほかテレビジョン受信機1品目を削除、さらに52品目の基準等の見直しを行った。基本方針の周知徹底に向け、全国10カ所で国等の機関、独立行政法人、国立大学法人、地方公共団体等や事業者を対象に説明会を開催している。
◇九州に資源化拠点を
セメント原燃料など製造
廃プラなど受入強化/塩素含有率は専用分析で
オフセット製品も発売
無機汚泥リサイクルプラント/周辺需要に対応
現状や課題の理解深める/自治体と事業者の交流会開催
製紙会社にチップを販売
電気めっき汚泥を無害化/酸浸出技術を採用
県境産廃不法投棄事案で
廃棄物の循環的利用が温暖化ガス削減に貢献/低炭素、自然共生と連携し、相乗効果を
建設、製造など業界別に/2月大阪、3月東京で
特別インタビュー 環境大臣政務官 大谷信盛氏
不適正な自ら保管に切り込む/バイオマスは循環社会のシンボル
地方自治体、廃棄物行政の1年
大阪府 環境農林水産部 循環型社会推進室 産業廃棄物指導課長 白谷章氏に聞く
評価制度で独自の運用/排出事業者責任を強化/監視・指導ベースに柔軟な対応も
県外物規制、施設設置の事前協議多し
自ら保管届け出は100m2以上が対象に/廃タイヤなど特定品目に限定するケースも
監視業務強化で不適正処理防止に
◇大規模な増設改修を実行
全天候型、保管ヤード倍に/無害化で10年実績
湿式比重選別機を発売/金属選別と組合せ、混合プラも
飼料増で養豚事業も拡大
不要液晶で防犯モニター/事業者・処理業者から廃製品買取
2010年度措置/新たに作業チームを結成
普及率増加にらみシステムをより使いやすく/2月からデモシステムを稼働
汚泥と石膏粉利用で実績
圧縮梱包新機種を開発/約25%の作業時間短縮
佐倉市で清掃活動を実施
青年部、女性部が活発に
36道府県に拡大する制度実施/地域連携を強化する傾向に
土木・建設資材に特化する例も
08年度は7264億円に
前年度から1%減/ごみ処理装置は微増2843億円
世界の7割の廃プラが集まる/上海万博会場で再生建材活用
プラと木くずで10万m2を施工
廃プラ再生工場が稼働/日本輸出35万tの行方
車両・重機で温暖化対策が活発化/3R支援の計量システムも登場
処理業界でも事例増える温暖化対策/「見える化」などサービス多様化
◇石綿建材の監視強化へ
解体や処理現場を立入/再生材への混入問題契機に
再生利用で温暖化防止を/プラ焼却のCO2算出
酪農飼料代を1/3に/全国視野に本格事業化へ
携帯電話リサイクルで調査
J-BRAND制度実施へ
機械選別ライン新たに設置
仏Recupyl社の技術で
敷地内処理にはやや慎重/同乗で「自ら運搬」は柔軟な対応
強酸性の液体も検出
環境省廃棄物・リサイクル対策部長 谷津龍太郎氏に聞く
廃プラの扱いがひとつの焦点/焼却はCO2増、ケミカルは減/処理業者の取組が重要
再生利用と再資源化、焼却発電
輸出に高付加価値化で対抗 競争激化のサーマルリカバリー
拡大、進化、成熟する制度/他県とリンクし地域連携/土木・建設資材に特化する例も
地域性映すユニーク製品も/安全性重視しチェック機能強化
川崎ゼロエミ工業団地を支援/境なき地球への責任
関係省令は2月中にも公布/土壌制度小委員会 改正省令案を示す
公表自治体が取り組む資源の利活用方法
生ごみ、下水、間伐材まで/地域の"資源"掘り起こし
09年は「149万t」の輸出量/中国・香港・台湾で97%占める
PETとPVCくずが前年アップ
輸出量過去最高を記録/価格はやや持ち直し
産廃コンプライアンス徹底を/業界が飛躍するために不可欠
廃家電4品目で約11万台/廃パソコン5111台/対策費、平均で約58万円
円滑な処理と発生抑制を両輪に/基本方針を今年度内に閣議決定
研究・事例発表会を開催
国内初、北海道が承諾/SR対象、今秋にも事業化
プラマテリアルリサイクル/集約と特化でさらに「見える化」
容器包装食品の受入可能に
全国5カ所で態勢強化
廃棄物処理業者と連携強化
解体工事は「技術力」が強み
水と炭酸ガスにスピード分解
県議会が昨年12月に可決
環境基準の項目追加で
循環資源研究所所長 村田徳治氏に聞く
廃棄物のエネルギー化を/化石燃料の使用削減で貢献
eソリューションサービス社長 植田秀樹氏に聞く
リサイクル率向上と経済的メリットの両立が大切/廃棄物管理から省エネまでトータルで提案
中環審、産構審が検討再開/新年度の導入措置と検討の目的
印刷用紙に総合評価指標を導入/11品目追加、52品目で基準見直し