循環経済新聞・バックナンバー“2013年1月度”


1月1日号ダイジェストニュース

2013新春特別号No.1

◇災害廃棄物処理はまだ道半ば
国が意欲的に処理業育成へ

 2011年3月11日の東日本大震災から一日も早い復旧・復興が急がれる中、災害廃棄物の処理についてもまだ道半ばだ。環境省は今年度末までに処理量の6割達成を目指しているが、処理済みは3割程度にとどまっている。広域処理をはじめ、あらゆる局面で産廃業者や関連プラントメーカーなどプロ集団のノウハウを生かすための環境整備が課題といえる。


◇新春インタビュー
災害廃棄物処理にもっと民間の力を

公益社団法人 全国産業廃棄物連合会 会長 石井 邦夫氏に聞く
業界挙げて優良認定制度を推進

 東日本大震災で発生した災害廃棄物の迅速な処理に向け、もっと民間の力を活用してほしい――。公益社団法人全国産業廃棄物連合会の石井邦夫会長((社)千葉県産業廃棄物協会会長、市川環境エンジニアリング社長)は明言した。災害廃棄物は廃棄物処理法上、一般廃棄物とされるが、性状的には産廃と同様。制度の壁は厚いが、今後の検討課題とした。


◇新春インタビュー
全員が主役のCSR2プロジェクト

全国産業廃棄物連合会 青年部協議会 会長 尾崎 俊也氏に聞く
青年部は一人ひとりの資質向上の場

 全国産業廃棄物連合会青年部協議会第4代会長の尾崎俊也氏は、「CSR2プロジェクト」に果敢に取り組み、1118社がエントリー、報告事例は715に上っている。昨年11月の「第8回全国青年部協議会全国大会岡山大会」は、全員が主役との機運が盛り上がり、盛況のうちに終了した。


◇新春インタビュー
優良業者認定制度の実効性高める

環境省 産業廃棄物課 課長 廣木 雅史氏に聞く
排出者と処理業のコンソーシアムを

 不法投棄など不適正処理の防止へ排出・処理業双方の規制強化とともに処理業の育成・振興策として優良産廃処理業者認定制度が注目を集めている。環境省は同制度を実効あるものにしようとさまざまな施策を展開していく。たとえば「活かそう資源プロジェクト」の優良さんぱいナビを通じ、ビジネスに結び付くよう運用に力を入れる。また、廃棄物から資源を創出することをテーマに排出事業者と処理業者によるコンソーシアム(共同体)の設置なども進める。


◇新春インタビュー
震災から2年

環境省大臣官房 廃棄物・リサイクル対策 廃棄物対策課長 山本 昌宏氏に聞く
FIT踏まえた施策も推進/災害廃対策を加速へ

 東日本大震災の発生から丸2年が経過する2013年、復興に向けた環境省の災害廃棄物対策はどのような進展をみせるのか。また、再生可能エネルギー固定価格買取制度(FIT)や7省庁連携によるバイオマス事業化戦略を受けて、高効率ごみ発電を中心とした廃棄物分野でのエネルギー回収施策をどう位置付けていくのか。13年度概算要求の内容を踏まえ、環境省廃棄物対策課長の山本昌宏氏に話を聞いた。


◇管理型品目の排出が増加傾向
安全性高める薬剤処理/有害重金属など不溶出や無害化
焼却灰・ばいじん・鉱さい処理最前線

 現在、産廃を種類別に見ると2009年度の「燃え殻」は、年間180万トン(産廃全体の0.5%)の排出量で、「ばいじん」が1600万トン程度(同4.1%)、「鉱さい」が約1400万トン(同3.6%)となっている。この3種で、産廃全体の1割弱の排出量だ。今後、全国的に見ても木質ボイラー発電が増加することから、燃え殻・ばいじん・鉱さいの3種類は増えると見られている。管理型品目でもある同3品目をクローズアップした。


◇環境税とFITで廃棄物燃料化開く
アジアを視野に3R利用/RPFと木質チップは次世代
産廃の新規ビジネス近未来図

 産廃処理の視点から新規ビジネスを見たときに、鍵となる要素がある。1つは、昨年10月1日から、地球温暖化対策のための税(環境税)の導入が始まったことで、廃棄物由来の燃料の価値は上がった。特に、RPFと木質バイオマスの期待は高くなった。RPFは昨年、工業会も発足して新しいステージに突入した。木質活用は、FIT(固定価格買取制度)でも重要なファクターだ。


◇「悪貨」を駆逐する社会構築に役立つ
裾切り方式の意図は/排出者も活用メリット多数
進化する「優良産廃処理業者認定制度」

 悪貨が良貨を駆逐する――産廃処理事業に置き換えると、処理費用が安くて不適正な処理が、適正処理に勝ってしまうことだ。いうまでもなく適正な処理には適正な費用がかかる。排出者も処理業者も安易な「安かろう悪かろう」を乗り越えたところに、優良な産廃業者が活躍できる健全な社会がある。


◇優良認定、入札参加資格で有利に
6割以上のポイントならクリア/環境配慮契約法
「優良産廃処理業者認定制度」のメリット

 国や独立行政法人が行う環境配慮契約に産廃処理が追加され、入札参加資格の条件として優良認定への適合状況が評価される方向だ。同法は、温暖化対策が主たる目的だったが、廃棄物の適正処理も環境負荷を軽減することとなり、解釈が広がった。業界が注目しているのは、優良産廃処理業者認定制度で認定を受けている業者が入札参加で有利になりそうで、評価項目案では、6割以上のポイントをとれば、基準をクリアできることになっている。また、今後、全国で認定業者の数が増えれば、同法の運用を見直し、認定自体を必須条件とする可能性もありそうだ。



1月7日号ダイジェストニュース

2013新春特別号No.2

◇法改正へ、水面下で着々
市場激変に対応必至/“見せる化”は着実に進展
特集・容器包装リサイクル

 今年4月、容器包装リサイクル法は見直しの時期を迎える。国は「必要ならば行う」というスタンスでスケジュール自体はまだ決まっていないが、“リサイクル推進”という大きな目標はあるものの、それぞれに利害関係がある関係業界間では早くも議論が繰り広げられている。「その他プラ」を巡る手法やPET再商品化事業における昨年の混乱などの入札制度のあり方などさまざまな課題にどう対処するのか。


◇インタビュー
PETボトルの効果的な回収方法を

民間業者との連携で有効なシステム確立へ
環境カウンセラー 栗岡 理子氏
PETボトルリサイクル

 容器包装リサイクル法が改正の時期を迎え、議論が活発化している。なかでもPETボトルに関しては、すでに有償化している実態もあり、スーパーマーケットなど民間事業所での回収拠点も増加するなど、ここ数年の変動を踏まえ、新たな地図を描く必要性も指摘されている。「散乱PETボトルのツケは誰が払うのか?」の著者である環境カウンセラーの栗岡理子氏に、散乱PETボトル問題と現況のPETボトルリサイクルシステムが抱える問題、デポジット制度の再考と今後の展望について話を聞いた。


◇粉砕物の荷姿が圧倒的変わらず
欧州不調などに影響受け乱気流/独自処理との併用は増加か
PETボトル市況動向

 現在、日本国内の廃PETボトル再生利用量は、1年間で国内利用が約24万トン、輸出が約35万トン(PETくず約40万トン)となっている。国内用途の中で最大がシート利用で約3分の1、繊維利用が4分の1、ボトル再利用が12分の1、ほか成形品の割合だ。輸出は、98%が中国・香港に輸出され、ほとんどが繊維利用となっている。欧米や日本のぬいぐるみ中綿や衣類利用の綿は、中国で生産される量が世界最大となった。2012年のPET市況を鑑みて、今年の行方を推測したい。


◇水平リサイクルが拡大へ
新たな循環型/システム提案も
PET再生業者事例

 PETボトルのリサイクル事業者にとっては、舵取りの難しい時期が続くが、さまざまな先進的な取り組みも加速している。再生PETの食品・飲料容器素材への採用など水平リサイクルが本格的に動き出した他、国内外での再商品化用途も多様化してきた。ここでは新たな技術やサービスに挑戦する業者を紹介したい。


◇2012年度処理計画量の32.8%
価格変動で入札の短期化へ/PETボトル独自処理ルート

 市町村が分別・収集したPETボトルのリサイクルルートには2つある。1つは容器包装リサイクル法に基づく「指定法人ルート」。もう1つは市町村が独自入札を行う「独自処理ルート」だ。この独自処理ルートについては、柔軟な対応や価格面でのメリットがあるが、国内での安定的な再商品化を求める声もある。ここでは、さまざまなデータをもとに独自処理ルートの現状を総覧したい。


◇熱エネルギー回収、顕著な伸び
安定経営と技術、提案で乗切り
特集・プラスチックリサイクル

 廃プラスチックとプラスチックスクラップの処理・リサイクル事業を巡り、いわゆる“カスケード・リサイクル(グレード・手法による重層的なリサイクルの仕組み)”の壁を乗り越えた競争が年々激化している。「輸出・リサイクル業者の活発な営業とは関係なく、廃プラやプラスクラップ自体の排出量が激減している」(東日本の産業廃棄物処理業者)ことがその背景にあるのは間違いない。(社)プラスチック処理促進協会が毎年末に発表しているデータの解説と、処理・リサイクル現場の実感などをまとめつつ、新年の流れを予測してみた。


◇アイデア、創エネ、安心
復興支援など絡めて/今までにない提案と高付加価値事業
特集・プラスチックリサイクル
東日本

 プラスチックリサイクルが多様化する一方で、そのカスケードリサイクルシステム(グレード・手法による重層的なリサイクルのあり方)のすみ分けを越えた競争が激化している。東日本ではこれに加えて、大震災からの復興や放射性物質対策、エネルギー確保も重なり、かつてない業界地図となっている。この中でいかに生き残りつつ、企業の存在価値を高めるか。そのキーワードは「アイデア」「創エネルギー」「安心(商品廃棄の抹消・リサイクル)」だ。


◇廃プラ輸出量増やす許可証活用
エンプラ・アルミ蒸着物など再生/合成ゴムのR事業開始
特集・プラスチックリサイクル
西日本

 廃プラ活用は多彩なバリエーションを持つようになってきた。独自のマテリアル技術を利用して輸出などで付加価値を付ける産業も大きく変わる時代の波を浴びながら生き残りをかけた戦略を練る。価値の高いエンプラを対象に浮上を図る事業者も生まれた。海外の分離技術を用いて、アルミ蒸着フィルムをプラとアルミに分けるプラントも完成が近い。プラ系の中でも異質なゴム再生の施設も順調に稼働している。西日本の事業者を中心に事例を紹介する。


◇廃プラ総排出量952万t前年微増
有効利用の市場規模2268億円/原料と燃料化のマーケット
特集・プラスチックリサイクル

 プラスチック処理促進協会の最新データ「2011年度版」によると、樹脂生産量は、1159万トンで、前年(2010年)比111万トン減少(8.7%減)し、逆に樹脂や樹脂製品の輸入量が増加した。背景には、東日本大震災や円高の進行などがある。結果的に「国内樹脂製品消費量」は、987万トンで、前年より16万トン(1.7%増)増加した。廃プラの処理方法別の市場規模や現状などを最新データを基に推定してみる。


◇過去最高165万t見込み
中国生産量12年5000t切る/香港減少、本土量増加
特集・プラスチックリサイクル
再生プラ輸出動向

 中国は、年末に思惑買いを見せて、実際の需要量よりも多く買うケースが多い。ただし、昨年(2012年)中国系の旧正月(春節)は1月23日から始まった。一昨年12月は春節からの工場停止に伴い、買い控えもあるが、最終的には11年は、前年並み163万トンで終わった。昨年は、現在までのペースで見ると「165万トン」と過去最高を記録しそうな勢いがある。


◇使用済み製品・資材 to 新製品・新資材
世界をリードする日本の技術/メーカーとつくる循環の輪
“メイド・イン・アジア”への対応も急務
クローズドリサイクル

 “PETボトル to PETボトル”、“家電プラ to 家電プラ”などの「水平リサイクル」が広がりを見せつつある。この取り組みは、数ある業種の中でもリサイクルにいち早く取り組んできたOA機器メーカーによる、“使用済み自社製品部材 to 新製品部材”という「クローズド(ループ)マテリアルリサイクル」(以下、クローズドリサイクル)の延長線にある。にわかに脚光を浴びつつあるこの「クローズドリサイクル」は一体何を目指すのか。


◇IT機器メーカーでも拡大
コストと環境を両立
クローズドリサイクル

 生産工程で発生する端材や不良品を自社で資源化する「プレコンシューマー・リサイクル」に対し、市場から排出された自社製品を資源化する「ポストコンシューマー・リサイクル」は、クローズドループの構築が難しいとされる。自社製品を対象にした回収スキームの確立が必要な上、モデルチェンジによる材料の組成変化や回収製品の品質のバラつき、回収量と生産量の変動にも対応しなければならない。今回は、NECアクセステクニカのレンタルモデムリサイクルと富士通グループのCD、DVDをパソコン筐体に利用する取り組みを紹介する。


◇新戦略、新たな取り組みに挑戦
廃棄物原単位は過去最高に
依然頭打ちの原料系/条件合わない燃料系
セメント業界のリサイクル

 2011年度の輸出向けクリンカを含むセメント生産量は5757万9000トンだった。対して、セメント工場で原料、燃料などの代替に使用された廃棄物・副産物の量は2707万3000トンに上った。セメント1トン当たりの廃棄物・副産物使用量は471キログラムで過去最高となった。地方と都市部の工場では状況が少し異なるが、原料系は受け入れ余力がほとんどなく頭打ちだと言われて久しい。燃料系は量的にはさらに置き換えることは可能なものの、保有するカロリーや含まれる異物、塩素分、処理料金を考えると使用量を大幅に増やすのは困難とされる。各社は、それぞれ戦略を練り、新たな取り組みに挑んでいる。


◇新設備、輸送体制を整備
廃棄物・副産物を原燃料に/資源化困難物にも対応
セメント業界のリサイクル




1月14日号ダイジェストニュース

2013新春特別号No.3

◇2基で400t/日を処理
仮設焼却炉が稼働

- 宮城県気仙沼処理区階上地区 -

 東日本大震災で津波被害を受けた宮城県の気仙沼処理区階上地区で2012年12月15日、仮設焼却炉2基が本格稼働した。災害廃棄物処理業務を受託した大成建設東北支店を代表とする特定業務共同企業体(JV)が災害廃棄物約62万トンの内、約18万トンを焼却処理する。設置した焼却炉はロータリーキルン炉(アクトリー製)とストーカ炉(荏原環境プラント製)の2基。1日当たりの処理能力はそれぞれ200トンになる。12月24日からは選別施設をテスト運転し、1月から本格運転を開始する。


◇衣類用プレス機を新設
海外輸出一本化の強み生かす

- マツユキリサイクル -

 古紙問屋のマツユキリサイクル(奈良県生駒市、松岡幸一社長)は衣類用の大型プレス機を新設、家庭から排出される衣類の回収・海外輸出事業を拡大している。中古品としての輸出のみに活用先を絞り込み、高品位のリユース事業を展開している。


◇宮城に廃タイヤ処理の新工場
70t/日をチップ化/積替保管施設も開設

- 国分商会 -

 国分商会(本社・埼玉県熊谷市、椎名仁郎社長)は、宮城県南部の柴田町に廃タイヤの中間処理工場を建設する。破砕と切断施設を設置して1日当たり70トンの処理を目指す。3月からの稼働を予定する。


◇新システム工場を増設へ
廃油事業に加え食残Rも

- 植田油脂 -

 廃食用油のリサイクル事業を手掛ける植田油脂(大阪府大東市、植田良次社長)は、同市内に新工場を設立し、従来事業の強化と食品残さリサイクルへの新規参入を計画する。新システムを採用した廃食用油の精製設備と、食品残さの肥飼料化設備の導入を決定。すでに建屋などは完成しており、設置許可の取得といった最終調整を経て5-6月の稼働を目指す。


◇メガソーラー発電施設を計画
酒田港湾地区に1MW

- 酒田港リサイクル産業センター -

 リサイクルポートを運営している酒田港リサイクル産業センター(山形県酒田市、加賀谷聡一社長)は、メガソーラー発電の計画を進めていることを明らかにした。発電規模は1メガワット、港湾地区の敷地約2ヘクタールに建設し、2013年夏の稼働を目標としている。


◇長寿命化・高効率化を実現
破砕テーブルで選別/油圧制御の破砕機

- メッツォ・ミネラルズ・ジャパン -

 廃棄物破砕機の販売を手掛けるメッツォ・ミネラルズ・ジャパン(横浜市、横山文雄社長)は、2軸一次破砕機「M&J Eta®PreShred 6000、4000、1000シリーズ」の販売を強化する。設定粒度にあわせ内蔵する刃の数を変更でき、全機種とも、設定粒度以下の投入物は、破砕テーブルが併せ持つスクリーン効果で通過させることができるなど、使用機器の長寿命化と処理の効率化を実現した。


◇試験プラントで土壌洗浄
微細がれきなどを除去/津波被災農地の修復技術実証

- 日立造船/住友化学 -

 日立造船と住友化学は、東京都内で、2011年12月から宮城県亘理町で行ってきた津波被災農地の修復技術の実証で、混入した廃棄物選別に効果があることを明らかにした。土壌を解泥装置に投入し異物除去スクリーンで微細がれき、洗浄・分級装置で洗浄砂分、静沈槽で凝集剤を静沈泥分して、脱水装置で脱水ケーキをそれぞれ回収する。清水は洗浄用水槽から各工程に注入し、土壌と攪拌させ洗浄し、ろ過した後放流する。


◇小型家電リサイクル法
対象品目、認定基準が明らかに
基本方針、政省令案を公表/今年4月から本施行
広域回収でスケールメリット/金属は売却できる状態に/個人情報の保護対策も必要

 今年4月から「使用済小型電子機器等の再資源化の促進に関する法律(小型家電リサイクル法)」が施行される。一般廃棄物や産業廃棄物の処分業許可に関わらず、主務大臣である環境大臣と経済産業大臣から再資源化事業計画の認定を受けた事業者及びその委託を受けた者は小型家電の再資源化に携われるようになる(法第13条)。


◇小型家電R識者インタビュー
一般排出者の行動分析に課題
市町村が参加しやすい制度を/既存取り組みとの整合性に疑問も

- 神戸山手大学 現代社会学部 環境文化学科 教授 中野 加都子氏 -

 2012年8月に成立した「使用済小型電子機器等の再資源化の促進に関する法律」いわゆる小型家電リサイクル法。廃棄物処理の最適化と供給危機が叫ばれる有用金属資源の循環利用促進を目的に、強制ではなく関係者の意欲によって立つ促進法として、自治体や関連事業者から高い関心が寄せられている。


◇小型家電R自治体動向
小型家電Rに試行錯誤する自治体
制度開始控え対応急務/制度や広域処理によらない事例も

 自治体による小型家電リサイクルはここ数年で急激に広がった。環境省等が主導したモデル事業に限らず、独自スキームでの回収・リサイクルに取り組む市町村も増加。大小さまざまなモデルケースが割拠している状況だ。一方で、小型家電リサイクル法制度の具体的なイメージがつかめず、取り組みにくさを感じている自治体も少なくない。


◇レアメタル世界潮流
レアメタルの確保戦略続々
供給開拓を進める日本/油断できない中国の動向

 2010年末以来、議論もかまびすしいレアメタル等の希少金属資源。先端技術に欠かせない原料である一方、生産地の偏在性による供給不安を抱える資源だということは、もはや広く一般にまで知られている。この危機的状況は日本以外の諸外国でも例外はなく、各国は国家戦略の一部として、資源確保に取り組んでいるのが現状だ。日本でも政府関係省庁を中心に、元素戦略プロジェクトを推進。


◇レアメタルリサイクル事例
家電、車、PCから回収
資源化システムを整備/原材料への利用も進む

 次世代自動車や家電製品、パソコン、電子機器などに使用されているレアメタル。その希少性や偏在性から供給難や価格高騰のリスクを抱えており、鉱山開拓や代替材の開発、備蓄と併せてリサイクルによる確保を進めていかなければならない。昨年、経済産業省と環境省はリサイクルを重点的に検討すべき鉱種として、ネオジム、ジスプロシウム、コバルト、タンタル、タングステンの5鉱種を選定した。


◇元素戦略識者インタビュー
資源仕分け業」の確立急務/国際的な危機感広がるレアメタル/循環システムが日本経済の切り札に/小型家電Rで地域活性を

- (独)物質・材料研究機構 特命研究員(元素戦略) 工学博士 原田 幸明氏 -

 日本のモノづくりを支えるさまざまな資源のなかでも、昨今、危機を迎えたものとして注目を集めるのが希少金属資源だ。レアメタル・レアアースという言葉とその危機的状況は一般にも認知され、供給不安や政治的背景、チャイナリスクなどと並んで語られる国際問題としてもその関心は高い。


◇医療廃棄物処理最前線
焼却や滅菌など処理が多様化/要望に合わせたサービスを提供

 全廃棄物の中でも特別管理産業廃棄物として扱われている医療廃棄物は、その性状に合わせた特殊な手順があり、通常の処理施設とは違っている。医廃を処理する多くの施設では、通常産廃とは別の投入経路、保冷庫や人の手を介す必要のない自動投入設備などが求められている。医廃の処理方法は焼却が主流とされている。


◇食品リサイクル法改正に向けた課題
次期改正へ待ったなし
カギ握る自治体の対応/FITで状況は一変

 現行の改正食品リサイクル法が施行されてから昨年12月で5年が経過し、次期改正に向けた制度の見直しへ待ったなしの状況となっている。今回の改正では、現行制度の課題を解決することと併せて、昨年7月に施行された再生可能エネルギー固定価格買取制度(FIT)や、7府省連携によるバイオマス事業化戦略を踏まえた形で、どのような制度設計がなされるのかに注目が集まる。


◇食R最新事例2012
高付加価値商品を開発で勝負
六次産業化の動きも拡大/地域経済活性化につなぐ

 近年の食品リサイクル現場では、再生処理業の枠を超え、高付加価値商品の開発や、地域と連携して六次産業化にまで乗り出す事業者が目立つ。経済的インセンティブが働きにくいとされる同業界において、独自のアイデアで新たな事業展開を目指す事例を追った。


◇新春インタビュー
総合小売業ユニーの挑戦
食残は食料に戻すことが原則/排出事業者の食R最前線

- ユニー 業務本部 環境社会貢献部 部長 百瀬 則子氏 -

 アピタやピアゴなどのスーパーマーケットを展開する総合小売業のユニー(愛知県稲沢市、前村哲路社長)は、2001年に環境部を設置、廃棄物減量やリサイクルといった各種取り組みを進め、食品リサイクルでも高い実績を誇る。食リ率は11年度実績で54.2%。食品リサイクル法上の「再生利用事業計画」認定も全国最多の10件を取得済みだ。この背景にある同社の思いとは。環境社会貢献部の百瀬則子部長に聞いた。


◇古紙の輸出動向
回収量の約2割が海外に/市況弱含みで業界に波乱

 現在、日本で回収された古紙の約8割は国内で消費されるが、それ以外の余剰分は海外へ輸出されている。1997年以降、輸出量は16倍近く拡大。国内消費量が減少傾向にある中、輸出比率は今後さらに増えていくと予測される。昨年は欧州不況や円高の影響を受け、市況の下落が続くなど波乱含みの年であった。これまでの古紙輸出状況を振り返るとともに、今後の動向について考えたい。


◇古紙業者インタビュー&事例
今年は業界再編成の時代へ/新事業展開も続々と

- 協同組合大阪再生資源業界 近代化協議会 理事長(山上紙業会長) 山上 春美氏 -

 日本の古紙回収率は約80%と非常に高いが、書籍の電子化や少子化により回収量は低迷している。昨年は、古紙業界にとって輸出価格の下落、それに合わせた国内建値下げも2回行われるなど厳しい状況が続いた。反面、ごみ焼却量削減の一環として、雑がみなど資源化可能な紙ごみの分別回収に注力する自治体が増えてきたことは、回収量の掘り起こしにつながるだろう。激動の時代を迎えた古紙業界の今後の展望について、協同組合大阪再生資源業界近代化協議会、大阪府紙料協同組合の理事長を務める山上紙業の山上春美会長に聞いた。


◇事業系ごみ対策の現状
自治体ごとに多様な施策/区分や扱いの異なる品目も

 一般廃棄物のうち、約3割近くを占める事業系ごみ。自治体におけるごみ減量施策の中でも、管轄内の事業者に排出者責任を意識させることで、今後のさらなる進展が見込まれるのがこの部分だろう。事業系ごみの処理をめぐっては、自治体によって搬入手数料の設定に大きな開きがあることや品目によっては産業廃棄物と一般廃棄物の区分が異なるというように、自治体ごとの判断に基づいて微妙に異なるルールが存在する。


◇大阪市の一般廃棄物動向
10月から新規許可を開始/ごみ収集業務は民間委託へ

 大阪市の事業系一般廃棄物処理の仕組みが大きく変わろうとしている。まず昨年4月に、ごみ処理手数料の値上げが行われた。続いて、ごみの民間委託に伴う市職員の非公務員化を発表。何より物議をかもしたのが、一般廃棄物収集運搬業の新規許可についてで、今年10月から開始するとしている。他にも、焼却工場への紙ごみ搬入禁止も始まるなど、既存業者は対応に追われている。その流れを時系列で追ってみた。


◇廃食用油リサイクルのこれから
処理法に則り、安全・安心を確保/排出事業者の関心高いBDF

 国内食用油の年間消費量は約223万トンとされる。そのうち、外食産業や食品工場、飲食店などから出る使用済み食用油の発生量は年間約34万トンと推計され、その大半は飼料用に使われている。そのため、廃食用油を処理・再生する油脂業界では、その取り扱いに際し、産廃であるとの基本認識の下、廃棄物処理法に基づく排出事業者との委託契約やマニフェスト管理、トレーサビリティの確保など安全・安心を確保する取り組みを強化している。



1月21日号ダイジェストニュース

2013新春特別号No.4

◇業界初、ISO39001認証取得
道路交通安全の国際規格活用へ

- 山ざき砂利商店 -

 砕石業・産業廃棄物処理業・汚染土壌処理業等で実績を持つ山ざき砂利商店(大津市)は、1月10日、業界で初めてとなるISO39001の認証を取得した。


◇“創エネ企業”として進化
国内最大のRPF工場で/290kW太陽光発電導入、売電

- 関商店 -

 関商店(本社・埼玉県久喜市、関勝四郎社長)は、同社茨城工場(茨城県古河市)に290キロワットの太陽光発電システムを導入、2月から稼働を開始する見通しとなった。茨城工場は年間約8万トンのRPF生産能力を持つ日本最大のRPF製造工場。太陽光発電による電気は、再生可能エネルギー固定価格買取制度(FIT)に基づき、全量を東京電力に売却する。


◇処理終了を確認できる仕組みへ
フロン対策の案、取りまとめ

- 環境省/経産省 -

 環境省と経済産業省は、フロン類の対策について方向性の案をまとめた。フロン類の回収促進を具体的な方向性の1つとし、廃棄等実施者や整備発注者がフロン類の処理終了を確認できる仕組みを検討する。具体的に考えられるスキームは、破壊業者・再生業者がフロン類の破壊・再生を終了した段階で回収業者に報告。廃棄等実施者などは、その回収業者を経由して処理終了を確認できる。


◇連続式の新型製造機を開発
バイオコークス生産能力4倍に

- 近畿大学/ナニワ炉機研究所 -

 近畿大学とナニワ炉機研究所(大阪府八尾市、村田悦夫社長)は、同大学・理工学部の井田民男准教授のグループが研究開発を進めるバイオマス由来の固形燃料「バイオコークス」について、新型連続製造機を開発した。従来機を連続式にすることで、生産能力は約4倍に向上。消費電力とともに、製造プラントの初期投資や運転コストも低減できるとして期待を集めている。


◇古畳1万枚受け入れ
太陽光パネルも設置

- 加山興業 -

 産廃の収集運搬や中間処理、建物解体などで実績を積む加山興業(名古屋市、加山順一郎社長)は、解体の増加を見越して、古畳を1万枚規模で大量受け入れ、RPFの原料とすることを明らかにした。3月には中間処理工場の屋根に46キロワット規模の太陽光パネルを設置、発電事業にも参入する。


◇アミ下も高精度で分離
新方式の選別ライン開発/トロンメル型ホッパーが均等

- プラントシステム -

 破砕機などの処理機器で実績を重ねるプラントシステム(静岡市清水区、木内智之社長)は、建設系の現場等で発生する混合廃棄物処理を新方式のシステムで、高精度の分離を実現した選別機「PIMTER」を開発、本格的な販売をスタートした。


◇CSR推進室を設置
不用品回収にTポイント採用

- アースサポート -

 一廃や産廃の収集運搬や総合リサイクル事業などで実績を重ねるアースサポート(松江市、尾崎俊也社長)は、環境と福祉の融合を目指し、環境企業として責任を果たすために自社内に「CSR推進室」を設置した。同社は、不用品回収や解体時の見積もり依頼でもポイントが蓄積される「Tポイント」を採用し、全国加盟店で1ポイント1円として、貯めたり、使用したりすることができるシステムも取り入れた。


◇木質バイオマス利活用のこれから
FIT施行、調達区分の証明が重要/期待される業界団体の自主努力

 昨年7月木質バイオマスを含む再生可能エネルギーの固定価格買取制度(FIT)がスタートし、これまでほとんど未利用だった木質バイオマスに関心が集まっている。同制度で買い取りされる木質バイオマスには、間伐材、一般木材、リサイクル材の3つがあるが、買い取り価格が違う。


◇新春インタビュー
木質バイオマスの利活用と森林再生

木質バイオマスエネルギー利用推進協議会 会長 筑波大学 名誉教授 熊崎 実氏に聞く
FITの下、発電と熱利用の両輪で/徹底したカスケード利用を

 木質バイオマスの利活用を進める国の施策が、森林再生を願う林業関係者の注目を集めている。昨年7月にスタートした「再生可能エネルギー買取制度(FIT制度)」をはじめ、同年11月にまとまった「バイオマス事業化戦略」、「森林・林業再生プラン」などがそれだ。本紙では、FITが林業活性化のきっかけになるどうか、日本の林業に詳しく、木質バイオマスエネルギー利用推進協議会会長を務める熊崎実・筑波大学名誉教授に話を聞いた。


◇木質バイオマス利活用事例
建廃系を受け入れている大型施設が主流/カギ握る燃料の安定確保

 すでに国内で稼働している木質バイオマス発電施設は、主に建設廃材由来の木質バイオマスを受け入れ、大型化しているところが多い。それらの施設では大型化に伴い、設置条件や燃料の確保が重要課題となっている。一方、熱利用の取り組みも注目される。近年、木質バイオマス熱利用がエネルギー効率面で良いとされ、発電とともにボイラでの利用が増えている。


◇木質バイオマスのビジネス展望
FIT開始で燃料化が加速/発電所の新設・増強次々と/目指すは“林業の再生”行政・森林組合との協力で

- グリーンサーマル 飯森 浩一社長 -

 再生可能エネルギー固定価格買取制度(FIT)が昨年7月から開始された。木質バイオマスを燃料とした新規発電所の設立・既存施設の発電能力の増強などが全国的に目覚ましい勢いで進んでいる。ここでは、FIT認定第一号のグリーン発電会津(福島県会津若松市)などを展開するグリーンサーマルの飯森浩一社長のインタビューと同社運営の発電所を紹介する。林業や発電所運営、木質チップ燃料の収集まで手掛けてきた飯森社長に、同発電のビジネス展望を聞いた。


◇木質バイオマス発電事例
FIT開始で参入続々と/林業復活にも期待集まる/各社売電事業の強化へ

 2012年は、7月に施行された「再生可能エネルギー固定価格買取制度」(FIT)を受け、木質バイオマス発電事業に参入する事業者が相次いだ。例えば、制度内における未利用木材の買い取り価格は33.6円。低迷が続く国内林業にとっては特に、木材価値を高めてくれるものとして期待が集まる。ここでは、FITを活用して地元林業の活性化を目指す事業者や、売電事業の強化を図る事業者など、各種事例を紹介する。


◇全国木質バイオマスボイラーアンケート
47事業所の稼働状況/投入チップの傾向と推移

 2012年12月初頭、全国で木質バイオマスボイラーを設置する企業を対象にアンケートを実施した。09年に実施したアンケートをもとに121事業所へ解答を依頼したところ、47事業所からの有効解答があった。


◇混合廃棄物処理の最前線
建設系由来が大量排出へ/公共事業に数兆円規模の補正予算/防災・減災対策の一環で

 1950年代から70年代にかけての高度経済成長期に建設された建物が更新時期を迎え、本格的に解体工事が増えはじめた。解体から生じる建設系廃棄物の再資源化促進の一環として、2002年に建設リサイクル法が完全施行された。13年度は5年に一度の見直しの年にあたり、リサイクルが義務化される特定建設資材の品目の見直しが行われるか否か大きな関心事だ。


◇新春インタビュー
価格見える化進め市場活性化

全国木材資源リサイクル協会連合会 理事長 鈴木 隆氏に聞く
メーカー、ユーザー双方に利益を

 昨年7月にFIT(再生可能エネルギーの固定価格買取制度)がスタートした。バイオマスでは、7月にFIT第一号機のグリーン発電会津が稼働したほか、11月にはファーストエスコグループがRPSからFITに移行するなど、全国的にFITへの注目が高まっている。


◇再生砕石組合 事例紹介
千葉と山形、地域で大きな違い/再生砕石の過剰と不足、公共工事不足が原因か

 国内の再生砕石について、需給バランスの乱れが問題となっている。全体として都市圏は供給過剰、地方は供給不足という傾向が強く、それぞれ出荷先が見つからない、あるいは在庫が足りないという業者が増加している。都心部に近い千葉県では都内で発生するがれきが入ってくるほか、解体工事の増加に伴い、在庫が増えている。


◇新春インタビュー
独自の商品や地域のネットワーク活用

石膏再生協同組合 理事長 市川 學氏に聞く
廃石膏リサイクルを拡大

 石膏再生協同組合は、廃石膏ボードのリサイクル業者5社が発起人となり、2012年5月、環境省の認可団体として発足した。組合員の石膏粉を有価で買い取り、ユーザーに有償で売却する事業体系の構築を進めている。


◇石膏ボードリサイクル/建設系廃棄物
現状と課題、そして今後の展望/公共事業の拡大で解体系増の予想

 新設建物の着工件数と石膏ボードの需要は密接な関係がある。一昨年に発生した東日本大震災の影響に伴い、石膏ボードの生産量は一時的に落ち込んだものの、その後の復旧・復興により増加。住宅エコポイントといった住宅関連支援政策や消費税増税前の駆け込み需要などが重なり、2012年度の新築着工件数は最終的に87万戸前後まで伸びることが予想されている。


◇石膏ボードリサイクル/事例紹介
石膏ボード資源リサイクル協会が設立/三菱マテリアルと連携で受け皿確保

 高度経済成長期に建設された建物の老朽化が進み、建物の解体工事の受注件数が大幅に伸びてきている。今後、さらなる解体需要の伸びに伴い、廃石膏ボードの受け皿が大きな問題となっている。しかし、中間処理施設に持ち込まれる量はあまり変化がなく、埋立処分されているのが現状だ。


◇岩手・宮城県の災害廃棄物
処理リサイクルの加速が課題/広域処理調整済み51万t

 東日本大震災の被災3県(岩手・宮城・福島)沿岸市町村の災害廃棄物処理の進捗状況は、昨年12月の時点で全体の3割にとどまっており、処理リサイクルの加速が課題となっている。環境省は今年3月末までに6割処理という中間目標を掲げ、その達成を目指しているが、岩手・宮城両県のひと月当たりの処理・処分量の増加は十分とはいえない。


◇災害廃棄物の広域処理
西日本で受入・焼却が本格化/放射能対策で安全処理を確保

 東京都および関東地域を中心として進められてきた、災害廃棄物の広域処理。昨秋からは北九州市、静岡県での受け入れも本格的に開始され、金沢市・大阪市も試験搬入・焼却を実施するなど注目を集めている。


◇バイオマス事業化戦略の概要
動き出す国家プロジェクト/多種多様なバイオマスを有効利用/20年に5000億円規模の新産業創出へ

 内閣府、総務省、文部科学省、農林水産省、経済産業省、国土交通省、環境省の7府省で構成するバイオマス活用推進会議は2012年9月6日、「バイオマス事業化戦略」を決定した。家畜排せつ物や食品廃棄物、木質系など多種多様な地域バイオマスを有効利用し、20年までに約5000億円規模の新産業創出を目指す。


◇鉄スクラップ輸出動向
輸出総量6割超増加/世界最安値圏で引き合い強く/円高環境と国内低調も影響

 2012年1-10月の鉄スクラップ輸出は活況を呈した。輸出総量は696万6927トンで、前年同期から276万7090トン増(165.9%)、前々年同期比でも157万9935トン増(129.3%)となった。世界的に見ても安値圏となった日本スクラップへの引き合いが集中。特に韓国筋の旺盛な需要に引き出される形で10カ月中6カ月にわたって輸出量が70万トンを超えた。低調だった前年とは一転、強い引き合いが継続した形だ。


◇非鉄金属国際動向
金融イベントに踊る非鉄/投機的な動きで乱高下継続/マーケットを踏まえた舵取りを

 2012年の非鉄金属国際市況は、完全に金融商品化が定着し、各国のさまざまな金融・財政上のイベントに左右される不安定な状況となった。継続する欧州国債危機(ソブリンリスク)、米国の第三次量的緩和金融政策(QE3)と年越し後の米「財政の崖」、さらに各国の首班選挙などで金融マーケットからマネーが頻繁に出入り。実需給と結び付かない投機的な値動きが目立った。


◇繊維リサイクルの現状
再生利用率は10-20%/新たな用途の開発が課題

 近年、古着の回収に取り組む自治体や小売店が増え、中古衣料の市場も拡大傾向にある。しかし一方で、繊維廃材全体のリサイクル率は10-20%とここ10年変わっていない。毎年約200万トンの廃繊維製品が排出されているにも関わらず、素材の複合度の高さや製品の多様性、再生用途の少なさが大きな壁となり、その取り組みが一部に限定されているのである。ここでは、故繊維業界や繊維メーカー、小売店の現状について紹介したい。



1月28日号ダイジェストニュース

2013新春特別号No.5

◇分離古紙の再生に成功
独自方式で横型プレス導入

- 酒見建設 -

 産廃と一般廃棄物の収集運搬や中間処理、建築・土木、リフォーム、解体工事などで実績を重ねる酒見建設(福岡県久留米市、酒見誠社長)は、廃石膏ボード処理で、石膏粉と古紙を分離した後、古紙を再生させるため、大型の横型プレス機などを導入し、独自の方法を構築。古紙の価値を高める工夫に成功した。


◇総合リサイクル事業を拡充
廃棄物発電の検討も

- 三功 -

 三功(津市、片野宣之社長)は、昨年段ボールの回収を開始し、廃棄物・資源物の一括受け入れを可能にした。生ごみや廃プラスチック類、缶・びんなどについてはリサイクルシステムの実績を確立しており、さらに総合リサイクル事業の拡充を図る。また、再生エネルギー固定価格買取制度(FIT)の施行を受け、発電事業の検討も進めていく方針だ。


◇床ワックス剥離廃液の専用工場
ポリマー回収、RPF原料へ/廃液は3段階で適正処理

- グンビル -

 ビルメンテナンス業のグンビル(群馬県伊勢崎市、高野健社長)は、床ワックス剥離廃液専用のリサイクル施設を伊勢崎市内に開設した。廃液は「中和・凝集沈殿」「真空乾燥蒸留」「生物処理」の3段階で処理を行い、排水基準値以下にして河川放流する。廃液に含まれる高分子重合体(アクリルポリマー)は取り出して、RPFの原料として供給する。


◇再生利用事業登録を取得
食リ堆肥の品質向上も強化

- 塵芥センター -

 廃棄物処理業などを手掛ける塵芥センター(高松市、平尾範明社長)は、2011年から開始させている食品残さの肥料化事業で、このほど食品リサイクル法上の「再生利用事業登録」認定を受けた。製造肥料の品質確保につなげるとともに、登録による収集運搬上の特例等を活用して事業拡大を目指す。


◇微粉炭火力発電に木質チップ混焼
年間10万tのCO2削減

- 宇部興産 -

 大手セメントメーカーの宇部興産は、宇部地区(山口県宇部市)で稼働する微粉炭火力発電所で、木質チップと混焼して発電。解体系チップを年間8万トン投入し、混焼によりCO2排出量を年間10万トン削減してきた。


◇10%の比重差で選別可能
金属、ガラス、プラ、木くずまで/独HAMATEC社製

- ユーロプランニング -

 ユーロプランニング(本社・岐阜市、星徹社長)は、ドイツ・HAMATEC社製のリサイクル向け比重差選別機「LINUS」、ロータリースクリーンクリーナー「KS」型などを日本市場で本格販売することになった。比重差選別機「LINUS」は、廃棄物中の鉄や銅線、アルミ箔などの金属、ガラス、陶磁器、砂、プラスチックなどを10%の比重差で選別できる。木くず中の金属など異物選別除去にも対応できる。


◇2011年度不投事案192件
大規模事案が新たに2件

- 環境省 -

 環境省は昨年12月28日、2011年度の不法投棄等の状況について明らかにした。11年度に新たに判明した不法投棄事案は192件(不法投棄量5万3000トン)と前年度に比べ、減少した。不適正処理事案は183件(不適正処理量120万9000トン)で前年度に比べ、件数は減少したが、量的には114万5000トン増えた。同省では「これまで報告されていなかったものが報告されたため」と話す。


◇電子マニフェストは今
導入後、実感される効率化/優良認定で加入促進に期待

 電子マニフェストは、適正処理を担保するだけでなく、事務の効率化やコンプライアンス徹底との安心をもたらす管理ツールの1つだ。紙マニフェストによる事務作業の膨大さから電子マニフェストに注目し、導入後、効率化が実感され、評価する声も多くなっている。


◇除染事業最前線
除染技術の実証が進む/現場では課題が山積に

 除染の実証事業としては、内閣府、福島県、環境省、農林水産省などがそれぞれ公募している。路面や森林、側溝や農地など除染対象別に民間企業の技術提案を採用した。内閣府の除染技術実証試験事業では、除染効果、経済性、安全性を確認するため、除染作業効率化技術、土壌等除染除去物減容化技術などの提案があった。2011年11月から12年2月末まで実施し、結果を公表している。


◇除染技術-事例-
自社技術応用し導入コスト低減/用途に合わせた除染を実現

 本格除染が進んでいる中、作業の中核を担う技術も民間企業各社から日々提案されている。既存技術を応用し、放射性物質の吸着や遮蔽効果で、空間線量率を低減しているほか、生産体制を確保しているため、比較的低コストな除染作業を実現している。もともと除染作業以外の用途に開発したものを活用していることも多く、多目的に使用することもできるのが特徴。本紙では除染作業の各工程に対応した技術を紹介する。


◇知っておくべき行政処分事案、及び対処ポイントについて-寄稿-

- 行政書士エース環境法務事務所 代表取締役 尾上 雅典 -

 2012年3月27日に環境省から公表された「産業廃棄物処理施設の設置、産業廃棄物処理業の許可等に関する状況(2009年度実績)について」によると、09年度の産業廃棄物処理業許可の取消件数は1249件だった。前年の08年度は902件だったため、急激に増えたという印象を受ける。ただし、07年度以前の許可取消件数も年間約800件以上で推移しているため、近年の許可取消件数は元々多かったのも事実である。


◇低濃度も無害化施設の対象に
民間施設での処理進む/「2027年まで」期限延長へ/筐体の処理が課題
微量PCB廃棄物

 微量PCB(ポリ塩化ビフェニル)に汚染された廃電気機器は、トランス・コンデンサが約160万台、再生油を使用した柱上トランスが約291万台、OFケーブルが約1400キロメートル、微量PCBそのものの量は約3トンと推定される。2013年1月現在、全国で稼働している微量PCB汚染廃電気機器等の無害化処理施設は8カ所となった。昨年8月には、同施設での処理対象に廃棄物1キログラム当たりのPCB濃度が5000ミリグラム以下の低濃度PCB廃棄物も加えられた。微量PCB廃棄物を中心とした動向を追った。


◇インタビュー
特措法施行後の業界・行政の取り組み

福島県の現状とこれから

 福島県は、東日本大震災による被害に加え、膨大な量の災害廃棄物の発生や放射性物質の影響があり、処理できず、保管をせざるを得ない産業廃棄物が発生した。民間事業者では独自に受け入れ基準を設けるなど対応も各社さまざまだ。


◇処分場の残余容量が減少
増設や新規設置も進む

 福島県内の最終処分場では、震災後一時的な搬入量の増加に加え、以前から既存処分場の残余容量が減少し、新規設置や一部増設などの計画も進んでいる。災害廃棄物は県内での処理が規定され、焼却処理が始まったいわき市では、市の管理型処分場での主灰の埋め立てに加え、民間の安定型処分場でも対象品目の受け入れ協力を行っている。


◇跡地利用から見る新事業
日本最大の海面埋立場の値上げ/循環型構築の追い風にも
西日本最終処分場

 東日本大震災で発生した「震災廃棄物処理」や「放射能問題」で最終処分場が不足している。最終処分の受け入れ単価も急激に上がり、中間処理にも影響している。従来、処理してきた焼却灰やばいじんの行き場がなくなってきた。処理単価もアップ。被害の大きかった東北3県にある最終処分場は、災害廃棄物処分に苦慮してきた。


◇新春インタビュー
排出事業者にも優良認定導入を

弁護士 阿部 鋼氏に聞く
遺品整理は民法の視点から

 処理業の育成・支援策として注目される「優良処理業者認定制度」。10年以上にわたり、廃棄物処理業関連の法務経験を持つ阿部鋼弁護士は、認定制度の抱える課題や問題を挙げながら、今以上に拡充発展させていくことが重要だと訴えた。


◇第1回アジア廃棄物処理事情調査(ベトナム、タイ)ルポ
高度経済成長で廃棄物対策も進展の兆し/高まる焼却処理ニーズ/分別・リサイクルは発展途上
企画・派遣/日報ビジネス
旅行企画・実施/ティ・シィ・アィ・ジャパン

 排出側の3Rの徹底とともに、少子高齢化や産業の空洞化を受けて、日本国内の廃棄物の排出量は減少局面に入っている。環境面で朗報な半面、国内の廃棄物処理業者は市場縮小と向き合わなければならない。従来の業態の延長線で廃棄物の調達競争をエスカレートさせると、事業経営を疲弊させる結果しか生まない。


◇遺品整理関連団体インタビュー
広がる遺品整理業/処理適正化など課題も

- 遺品整理士認定協会 理事長 木村 榮治氏 -

 近年、高齢社会の進展等に伴い、遺品整理業など一般家庭を対象とする不用品の整理・処分サービスの需要が拡大している。これを受け、引っ越し・配送業者、一般廃棄物の収集運搬などさまざまな業種からの遺品整理業務への参入は増加傾向だ


◇遺品整理最新の参入事例紹介
多種多様な事業展開/本業との相乗効果も

 近年、経済不況を受けたごみの処分量減少など、廃棄物の収集運搬・処理を取り巻く状況は厳しさを増している。一般廃棄物においても、収集運搬の許認可を広く認める自治体が増加するなどの変化があり、新たな事業展開を模索する必要を感じている業者も少なくない。このようななか、一廃業者をはじめ、廃棄物を扱う業者が本業と関連して取り組みやすい遺品の整理や運搬業務に力を入れるケースが増えている。


◇FIT下の太陽光発電事業
導入増えるも課題は採算ベース/設置にはきちんとした計画が必要

 「太陽光発電は設置すれば必ず儲かる」昨年7月に始まった再生可能エネルギー固定価格買取制度(FIT)によって、新エネルギーに注目が集まった。特に太陽光発電は買取価格が1キロワット当たり42円、買取期間が20年ということもあり、導入に拍車が掛かった。ビジネスとして設置する事業者も増えている。


◇FIT下の太陽光発電事例
今年も産廃業者の注目度は高い/2013年度の価格を見越した事業化を

 「今年は太陽光発電を検討したい」という産廃業者は多い。未利用地で収益があげられる、社会や地域貢献ができる、非常用電源として確保できるなど、導入の理由はさまざまだ。しかしどうやって太陽光発電を導入したらいいのか、導入した同業者はどうなのか、といった情報は意外に少ない。これから太陽光発電の設置をどう考え、何を検討していけばいいのか。太陽光発電の設置は家庭用の小規模からメガソーラーの大規模まで発電容量はさまざまだ。設置場所や投資額によっても左右される。維持管理はどうなのか。これからの設置に関する動向と事例を合わせて紹介したい。


◇2013年に海外で開催される主な環境展示会



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