循環経済新聞・バックナンバー“2017年1月度”

1月1日号ダイジェストニュース
◇業界再編、新展開に挑む
改正法対応、再エネ、リユース/高度リサイクルもしのぎ合い
災害頻発、社会貢献必須

 環境省の廃棄物処理制度専門委員会は昨年12月15日に開かれた第7回会合で、廃棄物処理法見直しに係る報告書(案)を明らかにした。個別リサイクルや国際的な対応が求められている対象物などに係るさまざまな法制度も大きく変わる。廃棄物処理・リサイクル業界で大手や有力業者による再編が進む中、いかに事業を展開するか、頻発する災害に対して地域に根付いた企業としていかに貢献するかが問われる新たな年の始まりだ。

◇新春インタビュー 資源等の創り手へ、業の質的転換を
業法立法化、資格制度創設へ
- (公社)全国産業廃棄物連合会 会長 石井邦夫氏に聞く -
 廃棄食品不正転売事件で始まった2016年。多難な幕開けとなったが、(公社)全国産業廃棄物連合会(石井邦夫会長)は、一貫して堅実な対応を示した。再発防止への具体的な対策づくりに迅速に着手するとともに廃棄物処理法の次期改正に向けては、29項目の要望書を環境省に提出した。一方、業界の振興策や人材育成方策などの将来課題にどう取り組むか。石井会長は、廃棄物から資源やエネルギーを生み出す「資源等の創り手」へ、業の質的転換を確かなものとする取り組みを強調、業法の立法化や資格制度の創設に強い意欲を見せた。また、存在感を増している青年部・女性部の活躍を称賛、エールを送った。

◇新春インタビュー 2年目を迎え新たな挑戦
組織の基盤整備に着手
- 全国産業廃棄物連合会 青年部協議会 会長 仲田陽介氏に聞く -
 2015年に全国産業廃棄物連合会青年部協議会6代目会長に就任した仲田陽介氏は、就任2年目を迎え組織基盤の整備に着手している。規約の見直しや災害対策マニュアルの策定、全国大会の開催、連合会との連携の強化など伝統を維持しつつ新たな取り組みに挑戦し、青年部協議会のさらなる発展を目指して奔走している。

◇見直しから具体的作業へ
国内外の課題、同時並行で/新たな施策へ検討続く
法制度見直し展望2017

 昨年は容器包装リサイクル法見直しの合同会合が約2年8カ月にわたる審議を終え、すでに審議会を終えていた自動車リサイクル法見直しなどでワーキンググループによる新制度への具体的な作業が始まった。食品リサイクル法でも横流し事件を契機に新たな対応策の検討が進められた。廃棄物の越境移動やPOPs、水銀など国際的な問題でも議論が重ねられている。廃棄物処理法見直しでは昨年12月15日に報告書(案)が打ち出された。今年は、これら見直し事項が一気に具体化する。

◇焼却工場CO2光合成でジェット燃料
拡大する中古品流通市場/不用品転じて地域発展
成長分野探究 ~異業種ネットで価値を生む~

 成長産業に脱皮するために、死闘を始めた処理業界だが、異業種と連携することで、ビジネスが広がり、価値が生まれてきた。ごみ焼却で発生するCO2を活用して藻を培養、サプリメント原料にする事業。不用品家具のリユース、ドローンを使った処分場の管理、竹害転じて地域活性の鍵となる事業、農業との組み合わせ等、近未来を見る。

◇パリ協定が発効
脱炭素社会に世界が舵を切る
パリ協定への対応と産廃業者の取り組み

 2015年12月の国連気候変動枠組み条約第21回締約国会議(COP21)でパリ協定が採択され、昨年11月4日でパリ協定が発効された。異例の早さだという。いち早く動き出したのはビジネスの世界だ。脱炭素社会に世界が舵を切ったことで巨大な市場が創出される。こうした新たな市場が生まれる一方で、温室効果ガスの厳しい削減が世界各国にそして日本にもやってくる。パリ協定後、社会や産業構造が大転換を迎えようとしている。こうした中で民間企業はどう対応していけばいいのだろうか。またビジネスとしてどんな可能性があるのだろうか。

◇資源効率性への関心高く
「富山物質循環フレームワーク」実現へ/国内で新たな潮流も
サーキュラー・エコノミー(CE)動向

 昨今、EUを中心とした資源戦略分野から盛んに唱えられているのが、「Circular Economy」(サーキュラー・エコノミー/以下、CE)だ。2015年末、EUは"Closing the loop"(輪を閉じる)と題した新政策パッケージを公表した他、世界経済フォーラム(ダボス会議)などでも中心的な話題となったこの経済モデルは、G7伊勢志摩サミットでも議題の一つとなり、「G7富山環境大臣会合コミュニケ」「富山物質循環フレームワーク」として結実。先進国が取り組むべき課題の一つとなりつつある。

◇循環型社会づくりに寄与する産廃のプロを
2018年度資格制度創設へ取り組み本格化
処理業界の人材育成方策

 処理業界の資格制度創設の取り組みが本格化している。2016年度の産業廃棄物処理業務研修会(主任レベル)は、収集運搬、中間処理(破砕・焼却・中和)、最終処分の5種類で現場のニーズに合った研修内容を固めるのが主な狙い。内容は、廃棄物処理法をはじめ顧客対応、労働安全衛生、処理実務などで構成。コンプライアンスと同時に、循環型社会づくりと低炭素社会に寄与する産廃のプロを育成する壮大なプロジェクトだ。

◇新春インタビュー 処理の広域ネットワーク構築
業界の課題解決にも
- 産業廃棄物処理業経営塾OB会 会長 中野宇喬氏に聞く -
 近年、産廃処理業の資質向上、および業者間のネットワーク構築に向けた取り組みが広がりを見せている。特にネットワーク化の進展は、情報交流による業界の課題の洗い出しや関係省庁への提言など、業界全体への波及効果も期待される。産廃処理業者同士のネットワーク構築を進める「産業廃棄物処理業経営塾OB会」の中野会長に話を聞いた。

◇新春インタビュー 適正処理への意識高まる
違反事例に学び、体制強化を
- 行政書士 エース環境法務事務所 代表 尾上雅典氏に聞く -
 昨年1月の廃棄食品転売事件発生を機に、排出事業者、処理業者の双方に廃棄物処理法違反リスクへの関心が高まっている。これは排出事業者が従来の廃棄物管理を見直し、より適正な仕組みを作り直す好機ともいえる。廃棄物管理は実務面に煩雑さがあるが、基本原則を守れば、万が一委託先で不適正処理が発生した場合も責任追及リスクを回避できる。それには、廃棄物担当者が実際の違反事例を学び、実務の原則を現場で徹底させていくことが何よりも重要だ。新年度に向け、廃棄物管理の実務チェックポイントと将来的リスクへの対処法について、行政書士 エース環境法務事務所代表の尾上雅典氏に話を聞いた。

1月9日号ダイジェストニュース
◇基本的な方向性を提示
有害物の幅が広がる/廃棄物処理法で措置へ
POPs廃棄物対策

 近年、「残留性有機汚染物質に関するストックホルム条約(POPs条約)」の規制対象に新たな物質が追加されていることを受け、環境省は昨年9月30日、「POPs廃棄物の適正処理推進に関する検討委員会」を立ち上げた。POPs廃棄物の適正処理の推進に向けた国内での検討を行い、12月7日に基本的な方向性を示した。特別管理廃棄物への指定や新たな枠組みを創設するなどの廃棄物処理法による制度的な措置を講じる。

◇新春インタビュー 法改正や国際的枠組みに対応
真の循環型社会形成へ/課題が多く残る1年に
- 環境省 廃棄物・リサイクル対策部 部長 中井徳太郎氏に聞く -
 昨年は廃棄物処理法改正から5年が経過したこともあり見直しの議論が進められた。昨年5月には大きな枠組みとして富山物質循環フレームワークが採択されている。国内・国外的な取り組みをどのように進めていくのか、環境省廃棄物・リサイクル対策部の中井徳太郎部長にその方針を聞いた。

◇新春インタビュー 適正処理の推進に重点
廃棄物処理法を改正へ/廃棄物処理業の振興を支援
- 環境省 廃棄物・リサイクル対策部 産業廃棄物課長 中尾豊氏に聞く -
 環境省は昨年5月から廃棄物処理法の見直しに向けた検討を開始し、12月中旬に報告書案を公表した。改正案の提出は、今年の通常国会を視野に入れて作業が進められている。廃棄物・リサイクル対策部の中尾豊産業廃棄物課長に、廃棄物処理法の見直しのポイントや廃棄物処理業の振興方策について聞いた。

◇未稼働案件への厳しい対応と新認定制度
大規模太陽光発電設備に入札制度導入
FIT改正と廃棄物系再生可能エネルギー

 2012年7月から始まった再生可能エネルギー固定価格買取制度(FIT)の法改正が行われ、大幅な見直しが図られる。現在、見直しの大まかな方向性が固まり、経済産業省の調達価格算定員会で見直しの詳細なルールづくりなどが行われている。新制度では新認定基準の創設やコスト効率的な導入の促進、リードタイムの長い電源の導入拡大などが行われる。特に太陽光発電は未稼働案件が多数存在することから、適正な事業実施を確保する新制度が導入される。未稼働案件に関しては待ったなしの状態となった。また、価格決定方式は入札制度や複数年度価格が導入される予定だ。

◇求められる根本的な解決法
生態系や環境に影響/国際的に関心高まる
海洋ごみの現状

 海岸に投棄されたプラスチックなどが海中に滞留する「漂流ごみ(海洋ごみ)」が問題となっている。国際的にも関心が高まっていて、各国が調査を行い対策を検討している。特にプラスチックが微細化した「マイクロプラスチック」は、海洋生物が摂取することで生態系を含めた海洋環境の悪化につながる可能性があることから懸念が高まっている。

◇27道府県1市/産廃税の使途
 産廃税は現在、全国27道府県と1市で導入されている。課税方式は大別して「事業者申告納付」「最終処分業者特別徴収」「最終処分業者課税」「焼却処理・最終処分業者特別徴収」の四つ。税収使途を中心に運用状況をまとめた。

◇顕在化させない対策
「知らなかった」では許されない/過去には"労務倒産"の事例も
労務管理最前線 ~トラブル防ぎ“攻め"の産廃経営~

 長時間労働や上司からのパワーハラスメントなどが原因で、過労死・過労自殺が相次いでいる。大手広告代理店に勤務していた女性が100時間を超えるという違法な時間外労働を課せられた上、上司からのパワハラなどを理由に自ら命を絶ったという悲しいニュースは記憶に新しい。2015年には、仕事に関連した理由で2159人もの人が自ら命を絶っているという。

◇既存事業の継続が鍵に
大型施設の竣工は一巡/無くなる地域の垣根
焼却・埋め立ての現状

 産業廃棄物の焼却・埋め立て事業は、3Rが進んでいる現在でも必要不可欠だ。近年では、特に東日本を中心に大型施設の竣工が相次ぎ、地域の垣根を越えて産廃が流通するようになった影響で、各企業間の競争が激しくなった。排出量が減少し続けている中で既存事業をいかに継続させるかが鍵を握っている。

◇拡大する無害化処理網
処理困難なものにニーズ/低濃度PCB処理動向
掘り起こしや分別に鍵

 低濃度PCB廃棄物の処理は、無害化処理網の進展に伴い、確実な前進を見せている。焼却処理に関してはほぼ全国を網羅。一方の洗浄系に関しては、電力会社のグループ企業を中心に認定が広がっており、自グループ内の対象機器の処理に一定のめどがついたこともあって、一般の保有事業者への働きかけを強めつつある。

◇処理完了に向け先進取り組み
新たな処理対象へアプローチ/低濃度PCB処理事例特集
年間1万t無害化で貢献/国内最大の処理実績
- エコシステム山陽 -
 DOWAグループのエコシステム山陽(岡山県美咲町、寺門洋社長)は、低濃度PCB廃棄物の無害化で国内有数の実績を持つ処理業者だ。2015年までの累計で4万7665トン、年間約1万トンに及ぶ処理対象物を無害化。1970年代から廃棄物処理業で培った知見とノウハウを生かし、期限内処理への貢献を深める。

◇新春インタビュー 医療廃棄物処理料金、もはや限界
排出事業者団体との協議の場を
- 元日本医師会審議役 原田優氏に聞く -
 2007年、(社)日本医師会在職時に医療関係機関を対象にした特別管理産業廃棄物管理責任者講習会の立ち上げに関わった原田優氏は「ここ10年、下がり続ける処理料金はもはや限界」と警鐘を鳴らす。処理業界が日本医師会など排出事業者団体との連絡協議の場をつくり、コミュニケーションを深めるなど対策を講じるよう訴えている。

◇電力会社は火力に舵切り
3品目発生量9.4%、市場規模18%/バイオマス発電は温暖化対策
燃え殻・ばいじん・鉱さいの最前線

 2016年11月4日、温暖化対策の新たな国際ルール「パリ協定」が発効した。日本は批准にもたつきはあったが、20年以降の温暖化対策に一定の道筋が見えてきた。本来ならば、原子力発電が温暖化防止の担い手として旗を振ることになっていたが、地域住民の不安が拭われないケースが多く、結果、再生可能エネルギーを含めて、火力発電に舵を切った。ここに、ばいじんや焼却灰の発生量が増えてきた背景がある。

◇ひっ迫状況続く残余年数
全国公共関与処分場調査(循環経済新聞編集部)
 環境省が発表した最新資料では、管理型最終処分場の残余年数について2015年3月26日現在、全国で13.9年といった状況だった。10年4月1日の段階では13.6年の残余年数だったことから、若干の残余年数の延命化が図られている。これは、発生抑制の取り組みをはじめ、リサイクル技術のレベルアップなどの影響が主な理由とされる。

◇品質・効率と人材対応
法的位置付け、再考の余地/プラ、金属、紙から建廃まで
選別機の普及と高度化

 近年、光学選別機やAI(人工知能)を利用した選別ロボットなど、高度な選別機がさまざまな分野の廃棄物処理業・リサイクル業から注目されている。従来からの比重差選別機や異物除去装置も進化している。一方、「選別」の法的位置付けは、今回の廃棄物処理法改正でも議題になった。「選別」はどこへ向かうのか。

1月16日号ダイジェストニュース
◇電マニ、一部で義務化
雑品スクラップに規制/法見直しで報告書案
- 廃棄物処理制度専門委員会 -
 昨年12月15日に東京都内で行われた廃棄物処理制度専門委員会で、法見直しの方向性をまとめた報告書案が明らかとなった。「一定規模以上の特別管理産業廃棄物を取り扱う事業者への電子マニフェスト義務化」や「雑品スクラップの保管・処分について行政機関の一定の規制をかける」といった方針が示された。1月19日までパブリックコメントを実施する。

◇人手不足でも安全第一で
第2回安全大会に80人
- 日本RPF工業会 -
 (一社)日本RPF工業会(事務局・東京)の長田和志会長は、昨年12月8日に東京都内で開かれた第2回安全大会で、「RPF業界は他業界に比べ労働環境の苛酷さ、人手不足が顕著だが、安全衛生活動の低下は許されない。会員企業すべての従業員が安全・安心・快適で安全第一な労働環境のもと働くことができるよう、学んでほしい」と述べた。

◇鉛蓄電池、雑品の輸出で対策
輸入手続きは簡素化へ/バーゼル法の見直し案まとまる
- 環境省/経産省 -
 環境省と経済産業省は昨年12月26日、特定有害廃棄物等の輸出入に関する合同会議を都内で開催し、報告書案を取りまとめた。見直しの方向性として、環境汚染が生じるリスクが高い場合の輸出についてのバーゼル法の手続きや審査を強化する一方で、日本国内への輸入については、手続きの緩和を図る。

◇開設1年で月間200t
飼料原料を生産・出荷
- 市川商会 -
 市川商会(長野県中野市、市川真一社長)は、キノコ栽培の廃培地を家畜飼料に利用する事業を展開しているが、開設から1年で月間200トンを生産、出荷するまでになった。現在、混合飼料(TMR)の一部として利用されている。

◇木質バイオマス発電施設を竣工
岩手県花巻市で6250kW/タケエイグループで2番目
- 花巻バイオマスエナジー/タケエイ -
 タケエイグループで山林の木材などを活用した燃料利用を行い、木質バイオマス発電を行う花巻バイオマスエナジー(岩手県花巻市、森井敏夫社長)は昨年12月19日、竣工式を行った。

◇衛星携帯電話を本・支部に配備
災害時の迅速な対応へ
- 和歌山産廃協 -
 (一社)和歌山県産業廃棄物協会(武田全弘会長)は、大規模災害の発生に備え、災害の影響を受けない衛星携帯電話を会長や本部、県内5支部に配備することを決めた。毎月第1月曜日(祝日の場合は翌日)に通信試験を行い、万全な体制を維持する。第1回目は昨年12月5日、2回目は1月10日に実施済み。緊急時、災害廃棄物処理の迅速な対応につなげたいとする。

◇電マニ46%、年間2306万5000件
コンビニなどの利用率が上昇
- JWセンター -
 (公財)日本産業廃棄物処理振興センター(JWセンター)は1月4日、直近1年間(2016年1~12月)の電子マニフェスト登録件数が2306万5000件、電子化率46%であることを明らかにした。12月度の月間登録件数は211万2000件で前年同月比12.2%増となった。

◇新春インタビュー 廃棄物処理業拡大、そして総合環境企業へ
処理品目の拡大と再エネ事業への展開
- タケエイ 代表取締役社長 山口仁司氏に聞く -
 タケエイグループは2015年、中期経営計画「vision for 2020」を策定し、10年先を見据えた5カ年の経営計画を発表した。すでに同社は多くの廃棄物処理業者とのグルーピングを行い、多様な品目についてグループ内で処理・リサイクルを進められる体制を作っている。さらに、建設廃棄物処理・リサイクル事業について、リサイクル・ピアを合併し、東京(東京リサイクルセンター)・神奈川(川崎リサイクルセンター)・千葉(四街道リサイクルセンター)の3工場を一体的に運用できる体制を構築した。

◇石膏ボードリサイクル、全国的な取り組みへ
現状調査、ガイドライン整備など/全国石膏ボードリサイクル協議会が発足
石膏ボードリサイクル

 これまで石膏ボードのリサイクルについて、必要性は述べられつつも、全国単位での大きな取り組みには至っていない。もちろん、国からの直接の要請に基づくリサイクルを進める組織があるわけでもない。処分場ひっ迫などの問題が指摘されつつも、各県のリサイクル認定品などの基準も地域ごとに異なるなど、統一的なリサイクル基準が示されていなかった。さらに硫化水素やフッ素の溶出の問題などもあり、リサイクルを進めるためには多くのハードルが指摘されていた。

◇新春インタビュー 石膏ボードリサイクルとガイドライン作成について
事業者主体のガイドライン作成を
- 国立環境研究所 主任研究員 遠藤和人氏に聞く -
 全国石膏ボードリサイクル協議会が中心となり、石膏ボードリサイクルの新たな一歩として土質系固化材を対象としたガイドラインの作成を進めていく。アドバイザーとして、規格作成に向け協力している遠藤和人国立環境研究所主任研究員に石膏ボードリサイクルの現状と課題やガイドライン作成の流れなどを聞いた。

◇2023年に150万tへ
求められる用途の拡大/受け皿確保へ
廃石膏ボードリサイクルの現状と課題

 高度経済成長期に建設された多くの建物が今、老朽化を迎えている。近年、増加傾向にある災害に対応するための耐震化や外国人旅行者を誘致するためのリノベーションなど、多くの工事が進められている。建設・解体工事が進む上で、どうしても避けられないのが廃棄物対策だ。特に、建設・解体副産物で排出される品目の中で最も再資源化が難しいものの一つに廃石膏ボードがあげられる。今回、現状や課題、展望について注目する。

◇求められる解体由来への対策
選別後、マテリアル活用も/深刻さ増す橋梁問題
建設系混合廃棄物最前線 ~ふるい下残さの行方~

 高度経済成長期に建てられた建物の多くが50年以上を経過し、老朽化が進んできている。また、この数年間これまで考えもしなかった自然災害も相次いでいることから、建物の建て替えや補強工事、解体需要の高まりが続いている。建て替えや補強、解体しなければならないのは建物ばかりではない。橋梁の老朽化も深刻さを増している。

◇インタビュー 公共工事利用進む
団体発足で業界に新風/新たな用途開発に挑む
瓦R製品の付加価値を追求/瓦リサイクルの最新動向

- (一社)瓦リサイクル協会 高田実代表理事 -
 建設系廃棄物の中で、リサイクル率が低い廃瓦。主に安定型最終処分場に持ち込まれているが、リサイクルを推進する処理業者や自治体がある地域では、再利用が進む分野だ。特に昨年は、「(一社)瓦リサイクル協会(事務局・石川県)」や「九州瓦リサイクル組合(事務局・大分県)」が立ち上がるなど、業界に新しい風が吹いている。

◇続く解体需要
求められる建廃発生抑制/排出事業者の廃棄物対策
 大手ゼネコン各社では、建物の建設や解体時に排出される廃棄物の発生抑制などの対策を年々強めている。一部の品目では、リサイクル率が9割を超えたものある。がれき類や木くずは、リサイクルが進められているものの、建設・解体工事で発生する副産物である建設系混合廃棄物への対応が急務となっている。今回、スーパーゼネコン5社のCSR報告書や環境・社会報告書などを基に、再生利用やゼロエミッション化など直近の進捗状況を確認するとともに、取り組みの方向性を検証する。

◇古紙はR推進、廃プラは産廃対応に
排出事業者への指導強化を
政令市における事業系ごみ対策の現在

 自治体による事業系ごみ対策は近年、強化の方向性にあり、清掃工場における受け入れ対応も多様化してきた。事業系ごみにおいては古紙の割合が多いことから、そのリサイクルを推進するために清掃工場への古紙搬入禁止を打ち出す自治体も出ている。また、品目としては産業廃棄物に分類される廃プラスチックについても、清掃工場での焼却を行わないとする方針に転じる例が増えてきた。ただ、弁当ガラを始めとする汚れの付いた飲食容器やオフィスの文房具などは家庭ごみと性状が変わらず、リサイクルの十分な受け皿もないことから、「厳密に分けることが難しく、現場では汚れたものや少量混ざったものは受け入れている」といった声も聞かれた。昨年に引き続き、ここでは政令市における事業系ごみの古紙・廃プラ受け入れ対応、および搬入物の展開検査の現状や排出事業者への指導の状況などについて、アンケート結果を基に紹介する。

◇新たな処理品目の対応急務
今後の大量排出へ向け/独自技術で高度R
処理困難物新潮流

 社会状況の変化や産業の高度化、法令の改正などで、廃棄物となる製品や素材は多様化しつつある。これに対応するべく、処理事業者でも技術開発や他業種との連携を進める事例も増加中だ。ここでは、特に関心が高まる水銀、太陽光パネル、炭素繊維強化プラスチック(CFRP)の事例を紹介する。

◇水銀廃棄物の適正処理確保へ
ガイドライン案をまとめ/水銀に関する水俣条約と水銀廃棄物
 
 日本政府は昨年2月、「水銀に関する水俣条約」を締結した。水俣条約の発効を見据え、国内でも法整備が着々と進められている。水銀廃棄物の関連では、廃棄物処理法施行令等を改正し、特別管理廃棄物への指定などが行われた。さらに環境省が昨年12月20日に開催した「水銀廃棄物適正処理検討専門委員会」では水銀廃棄物ガイドライン案が示された。ガイドライン案では、改正施行令に基づく水銀廃棄物の新たな取り扱い、収集運搬、処分における留意事項をまとめている。

◇"廃プラがほしい!"
燃料代替率をさらに向上/吹込みバーナー更新も検討
存在感増すセメント再資源化

- 麻生セメント/トクヤマ -
 セメント業界は多様な廃棄物・副産物を使用しており、2015年度のセメント1トン当たりの代替原燃料としての使用量は475キログラムに及び、廃棄物最終処分場やリサイクル施設に替わる重要なインフラとなっている。11月29、30日に、(一社)セメント協会主催で麻生セメント田川工場(福岡県田川市)とトクヤマ南陽工場(山口県周南市)を訪ねた。共通しているのは、「廃プラをもっと使いたい」だ。

◇手収集主流から分別・機械化へ
埋立場満杯、不適正投棄目立つ/経済発展で喫緊の課題に
国や州は分別施策推進/インド廃棄物処理レポート

 近年、インドは財閥系の国内大企業や外資系企業による製造業、IT産業の育成、誘致で大きく成長している。人口も近い将来に中国に並ぶレベルになり、所得水準も中間層や富裕層が伸びると予測されている。一方、経済成長とともにごみ問題が深刻化している。昨年11月2~9日にかけて、本紙ではアジア廃棄物処理事情調査として、南部のバンガロール市と北部のデリー連邦直轄地を訪問した。

◇新春インタビュー 廃棄物処理で東南アジア進出が増加
システム提案でリサイクル・適正処理推進へ/公的機関の支援活用も有効
- ジームス・アソシエイツ 代表取締役社長 有岡義洋氏に聞く -
 近年、日本企業による海外への進出・事業展開は、環境部門においても伸張している。特に東南アジア地域では、従来の大気汚染や水質浄化への対処に加え、ごみの適正処理に関する課題解決のため、自社の処理・再資源化技術を生かした提案を行う企業も増えてきた。同地域においては、経済発展に伴い廃棄物の処理・リサイクルの取り組みが進んでいるところもあるものの、綿密な廃棄物管理の仕組み作りや高品位のリサイクル技術、有害物の安全な処理システムなどはまだ需要が高い。国内企業の技術力・ノウハウが持つ可能性は大きく、今後も廃棄物の適正処理、再資源化システムの構築に向けた進出が期待されるところだ。日本企業による、東南アジア、インド、欧米での廃棄物処理・リサイクル事業の支援等を手掛けるジームス・アソシエイツ代表の有岡義洋氏に話を聞いた。

◇2017年に海外で開催される主な環境展示会
◇実証事業が始動、事業化へ
技術開発力やノウハウを活用/リサイクル業界の海外展開
 リサイクル業界では、各社の持つ技術開発力やノウハウを生かし、東南アジアや南アジアをはじめとする海外進出の模索が進められている。日本環境設計によるインドとバングラデシュでのE‐wasteリサイクル、東亜オイル興業所によるインドネシアでの廃油リサイクル、三立機械工業によるインドでの自動車ワイヤーハーネスのリサイクル、弘英産業によるベトナムでのプラスチックリサイクル事業を紹介する。

◇循環産業の海外展開を支援
廃棄物処理・リサイクル分野の事例一覧
 廃棄物処理・リサイクル事業者が海外展開を目指す上で、国による支援が欠かせない。外務省所管の国際協力機構(JICA)は、2012年度からODAを活用し、中小企業の海外展開支援事業などを行っている。

◇中小企業の技術で課題解決
環境ビジネス海外ニーズ集
 JICAでは、中小企業が持つ技術を、開発途上国のさまざまな課題の解決に生かす事業への支援を実施。また、海外からのニーズ情報も発信している。ここでは、JICAがまとめた「民間企業の製品・技術の活用が期待される開発途上国の課題」から、廃棄物処理・リサイクル関連分野の情報を抜粋して紹介する。なお、掲載した情報は応募の際の参考情報であり、該当する内容の募集や採択を約束するものではない。

◇古着輸出、単価大暴落の原因
行政回収の良し悪し/オークション会場は3R拠点
不用品・古着の海外リユース事業

 昨年から、古着と不用品の輸出に変化が出てきた。古着輸出は、単価が大暴落した。一昨年まで58円/キロだったが10月時点で、41円まで下がった。17円の下落。日本国内の古着のネット販売の好調さが影響しているとの見方もある。不用品リユースの海外利用でも、原油安が続いた昨年、一部の東南アジア向けの荷が止まった。結果として国内回帰で滞ることはなかったが、不用品輸出の不安定さを覗かせた。

1月23日号ダイジェストニュース
◇茨城に産廃炉を設置
有力処理業2社でSPC/ストーカとキルンの2炉体制
- 東海クリーン(新和環境、沼田クリーンサービス) -
 東海クリーン(茨城県東海村、沼田元良・青木浩代表取締役)は東海村の工業団地内で、2658坪の敷地に産廃焼却炉を設置した。今年3月のオープンを予定し、昨年12月7日には竣工式を行い、地元関連や処理業界・解体工事業界など100人以上が出席した。炉は主に液泥物を焼却するキルンと固形物を扱うストーカの併設で、キルンが1日24時間稼働で日量40トン、ストーカが同50トンで計90トンの処理能力を持つ。破砕機は一軸式を採用し、1日8時間稼働で日量60トンの処理能力がある。

◇見直し終わるも課題山積
総合的評価などはすでに改定/経産、環境、農水が指摘
- プラスチック容器包装リサイクル推進協議会 -
 プラスチック容器包装リサイクル推進協議会の城端克行会長は1月13日、東京都内で開かれた賀詞交歓会で、「(中環審と産構審の合同会合による)容器包装リサイクル法見直しでは、昨年5月に報告書が出された。材料リサイクル業者の総合的評価の見直しや入札制度の見直しが早速行われたが、それらの動きを注視していきたい。(法見直しの)最後の目標は社会的コストを減らすこと。一歩ずつ地道に取り組んで成果をあげていきたい」と述べた。

◇油槽所をトータルサポート
ワンストップで対応
- 日本油設エンジニアリング -
 日本油設エンジニアリング(札幌事業所・札幌市、中野雄紀社長)は、北海道内の油槽所向けの各種業務を強化した。燃料タンクのメンテナンスやクリーニングから廃油の回収と再資源化までワンストップで対応する。

◇飼料化参入で事業幅拡大
顧客の選択肢増やし食リ推進へ
- 小桝屋 -
 食品残さや木くずの肥料化事業等を展開する小桝屋(名古屋市、小島嘉豊社長)は、2014年に「愛知県資源循環型社会形成推進事業費補助金」の採択を受けたことをきっかけに、飼料化事業への参入と新たな堆肥化システムの導入を行い、顧客へのサービス拡充とリサイクル推進を図っている。

◇産廃の集荷・処理を強化
南幌町に新施設を開設
- エコライン -
 建廃の中間処理と収集運搬のエコライン(札幌市白石区、井川智章社長)は、北海道南幌町の晩翠工業団地内に産廃の破砕・圧縮施設「晩翠リサイクルセンター」を開設した。昨年12月10日付で中間処理業の許可を取得し、4月から本稼働の運びだ。札幌市東区の既設の選別施設・東雁木リサイクルセンターと2施設体制を敷くが、東雁木が建廃限定なのに対し晩翠は業種限定がなく、事業系も含め広く産廃を受け入れていく。

◇総量3億9284万tに
約800万tが増加/産業廃棄物の排出・処理状況
 
 環境省は12月、2014年度の産業廃棄物の排出・処理状況を公表した。総排出量は3億9284万トンで、前年度の約3億8464万トンから約800万トン(約2・1%)増加している。

◇インタビュー 海外での事業展開を強化
既存事業を高付加価値化
- JFEエンジニアリング 取締役 専務執行役員 都市環境本部 本部長 澁谷榮一氏に聞く -
 JFEエンジニアリングは、海外事業や既存事業を拡充する。海外事業では現地拠点の体制が整備されたため、今後東南アジアを中心とした大規模案件の受注を目指す。既存事業については「JFEハイパーリモート®」などを通じて高付加価値化を図る。

◇電マニ、一部で義務化か
虚偽記載防止で規制強化も/処理業界は当面の課題解決強調
廃棄物処理法見直し

 
 廃棄物処理法見直しのおおよその方向性が示された。昨年12月に開かれた環境省の中央環境審議会廃棄物処理制度専門委員会第7回会合で出された報告書(案)では、従来からの電子マニフェスト普及とともに、ダイコー事件など廃棄物横流しに関連して、電マニ虚偽記載の検知や警告発出、罰則強化などがなされそうだ。

◇訪日外国人2400万人の影響
電炉で感染性処理の発想/古紙再生は付加価値化
廃棄物ビジネス新戦略

 
 日本の産業構造も近年、大きく変化してきた。生活を豊かにしてきた電気機械の工場が減少し、生活雑品や医薬品、小売業、ホテルなどの宿泊業などは堅調だ。処理業界にも国際化に向けた変化の波が襲っている。内装解体の増加もあり、震災後の建設系の処理も増えている。異業種からの感染性処理や古紙のバイオエタノール化など廃棄物ビジネスの新戦略を探ってみたい。

◇実地確認義務の法定化と罰則を
「総合環境事業化」の動きに注目/定義・区分は恒久のテーマ
今、求められる廃棄物処理業の在り方

- (公社)大阪府産業廃棄物協会 事務局次長 龍野浩一氏 -
 廃棄物処理業界の現状を見ると、これまでの度重なる廃棄物処理法の改正や主要な通知の発出・廃止などを経て、法令の解釈はますます困難なものとなっている。その一方で、2016年に起こった食品廃棄物の不適正処理事案などの影響もあり、コンプライアンスのハードルは高くなるばかりだ。また、人口減少が進む中、廃棄物の発生量も減っていくことは確実であり、処理業者は従来の枠組みを越えた事業展開に乗り出す必要に迫られている。さまざまな意味で転換期を迎えている今、実務を行う上で知っておくべき事柄と共に、社会や顧客から求められる在り方を探りたい。処理業者・排出事業者から年間約1000件の法令相談を受けている(公社)大阪府産業廃棄物協会事務局次長の龍野浩一氏に話を聞いた。

◇1085者7995件に拡大
「選ばれる」ための重要条件に/独自の格付け基準作成の自治体も
優良認定業者の最新状況

 
 通常の許可基準よりも厳しいハードルをクリアした優良な産廃処理業者を都道府県・政令市が審査して認定する「優良産廃処理業者認定制度」。認定を受けることで、許可証に優良マークが記載され、遵法性や事業の透明度が高く、財務内容も安定していると見てもらえるなどのメリットがあり、施行以来、認定件数も着実に増えている。排出者責任の強化が叫ばれる昨今、排出事業者はリスクマネジメントの観点から確実に適正処理を行う廃棄物処理業者を選定する必要に迫られており、優良認定は、処理業者が他社との差別化を図るだけでなく、排出事業者から「選ばれる業者」であるための重要な条件になってきたともいえる。ただ、中小企業にとっては環境配慮の取り組みなどの認定基準が厳しく、取得が難しいとして、国との整合性を図りつつ独自の格付けを作っている自治体もある。ここでは、優良認定制度の施行経緯や概況を解説すると共に、最新の動向を紹介したい。

◇普及率4割を堅調に維持
加入料金無料等が利用を後押し/電子マニフェストは今
 
 (公財)日本産業廃棄物処理振興センター(岡澤和好理事長)によると、近年、電子マニフェストの年間登録件数は順調に増えており、普及率は4割を堅調に維持している。これまでの地道な周知広報活動に加え、加入料無料等の電子マニフェスト普及促進キャンペーンで利用を後押ししたとの見方が出ている。一方、不適正処理の未然防止の一環として多くの自治体が電子マニフェストの普及促進を重視、排出事業者や処理業者に導入を呼び掛ける取り組みが本格化している。

◇排出側と処理側の信頼構築へ
ガバナンス上のリスク認識/ルール順守の徹底を
廃棄物管理コンプライアンス特集

 
 2016年1月に発生した食品廃棄物の横流し事件は、産廃処理業界の社会的イメージを失墜させただけでなく、排出事業者の責任意識を高揚した点でも大きな契機となった。以後、廃棄物管理のコンプライアンス確保に向けた取り組みは加速しつつある。ここでは、排出側と処理側、それぞれの意欲的な事例を紹介する。

◇必要不可欠になる貢献活動
清掃や環境学習を実施/独自性の強い取り組みを採用
産廃業界と地域との共生

 
 産業廃棄物処理事業者にとって、地域社会との共生は必要不可欠な要素となっている。各企業の取り組みはさまざまで、周辺地域の清掃活動や環境学習などを実施している。近年では「CSR(企業の社会的責任)」という言葉が注目されたこともあり、その一環として本格的に取り組みを始める企業も増えてきた。活動内容も趣向を凝らした独自性の強いものに変化しつつある。

◇「貢献」をテーマに事業展開
地元の活性化に貢献
 
 エコ計画(本社・さいたま市)は、「環境」、「食」、「貢献」をテーマに幅広い事業を展開している。「貢献」の分野では、地域に密着した活動として、発足当初からサッカーJ1リーグに所属する浦和レッズのオフィシャルパートナー・株主になり、経営に参画している。その他にも自然保護活動やジュニア・エコタイムス(主催・埼玉県、埼玉新聞社)にも協賛するなど地元の活性化に貢献している。

◇再生とエネ回収の再構築
市況を意識しつつ超える/「何でも輸出」からのシフト
転換期のプラスチックリサイクル

 
 2015年から続いてきた原油安、プラスチック安は、プラスクラップ(資源プラ)のリサイクルと廃プラの処理に多大な影響を及ぼした。「リーマンショックの時よりも深刻」(リサイクル業界関係者)という事態からはやや持ち直しの兆しもあるが、いわゆる「雑プラ」の処理や再生材に係る国内外需要の構造的変化など、関係業界は大きな転換期を迎えている。

◇雑プラの海外向けなくなる
PVCくずが韓国台湾からベトナムへ/PETくず中国プレス品増加に
サーマル利用に流れる/RPFなど処理需要は伸長
東南アジア向け伸びる/廃プラ逆転劇 ‐燃料・原料・輸出動向‐

 
 2016年の廃プラ輸出量は、150万トン(金額580億円)ほどになりそうだ。前年の15年が、160万6270トン(金額760億1431円)だったことから、10万トン減少して180億円ほど貿易金額が下がりそうだ。大きな要因は、原油安による再生プラの価値の低下だ。日本からの雑プラが輸出困難になり、国内燃料向けに動きが活発化した。昨年を振り返り、今年の動きを推測した。

◇外部要因で価格乱高下
ベトナム向け2位に浮上/国内需給ギャップは拡大
鉄スクラップ輸出動向

 
 2016年1~11月の鉄スクラップ輸出は、鉄鉱石価格や原油、為替などの外部要因が市況を左右した。特に年初は、一昨年から続く鉄鉱石安のために安価な中国産ビレットの大量流通がスクラップ価格を押し下げ、逆有償化予測も出るほどに低水準化。しかし、夏に向けて鉄鉱石価格の上昇とともスクラップ需要が高まり、旺盛な第三極需要を受けて価格は高騰。一旦は高値修正が入ったが、後半からの円安進行もあって、最終的に強含みに推移した。秋口からは、国内需要もやや回復。輸出に回るスクラップ量が減少したのも価格上昇の一因となった。

◇投資マネーの影響顕著
思惑買いで亜鉛好調/原油価格との連動も
非鉄金属国際動向

 
 2016年の非鉄金属の国際市況は、資源安を基調に、投資家の思惑で鉱種ごとの明暗が分かれる展開となった。原油安と同調する形で非鉄からも投資マネーが引き上げられ、資源安を形成。資源メジャーが安値対応に乗り出すと、それを見越した思惑買いが過熱するなど、金融市場の荒波に翻弄される結果となった。これまでリスクヘッジ向けの安全資産という認識が強かった非鉄だが、ここにきて金融商品化が著しく進み、高い変動性がリサイクル事業のリスクとなりつつある。

◇回収率8割、利用率6割
最大輸出国・中国と相互理解へ/日本の古紙
 
 (公財)古紙再生促進センター(渡良司代表理事)によると、日本国内の古紙回収量は2133万7420トン(2015年度)で回収率81.3%、古紙利用率は64.3%となっている。国外に目を向けると、最大輸出先は中国でその量は年間300万トンに上る。一方、自治体が可燃ごみ減量化の一環として雑がみの回収を広げており、日本からの古紙の品質低下を懸念する声がある。

◇業界の信頼性アップへ
転売事件を契機に/問われる食リの質
これからの食品リサイクル

 
 食品リサイクルをめぐる2016年の動向を振り返ってみると、年明けに発覚した食品廃棄物の不適正な転売事案に始まり、以降の大部分は国、業界団体が事案への対応と、そこから派生した取り組みに注力した1年だったといっても過言ではない。一方でこの事案が、食品関連事業者(排出事業者)と食品リサイクル業者の適正な関係の構築、ひいては優良な食リ業者の育成へと、大きな一歩を踏み出す契機となる可能性を秘めている側面もある。この流れを受けて、食リ業界は今後どう進むべきか、方向性を探る。

◇新春インタビュー 新たなバイオマス活用推進基本計画
5000億円市場形成へ
- 農林水産省バイオマス循環資源課 バイオマス事業推進室長 梶原義範氏に聞く -
 バイオマス活用推進基本法に基づく新たな「バイオマス活用推進基本計画」が2016年9月に閣議決定し、新たな基本計画のもと、国はバイオマス産業で25年に5000億円の市場形成を目指すことになった。農林水産省バイオマス事業推進室長の梶原義範氏に、今回の基本計画見直しのポイントと、新たな基本計画のもとで展開する施策の推進方向などについて話を聞いた。

◇各手法の強み生かしR率向上
“地産地消”システム構築へ/食品リサイクル最前線
 
 食品リサイクルの特徴は原料の性状が幅広いこと。固体・液体はもとより、性状が均一な工場系、いろいろな食材が混ざりやすい飲食店・スーパー系など実にさまざまだ。原料に応じて最適なリサイクル手法を選択し、良質な製品にして販路を確保することが求められる。各手法の強みを生かし、食リを通して地産地消の実現を目指す事業者を特集する。

◇輝きを増す資源循環の事業モデル
飼料化、肥料化、バイオガス化/食品リサイクル最前線
 
 東日本エリアでは、環境に配慮した資源循環型社会の構築に貢献する食品リサイクルの事業モデルが誕生、輝きを増している。本稿では飼料化事業で市川商会、肥料化事業で平和物産とアサギリ、牧ノ原バイオガス発電所を取り上げる。

◇最新研究ルポ 学内バイオマス循環プロジェクト
研究分野の枠越えスタート
- 大阪府立大 -
 大阪府立大学の中百舌鳥キャンパス(堺市)で今、学内で出た食品残さや農業残さ、馬ふん、剪定枝等を有効活用し、学内バイオマス循環システムを構築しようとする取り組みが始まっている。学部や研究科の枠を越え、研究者・技術者・学生など各分野のスペシャリストが集って実現させる一大プロジェクト。その全貌を、生命環境科学研究科の大江真道准教授、工学研究科の徳本勇人講師、同科・徳本研究室の伊藤みさご氏に案内してもらった。

◇18.5円/kgが処理費用平均
食料廃棄禁止法とフードバンク/全国の実態調査「堆肥化」多い
食品リサイクルと社会貢献

 
 現在、世界で最も進んだ食品リサイクルを実践しているのはフランスといわれる。昨年2月に公布された「食料廃棄禁止法」は、フードバンクを進めることにもつながり、EUのみならず成否が各国にも注目されている。日本国内の処理費用のアンケート結果とともに紹介する。

◇新春インタビュー 廃食用油は産廃、適正に管理を
多角化・協業化は組合単位の展開を期待
- 全国油脂事業協同組合連合会 会長 水野泰幸氏に聞く -
 現在、国内の廃食用油の7割は飼料用油脂として有効活用され、安全安心で低コストの畜産物供給を可能とする資源の好循環が形成されている。それを支える廃食用油リサイクル事業者の全国団体、全国油脂事業協同組合連合会の水野泰幸会長は「廃食用油は産廃であり、適正な管理を基本に排出事業者をサポートしていく」と力を込める。一方、排出量の減少傾向や社会ニーズの多様化など情勢変化に対応した事業の多角化・協業化は重要課題であり、組合単位での事業展開を期待、後押しする考えを明らかにした。

◇寄稿 バイオガスで廃棄物処理施設の最適化
人口減少と温暖化対策を同時
- 長崎大学環境科学部 準教授 中村修/NPO法人 木野環境 丸谷一耕 -
 2048年に人口が1億を切ります(※1)。おおむね2割減少しますが、これは全国平均であり、地方都市では4~6割減少すると予測されています。その際、既存の焼却炉や下水処理施設では、カロリー不足や資金不足などにより、運転することが難しくなります。
 そこで、焼却炉、下水処理場、し尿処理場をまとめ、コストの安いバイオガス化施設を建設し、インフラの最適化ができないかを考察してみました。
(※1 出典:国立社会保障・人口問題研究所「日本の将来推計人口(平成24年1月推計)」)
◇選定地域が計50に広がる
目立つバイオガス発電/産業化と地域エネ強化目指す
バイオマス産業都市の進捗

 
 バイオマス産業都市とは、木質や家畜排せつ物、食品廃棄物といった地域バイオマスの原料生産から収集・運搬、製造・利用までの一貫システムを構築し、環境にやさしく災害に強いまち・むらづくりを目指す一大プロジェクトである。2013年度から関係7府省が都市の選定を進めており、選定地域には連携して支援を行う。今年度、その選定地域は計50地域まで広がった。ここでは、同プロジェクトの概要と進捗を紹介したい。

◇労災20%以上の削減目指す
業界全体での対策必須/安全で魅力ある産廃業へ
廃棄物処理業と労働安全衛生

 
 日本の労働災害は減少傾向にあり、労働災害防止対策の結果が見え始めている。一方、産業廃棄物処理業の労働災害は、一向に減少しないのが現状だ。労働災害防止に尽力し続けてきた(公社)全国産業廃棄物連合会(石井邦夫会長)は、2017年度から本格的に安全衛生事業へ乗り出す。

◇新春インタビュー “思いやり”が事故減らす
経営者主導で安全確立を/社員は会社の財産
- NPO法人国際環境・安全衛生 ガバナンス機構 代表理事 環境ワークス 社長 黒崎由行氏に聞く -
 昨年も産業廃棄物処理業界では多くの労働災害が発生した。増加する労働災害の防止のために、企業と経営者が目指すべき姿勢について、NPO法人国際環境・安全衛生ガバナンス機構代表理事で労働安全・衛生コンサルタント資格を有する日本でもトップレベルのコンサルタントである黒崎由行環境ワークス社長に聞いた。

1月30日号ダイジェストニュース
◇産廃税は全国70億円
ほぼ最終処分、一部焼却も/27道府県1都市
 全国の産廃税の税収額は、2016年度予算で約70億円に達した。27道府県が採用しており、北九州市は、環境未来税という名称で施行している。地域別に見ると、九州は沖縄も含めて全県が導入しており、北九州市も含めた税収が16億8051万円で地域別で最大規模となった。次が中国地方で、15億7801万円。東北地方も全県が産廃税を徴収しており、14億4153万円の見込み。

◇ボトルをケミカルリサイクル
ブロック型キャップも採用/ミネラルウォーター発売へ
- 日本環境設計 -
 日本環境設計(本社・東京、髙尾正樹社長)は、回収されたPETボトルをケミカルリサイクルで製造(再生)したPETボトルを採用したナチュラルミネラルウォーター「ペットボトルをとことんリサイクルして生まれ変わったボトルにつめたお水」の販売を開始する。キャップについても、バンダイナムコグループのメガハウス(本社・東京、奥山嚴社長)が開発したブロック型PETボトルキャップを採用して、遊べるお水として販売する予定だ。

◇有人型拠点の回収が好調
今年度、2カ所を増設
- 平林金属 -
 金属スクラップを扱う平林金属(岡山市、平林実社長)は、有人施設型資源回収システム「えこ便」での小型家電受け付けが好調、今年度に約300トンを回収する見込みだ。

◇食Rブランド豚肉の飲茶セット
ふるさと納税返礼品に
- 中國開發 -
 食品残さの飼料化や養豚事業等を行う中國開發(広島県府中市、池田博道社長)は、肥育したブランド豚肉を活用した肉まん・ギョウザ・小龍包の販売を始め、「神石高原ポーク飲茶セット」という商品名で神石高原町のふるさと納税返礼品にも選ばれた。食品リサイクル飼料を使って育てた神石高原ポーク。同町の特産品として、大きな期待が寄せられている。

◇社員第一、労働時間を短縮
人材確保で適正処理
- オキセイ産業 -
 建設系の産廃処理や再資源化で実績を重ねるオキセイ産業(沖縄県浦添市、松原良雄社長)は、社員のため、労働時間の削減を実施。日曜と祝日、第2、4土曜の収集運搬と中間処理工場を完全にストップした。ソフト面の充実で、優秀な人材確保を確実にする。

◇新春講演会・親睦交流会を開催
来年度は認定試験を予定
- 廃棄物管理業協会 -
 (一社)廃棄物管理業協会(大阪市、大上純也代表理事)は1月20日、大阪市のフェスティバルスイートで、「新春講演会および親睦交流会」を開催、約100人が参加した。また来年度からは認定試験を開始する予定で、現在テキストを作成中。「廃棄物管理業」の法的な位置付けの確立と同業者の育成・支援を目指す。

◇バイオマスを微細化
高効率発電システム
- エヌ・エス・ピイ -
 エヌ・エス・ピイ(東京・港、井戸康正社長)は、家畜排せつ物などバイオマスをナノレベルまで微細化することでメタンガスを効率よく取り出し、発電する「ABHEGC」の販売を本格化する。

◇新春インタビュー 木質バイオマス利用からの地方創生
国産材利用がもたらす地方の自立
- トーセン 代表取締役社長 東泉清寿氏に聞く -
 国内の木質バイオマス発電所が増える一方で、FIT(固定価格買取制度)による国民負担は増える。そこで問題になるのは、発電所を中心とした地域での経済的な活性化がいかに進められているかだろう。国産材メーカー最大手のトーセン(栃木県矢板市)は、早くから地方創生という観点に立ち、木質バイオマス利用を進めてきた。木質バイオマス発電と地方創生について、東泉清寿社長に話を聞いた。

◇全国で木質バイオマス発電所が稼働
年間チップ必要量は1800万t超へ/木質バイオマス発電所マップ
 2012年7月、再生可能エネルギー固定価格買取制度(FIT)が施行されて以降、木質バイオマス発電施設が全国で立ち上がっている。山林未利用材とされる間伐材・林地残材にスポットが当たり、林業家や素材生産業者による原木の全幹集材やチップ化事業の動きが活発化。新たに未利用材由来の木質チップ市場が生まれ、発電所を軸に全国で流通するようになった。また、多くの木くず処理業者の生木チップ加工業参入を促した。
 ここでは、全国各地で計画される木質バイオマス発電事業をマップ化・一覧化し、どの地域でどれほどの規模の発電計画が進んでいるのかを紹介する。

◇新春インタビュー 木質バイオマス利用の在り方と燃料動向
変動する燃料需給とバイオマス利用
- 岩手大学 名誉教授 (一社)日本木質バイオマスエネルギー協会 理事 沢辺攻氏に聞く -
 国内の木質バイオマス発電所が増加するなか、最も重要なのは燃料の供給だ。しかし国内で生産されている木質燃料よりも発電などに使用される燃料需要が上回り、輸入燃料の流通の増加も進んでいる。今後の木質系の燃料需給などについて、(一社)日本木質バイオマスエネルギー協会理事、岩手大学名誉教授の沢辺攻氏に聞いた。

◇拡大する木質バイオマス発電業界
FIT20年間とその後の課題/地域密着・地産地消型の発電/未利用材専焼を実現
- グリーン発電大分 社長 森山和浩氏に聞く -
 モリショウ(大分県日田市、森山和浩社長)グループの「グリーン発電大分」(同)は、2013年11月に発電出力5700キロワットの木質バイオマス発電施設「天瀬発電所」の運転を開始した。新設の木質バイオマス発電所では西日本初となるFIT認定を受け、稼働から4年目に入り、年間340日以上の安定稼働を続ける。間伐材の収集からチップ化、燃料の乾燥まで手掛けるのは、グループの「日本フォレスト」(同)。また、グループの小売電気事業者「日田グリーン電力」(同)では、グリーン発電大分がつくった電力を地元の市役所や小中学校等の公共施設向けに売電する予定としている。木質資源の有効活用で地域社会に貢献するMORISHOグループホールディングスの社長でもある森山氏に、同事業の現状と先行きを聞いた。

◇各事業者のバイオマス利用方法と特長
国内木質バイオマス利用と地域活性
 国内の山林の木材が十分に活用されていない現在、木質バイオマスとして適切に森林木材を利用することは、新たな資源の有効活用、そして資源の生産につながる。しかし「適切に」行うことは簡単ではなく、多くの事業者が林業など木材関連業者と連携を図りつつ、多くの取り組みを始めている段階だろう。これまで本紙では多くの国内各地の木質バイオマス発電施設を取り上げてきている。さまざまなタイプのバイオマス活用施設があり、発電利用による地域活性化や独自のスキームを作り上げ、特色ある事業を進めている。ここで改めて振り返りつつ、新春インタビューに応えたトーセン(東泉清寿社長)も含め、各企業が木質バイオマス発電や熱利用を行い、また地域への貢献をどのように進めているのかを紹介する。

◇関東中心に自治体からアンケート調査
自治体における木質系廃棄物発生量調査
- 関東木材資源リサイクル協会 -
 関東木材資源リサイクル協会(東京・中央、藤枝慎二会長)は、2016年秋、関東を中心とした自治体(人口5万人以上)に対して、木質系廃棄物の処理方法と課題、将来の方向などについて実態把握のための調査を行った。本稿では、調査結果について同協会の協力のもと、概略を説明する。関東中心の自治体の調査結果ではあるが、国内の各自治体は同様の問題などを抱えているケースも多く、全国で共通する問題点も反映している可能性は高い。

◇47事業所の稼働状況
投入チップの傾向と推移/全国木質バイオマスボイラーアンケート
 2016年12月初頭、全国で木質バイオマスボイラー、もしくは同燃料を活用した火力発電所を運営する企業を対象にアンケートを実施した。1年以上の稼働実績を持つ124事業所へ解答を依頼したところ、47事業所から有効回答があった。今回で5年目の調査となっており、例年通り設置時期や稼働率、チップ使用量・由来別の割合、ボイラーメーカー、様式(熱利用・発電)、発電出力を聞いた他、FITを導入する事業者向けに制度の対象期間(20年間)終了後、事業を継続するかどうかを聞いた。

◇木質チップのサーマル利用進む
長期的な燃料需給の創出へ/木質専焼による発電事例
 木質チップのサーマル利用が増加している。本紙18面の「全国木質バイオマスボイラーアンケート」に示した通り、木質燃料を用いた熱利用ないし発電事業が全国で増え、チップ需給が年々変動している。同事業に参入する業種は電力会社や建材、食品、繊維、化学メーカーなどさまざま。昨今は、ボイラーメーカーが自ら設置し発電所を運営するケースや商社によるPKS混焼型の大規模発電計画の立ち上げが目立つ。

◇倍近い勢いで年々急増
2016年は累計70万t超へ/国内バイオマス発電事業が活況で
PKS輸入動向

 パームヤシ殻(PKS)の輸入量の増加が止まらない。最新の貿易統計によると、2016年における11月期までの累計はすでに67万6490トン(金額では約72億円)に。これに12月期が加われば、75万トンに届く可能性も出てきた。ここ数年の輸入量の推移は、▽13年が13万1224トン(約15億5000万円)▽14年が24万4178トン(約29億5000万円)▽15年が45万6084トン(約58億円)――。倍近い勢いで増え続けており、国内でPKSによる発電事業が活発化していることを裏付ける数字だ。

◇PKS輸入の永続性を探求
現地ファイバーも発電燃料に/搾油所の副産物はやっかいもの
パーム油生産の2大国/持続可能な供給の可能性
小規模搾油所が放置多い/インドネシアの現地調査

 現在、世界のパーム油の85%(2014年)がインドネシアとマレーシアで生産されている。パーム油は、植物油の中で生産量が最大といわれ、植物油脂の総生産量2億トンのうちパーム油は、5920万トン(14年)と、3割を占める。パーム油は、他の植物油脂に比べてヘクタール当たりの収量が多いことから生産量が増えている。コスト面でもメリットがあり、用途も幅広い。世界最大の52%のパーム油生産量を誇るインドネシアの副産物「PKS(パームやし殻)」を現地取材した。

◇自治体を中心に処理進む
国の対応も迅速・本格化/蓄積される知見と経験
災害廃棄物対応の現状

 2016年は、地震や台風など1年を通して多くの災害が発生した。それに伴って発生した災害廃棄物については、地元自治体を中心として処理が進められた。環境省では東日本大震災で得た知見・経験を基に被災自治体に対し、職員や「災害廃棄物処理支援ネットワーク(D.Waste‐Net)」を通じた専門家の派遣を行った。昨年には廃棄物・リサイクル対策部内に災害廃棄物対策室を設置し、近年多発する自然災害への対応を本格化させている。

◇熊本地震の発生推計量は316万tに
自治体の備えが喫緊の課題/迅速な復興・復旧目指す
西日本の災害廃棄物処理対策

 2016年4月14日以降、熊本県を中心に震度7規模の地震が断続的に発生し続けた「熊本地震」は甚大な被害を生んだ。県内の家屋損壊等による解体想定棟数は同年12月時点で3万3078棟、公費による解体申請棟数は2万6393棟。災害廃棄物発生量は当初試算を大きく上回り、二度の修正を経て県の一般廃棄物年間処理量の5倍以上に相当する316万トンと推計されている。現在、2年以内の処理完了を目指し、復興・復旧に向けた本格的な動きが始まったところだ。また同年10月には鳥取県中部で震度6弱の地震が発生。近い将来、南海トラフ巨大地震の発生が予測される中、比較的地震が少ないとされてきた西日本地域においても、大規模災害時に備えた廃棄物処理対策が喫緊の課題となっている。ここでは熊本地震における対応の他、自治体の処理計画策定状況をまとめた。

◇福島県で建設を開始
処理進捗の差が明確化/鍵となる地元の理解
指定廃棄物と中間貯蔵

 東京電力の福島第1原子力発電所の事故によって発生した指定廃棄物と除染廃棄物、その処理の進捗には差が生じている。指定廃棄物に関しては、宮城県、群馬県、栃木県、茨城県、千葉県の5県に長期管理施設(規模は各県で異なる)を設置する方針が決定している一方で、地元住民の反対などもあり建設のめどが立っていない。福島県内の除染廃棄物に関しては、大熊・双葉町に中間貯蔵を建設する方針が決まっていて、昨年11月15日に着工している。

◇災害時等に早期復旧を目指す
廃棄物処理業界の重要な命題に/基本的な手順を紹介
BCP(事業継続計画)策定運用指針

 BCP(Business Continuity Plan=事業継続計画)とは、企業が自然災害などの緊急事態に遭遇した場合に、事業資産の損害を最小限にとどめつつ、事業の継続と早期復旧を可能とするために、平常時に行うべき活動や緊急時における手段などを取り決めておくこと。2011年3月の東日本大震災の発生以降、一挙に整備が進み、内閣府の昨年3月調査によると、大企業のBCP策定率は約60%、中堅企業では同約30%に達している。しかし、国民の生活環境の保全と公衆衛生の向上という公益目的性の高い役割を担っている廃棄物処理業界においては、いまだ浸透しているとは言い難い。電気やガス、水道といったライフラインと同様に社会インフラである廃棄物処理事業にとって、有事の際に速やかな復旧を果たすことは非常に重要な命題であり、今後の普及が急がれている。ここでは、中小企業庁で提供している「中小企業BCP策定運用指針」に沿って、策定の基本的な手順を紹介したい。

◇新春インタビュー 災害廃処理で被災地支援
一日も早い復旧・復興へ
- (一社)日本災害対応システムズ 理事長 仙台環境開発 代表取締役 副社長 上野篤氏に聞く -
 昨年2月、大手産廃処理業者を中心に発足した(一社)日本災害対応システムズ(仙台市、上野篤理事長)は、効率的な災害廃棄物処理や広域的な輸送システムの構築により、有事の際の一日も早い復旧・復興に寄与するための活動を進めている。理事長の上野篤氏(仙台環境開発副社長)にこれまでの経緯と団体が目指す方向性について話を聞いた。

◇新春インタビュー 持続可能なシステム構築へ
創意工夫で小型家電を回収/容器包装の社会コスト低減へ
資源リサイクルの海外展開促進

- 経済産業省 産業技術環境局 リサイクル推進課長 高角健志氏に聞く -
 小型家電リサイクルは資源価格の低迷による逆風にさらされ、回収量が伸び悩んでいる。容器包装リサイクル法については、昨年5月に見直しの審議を終了し、新たな枠組みの下で動き出した。また、経済産業省では資源リサイクル分野での海外展開に向け、システムと技術を一体化した形での支援を行っている。さらにG7サミットの議題にも上がった"資源効率性"が世界的に注目される中で、日本の取り組みをグローバルに展開していくことが期待されている。産業技術環境局の高角健志リサイクル推進課長に資源リサイクルをめぐる現状と今後の施策について聞いた。

◇環境汚染リスクに応じて規制
バーゼル法を見直しへ/国際取引の増加に対応
特定有害廃棄物等の越境移動

 「特定有害廃棄物等の輸出入等の規制に関する法律(バーゼル法)」。同法の制定から20年余りが経過し、国際取引の増加による問題が顕在化してきたことから、見直しを迫られている。環境省と経済産業省は昨年12月、特定有害廃棄物等の越境移動の適正化に向け、バーゼル法の見直しの方向性を示した。環境汚染リスクが高い使用済み鉛蓄電池や雑品スクラップなどを輸出する場合のバーゼル法の手続きや審査を強化する。日本国内への廃電子基板等の輸入に関しては、国内施設の競争環境の不利を解消し、資源循環を促進する観点から、事前の通告と同意手続きを不要とするなどの緩和を図る。

◇事業モデルの模索続く
回収目標の達成できず/小型家電リサイクル
 小型家電リサイクル法は2013年4月に施行され、来年度に5年目を迎える。経済産業省と環境省の発表によると、15年度の回収量は前年度から1万5674トン増加し、6万6165トンだったものの、資源価格の低迷などを受け、回収目標である14万トンには遠く及ばなかった。また、認定事業者の撤退や破産もあった。その一方で、認定事業者への新規参入、既存事業者の収集区域の拡大があった他、新たなビジネスモデルも誕生している。

◇次なるステップに向けた取り組みを
スキルアップと工賃改善に寄与/リサイクルと障がい者就労支援
 リサイクル作業による障がい者就労支援は、確実な広がりを見せている。単に社会貢献だけでなく、経営戦略のなかに取り込み、自社の強みや付加価値として積極的に活用する事例も出てきた。一方の障がい者福祉側においても、廃棄物処理やリサイクルの作業内容が、障がい者の特性に合ったものだという理解が進んでいる。ここでは、廃棄物処理・リサイクルと障がい者福祉のマッチング事例を紹介する。

◇国内最大の環境産業が集積
今年20周年、見学者150万人突破/北九州エコタウン事業の挑戦
 国の循環型政策を背景に北は北海道から南は熊本県水俣市まで現在、全国26地域にまたがり、各地でエコタウン事業が承認されている。その中でも、1997年に国内第一号として先陣を切ったのが北九州市のエコタウンだ。今や、その事業規模、誘致企業数、人材群、処理品目の数など、全エコタウンのリーダー的な存在であり、国内最大の環境産業集積地であることは間違いない。環境教育の拠点としても国内外から注目を集め、昨年10月には、見学者の累計が150万人を突破した。今年20周年を迎え、ますますの発展を続ける北九州エコタウン事業の実像に迫った。

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