循環経済新聞・バックナンバー“2002年8月度”
◇基本問題の議論具体化へ
中環審廃棄物・リサイクル部会の廃棄物・リサイクル専門委員会(委員長・小早川光郎東京大学大学院法学政治学研究科教授)で、廃棄物の定義・区分の見直しなど基本問題の検討が始まった。7月24日に第1回会議が行われ、10月までに計7〜8会の委員会を開き、10月中をめどに制度論を中心として各論点ごとに検討した報告をまとめる。主な論点は廃棄物の定義、廃棄物の区分(処理責任に着目した区分、規制面に着目した区分)、廃棄物処理業・施設に対する規制、排出者責任および拡大排出者責任など。部会は委員会報告を受けて11月中にも最終取りまとめを行う。 ◇全国初の都市ごみ炭化システム
家庭系・事業系一般廃棄物の可燃ごみを炭化、セメント工場で全量、原燃料として再利用する全国で初めての施設が新潟県糸魚川地域広域行政組合(新潟県青梅町)で今年4月から稼動を始めた。 ◇木くずチップ化事業を本格化
廃棄物処理機器メーカーのホーワエンジニアリング(広島県黒瀬町、山根秀雄社長)は木くずチップ化事業に進出、2002年1月から本格稼動体制に入り、月間1000トンの処理量確保を目指し集荷ペースを上げていく。 ◇一廃処分業許可を取得
山形県内を中心に環境衛生事業を展開する丹野(山形市、丹野秀樹社長)は今年度より、有機性廃棄物の肥料化を行う「丹野エコプラザ」(山形県上山市)で、一般廃棄物の処分事業を本格的に開始した。今春からは製造した肥料の本格販売も始めた。 ◇還元熔融炉の1号機完成
樋口製作所(神奈川県相模原市、樋口恒雄社長)は、焼却灰を高温還元雰囲気で溶融し、高純度のスラグを回収する還元溶融炉の1号機を福岡県嘉穂南部衛生施設組合の嘉麻ごみ焼却場内に設置、7月22日に火入れ式を行った。試運転期間を経て8月31日に同組合への引渡しを行う。 ◇デポジットで弁当容器回収
最新のデータによると、今年から上海では使い捨てのプラスチック製弁当容器を毎日平均50万個回収している。この量は1日の消費量の50%に相当する。1日50万個だと、1年間で2億個に達する。この量は上海人が年間1人当たり、使い捨てのプラ製弁当容器を10数個回収したに等しい。上海市廃棄物管理所特殊廃棄物管理科の邵華科長によると、分別回収の作業は各区の環境衛生管理部門に任せ、道路や団地の大型ごみ箱、ごみ埋め立て場ごとに管理させているという。 ◇ワイヤー引き抜きで低コスト再生
タイヤチップ製造(大阪市、松井貴一社長)は、中島工業団地(大阪市西淀川区)にタイヤ再生利用のモデルプラントを建設する。現在、ビードワイヤーの引き抜き装置の試作を重ねており、完成次第建設に着手する計画。モデルプラントでタイヤのマテリアルリサイクルを事業化し、プラント販売も手がける。 ◇車部品活用促進の調査
経済産業省は、自動車リサイクルの有効な手段の一つとして「自動車リサイクル部品の活用を促進するための方策について」調査を行い結果をまとめた。同調査は01年度委託事業として富士総合研究所および自動車部品流通戦略研究所を事務局として実施した。 ◇センター構想の実施へ
福井県は、産廃と一廃の焼却残さを溶融スラグ化して最終処分量を削減するための溶融施設と管理型処分場などを集めた仮称「県リサイクル推進センター」の実施計画の策定を02年度内に行う。 ---- 8月12日号は休刊です。----
◇転炉ダスト還元に廃プラ利用
住友金属工業和歌山製鉄所は2003年1月から、転炉ダスト還元設備の重油代替燃料や還元剤として廃プラの受け入れを開始する。ダスト還元設備の排ガス処理対策はほぼ完了しており、ヤードや破砕機の準備を進めているところ。県内の多くの排出者は県外の最終処分場へ廃プラを持ち込んでいるケースが多いことから、注目を集めているという。 ◇PET再生事業が軌道に
PETボトルの再商品化事業者、内海企画(大阪市、内海正顕社長)は、2001年度の売上で30億円を突破し、過去最高の業績にこぎ着けたことを明らかにした。PET再生業界では初の事例となる。02年度も引き続き財務体質の強化と併せて、33億円以上の売上を目指す。 ◇リフォームで強固な接着施工
建築研究所(建研)は国総研、森林総研、東京大学等と共同で6月半ばから先月に掛けて、埼玉県越谷市内で木造戸建て住宅の分別解体実験および構造性能の劣化調査を実施した。延床面積約241uの2階建て住宅で築26年の既存部分と築22年の増築部分があり、リフォームも行われている。分別解体実験では分別解体の工数調査や資材排出量の測定を行い、構造性能試験では常時微動測定、起振機による強制加振、人力加振による自由振動測定、さらには静的加力実験を実施した。 ◇一次処理後の熟成促進
東京都畜産試験場(環境畜産部)は、一次処理した生ごみを熟成させるときに、油脂分を分解して発酵を促進する微生物を発見した。一次処理物のたい肥化期間を1-2割短縮できることが確認されており、今後、たい肥センターなどでモデル的に使用しながら実用化を図るほか、下水汚泥や含油排水などの処理分野にも利用を検討していく。 ◇生ごみ処理物を飼料に
エヌ・ティ・ティエムイー(NTT-ME、バイオランナー事業部)は、生ごみ高速発酵処理装置「バイオランナー」の生成品を乳酸発酵させ、養豚など家畜の飼料や有機肥料として市町村の地域内で循環させる「B-Rリアップ乳酸システム」の実用化を完了した。 ◇「廃棄」から「循環」への転換
宮城県は東北地方における産業の中心地。なかでも仙台市には、全国の主要な金融機関、企業の支社・支店・工場が集まり、東北地方最大の商工業・流通拠点となっている。また近年、仙台北部中核テクノポリス圏域をはじめに、県内各地に電気、金属、機械など最先端産業の工場や研究所の進出も進んでいる。今回は、宮城県の廃棄物事情を紹介。 ◇廃プラ780t/月を受け入れ
住友金属工業和歌山製鉄所は2003年1月から、転炉ダスト還元設備の重油代替燃料や還元剤として毎月最高780tの廃プラを受け入れる。製鉄所が高炉還元剤として廃プラを利用するのは盛んだが、ダスト還元設備の代替燃料として利用するのは珍しい。「廃プラ利用は環境事業の第一歩。製鉄所の既存インフラを活かし、将来は廃油・汚泥・ばいじん・がれき類・廃酸・廃アルカリなどを受け入れていく構想だ」(傍士和夫・和歌山設備部専任部長)としている。 ◇古着小売業協同組合設立
日本古着小売業協同組合が近く設立する。古着のリサイクル率を引き上げるための啓蒙を行うほか、顧客層の拡大を図り、古着の認知度を上げるための取り組みも行う。 ◇不法投棄の家電処理
OA機器をはじめ各種の産廃の再生利用のための中間処理と収集運搬を行う大林商店(大阪府堺市、大林勝宏社長)は、大阪府エリアを対象にした不法投棄の廃家電の処理台数が1カ月当たり300台から700台ほどで推移していることがわかった。
◇形式上の有価物は産廃扱い
建設汚泥を中間処理した固化改良汚泥を有効利用するにあたって、有価取引の実態があいまいで用途も使い道にあった品質・性状管理が施されていない案件の取り扱いについて、環境省は改良汚泥を有価物ではなく産廃に位置付けてよいとの見解を示した。千葉県からの疑義に7月18日付けの環廃産第406号通知で回答したもの。 ◇紙パックR設備を増強
サンペーパー(山梨県西八代郡)は、工場損紙などアルミ箔を使用した紙パックのリサイクル設備を増強する。現在の生産能力年間8500トンを1万トンに引き上げる方針。 ◇建設汚泥再生材から人工砂
建設汚泥の再生利用事業を進める、蓮井建設(本社・香川県高松市)は、再生利用品の高付加価値化を目的とし、グループ会社の日新興産に「水熱固化設備(オートクレーブ)」を導入、人工砂の製造を開始した。 ◇性能表示を各社共通に
食品リサイクル法施行後、松下電工など生ごみ処理機を扱うメーカー5社が「食品リサイクル機器連絡協議会」を組織し、昨年8月から農水省を交えて処理機の性能表示基準統一や業界団体の設立に向けた準備を進めてきたが、最終的な調整が遅れており、統一基準案の策定と25社前後の参加を想定している設立準備総会の開催は、9月上旬以降にずれ込むもようだ。 ◇窒素で廃棄物を還元分解
脱塩ビ配管システムの製作・販売・施工を手掛けるジュネス(新潟市、熊倉幸雄社長)は、窒素雰囲気下で廃棄物を還元熱分解させ、炭化物を得るとともに副産物として油を取ることも可能な窒素封入廃棄物処理装置を開発、感染性廃棄物や使用済み製品の処理向けで本格販売を始めた。装置は全体を開閉扉でボックス状に4分割したバッチ式で、それぞれ1-3次の加熱と冷却を担っている。 ◇処理業3社が共同で環境ビジネス展開
広島環境研究所(広島市、大濱正歴代表取締役)は、環境関連事業を本格化する。分析装置の充実を図って環境分析に力を入れているほか、新規事業開拓で広島県からの補助を得るなどしており「今年度はまだ準備期間だが、売り上げ1億円は確保したい」としている。 ◇白磁再生製品を本格販売
大有田焼振興協同組合(佐賀県有田町)は、窯元、商社、窯業、商社窯業センターなどと協力して、白磁再生製品「エコポーセリン21」を開発、本格販売を開始した。 ◇6社で微量PCB検出
経済産業省を通じて社日本電機工業会が行った調査によると、重電機器メーカー25社のうち6社が製造した変圧器などから微量のPCBが検出された事例があったことが7月12日、明らかになった。これらの変圧器などはPCBを絶縁油として使用していないものだが、変圧器の一部については微量のPCB混入の可能性を完全に否定できないこともわかった。 ◇2002NEW環境展・大阪会場特集号
今回で8回目を迎える「2002NEW環境展・大阪会場」は、9月4日(水)から7日(土)までの期間、インテクッス大阪(大阪市住之江区)1.2.3号館の3館で開催される。動員計画も約7万人を予定、関西発の環境ビジネスの盛り上がりと期待を象徴する展示会となった。
8月5日号ダイジェスト
11月にも部会で最終取りまとめ/区分等、論点の軸変えも一案
可燃ごみをセメント工場の原燃料に
まずは1000トン/月体制へ
肥料の本格販売も開始
福岡県内の組合に設置/高純度スラグを回収へ
1日50万個、回収率50%に
モデルプラント建設に着手
品質表示基準で市場も活性に
溶融炉と管理型など
8月19日号ダイジェスト
2003年1月から受け入れ開始
過去最高の売上30億円
分別解体の新たな課題に/先月、埼玉県内で実験解体
油を分解する微生物発見
乳酸発酵システムを実用化
東北の産業の中心地として/発生抑制・資源化を推進
廃油や汚泥の処理も構想
飯塚原宿シカゴ専務が理事長に
大阪エリアで月数百台
8月26日号ダイジェスト
建汚で千葉県疑義に回答
生産能力年間1万トンに
水熱固化設備を完成
9月にも統一基準案/食リ連絡協議会が策定へ
無酸素、副産物で油も/感染廃、廃製品向けに本格販売
環境測定や新規開拓に力
強度向上し価格20%減
変圧器等の絶縁油調査で
214社・758小間、過去最大規模開催
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