|
|||||
厚生事務次官から各都道府県知事・政令市市長あて 廃棄物の処理及び清掃に関する法律の一部を改正する法律(平成9年法律第85号)は、平成9年6月18日に公布されたところであるが、廃棄物の処理及び清掃に関する法律の一部を改正する法律の施行期日を定める政令(平成9年政令第352号)によって、平成9年12月17日(改正規定の一部については平成10年6月17日又は平成10年12月1日)から施行することとされた。その改正の趣旨及び内容は下記のとおりであるので、了知のうえ、関係者に周知徹底を図るとともに、その施行に万全を期せられたく命により通知する。 記 第1 改正の趣旨 我が国においては、経済成長や国民生活の向上等に伴い、廃棄物が大量に排出される一方で、廃棄物の減量や再生利用は必ずしも十分に進んでいない状況にある。 他方、廃棄物を適正に処理するために必要な最終処分場等の廃棄物処理施設については、近年の廃棄物処理に対する住民の不安や不信感の高まりを背景として、その設置や運営をめぐる紛争が多発し、その確保がますます困難となっており、このような傾向が続けば、将来、廃棄物の適正な処理に支障を来しかねない深刻な状況にある。また、産業廃棄物の不法投棄が跡を絶たず、その解決が強く求められている。 こうした状況を踏まえ、廃棄物の減量化・再生利用の推進、廃棄物処理施設に係る規制の見直し及び不法投棄対策を柱とする総合的な対策を講じ、廃棄物の適正処理の確保に向けた対策の積極的な推進を図ることとしたものである。 第2 改正の内容 1 廃棄物の減量及び再生利用 (1) 多量排出事業者の処理計画における減量の視点の明確化 多量に産業廃棄物を排出する事業者が作成する処理計画については、廃棄物の減量の視点を明確化すること。 (2) 廃棄物の再生利用に係る認定 一定の廃棄物の再生利用について、その内容が生活環境の保全上支障がない等の一定の基準に適合していることについて厚生大臣が認定する制度を設け、認定を受けた者については、業及び施設設置の許可を不要とすること。ただし、廃棄物処理基準等の規定については、これを適用するものとすること。 2 廃棄物処理施設の設置に関する事項 (1) 生活環境影響調査書の添付等 廃棄物処理施設の設置の許可の申請者は、当該施設の設置が周辺地域の生活環境に及ぼす影響を調査し、施設の設置に関する計画及び維持管理に関する計画等が記載された許可申請書に、当該調査の結果を添付するものとすること。 (2) 申請書等の告示・縦覧、関係市町村の意見聴取等 都道府県知事は、政令で定める廃棄物処理施設について設置の許可の申請があった場合には、許可申請書及び生活環境影響調査書を告示・縦覧するとともに、関係市町村長等の生活環境保全上の見地からの意見を聴取する手続を設けること。 なお、市町村の設置する一般廃棄物処理施設については、政令で定める事項につき条例で定めるところにより、届出に先立って告示・縦覧し、利害関係者に意見書提出の機会を付与するものとすること。 (3) 許可要件の追加 施設の設置に関する計画及び維持管理に関する計画が周辺地域の生活環境の保全について適正な配慮がなされたものであることを、新たに許可の要件とすること。 (4) 専門的知識を有する者の意見聴取 都道府県知事は、(2)の政令で定める廃棄物処理施設の許可に当たっては、あらかじめ(3)の許可要件について、専門的知識を有する者の意見を聴かなければならないものとすること。 3 廃棄物処理施設の維持管理に関する事項 (1) 維持管理義務 廃棄物処理施設の設置者は、国が定める技術上の基準とともに、申請書に自ら記載した維持管理に関する計画に従い、維持管理をしなければならないものとすること。 (2) 廃棄物処理施設の維持管理に関する記録の作成及び閲覧 2(2)の政令で定める廃棄物処理施設の設置者は、厚生省令で定めるところにより、施設の維持管理状況を記録するとともに、利害関係者の求めに応じ閲覧させなければならないものとすること。 (3) 維持管理積立金 厚生省令で定める最終処分場の設置者は、埋立終了後に必要となる維持管理費用を埋立期間中に環境事業団に積み立てるものとし、埋立終了後は必要な額を取り戻して適正な維持管理を行うものとすること。 (4) 最終処分場の廃止の確認 最終処分場の設置者は、あらかじめ最終処分場の状況が国が定める技術上の基準に適合していることについて都道府県知事の確認を受けたときに限り、当該最終処分場を廃止できるものとすること。 4 廃棄物処理業者に関する事項 (1) 廃棄物処理業の欠格要件の追加 処理業の欠格要件として、暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律(平成3年法律第77号)の違反者等を追加するとともに、欠格要件に係る役員の範囲として相談役、顧問等の名称にかかわらず実質的な支配力を有していると認められる者を含むものとすること。 (2) 名義貸しの禁止 廃棄物処理業者の名義貸しを禁止すること。 5 産業廃棄物管理票制度に関する事項 (1) 産業廃棄物管理票制度の適用範囲 従前の特別管理産業廃棄物管理票制度の適用範囲を、すべての産業廃棄物に拡大し、産業廃棄物管理票制度とすること。 (2) 電子情報処理組織の使用 事業者は、管理票に代えて、電子情報処理組織を使用して、委託した廃棄物の処理の終了を確認することができるものとし、この情報の中継等を行う情報処理センターを、全国を通じて1個に限り指定する制度を設けること。 6 生活環境の保全上の支障の除去等に関する事項 (1) 措置命令の対象の拡大 廃棄物が不適正に処理された場合に行う措置命令の対象範囲を、産業廃棄物管理票を交付しなかった者等に拡大すること。 (2) 生活環境の保全上の支障の除去等の措置 都道府県知事等が自ら生活環境の保全上の支障の除去又は発生の防止のために必要な措置を講ずることができるものとすること。また、その場合に、原因者に対しその費用の負担を求める際の手続等を定めること。 7 産業廃棄物適正処理推進センターに関する事項 (1) 産業廃棄物適正処理推進センターの指定 事業者による産業廃棄物の適正な処理の確保を図るための自主的な活動を推進する民法法人(産業廃棄物適正処理推進センター)を、全国を通じて1個に限り指定する制度を設けること。 (2) 産業廃棄物適正処理推進センターによる協力 産業廃棄物適正処理推進センターに事業者等の出えんによる基金を設け、投棄者不明等の場合に生活環境の保全上の支障の除去等を行う都道府県に対して、資金の出えん等の協力を行うものとすること。 8 罰則の強化 産業廃棄物の不法投棄に対する罰則を3年以下の懲役若しくは1,000万円以下の罰金又はこの併科(法人の代表者等が不法投棄を行った場合には、さらに法人に対し1億円の罰金)に引き上げるとともに、無許可営業や措置命令違反等に対する罰則を引き上げ、受託禁止違反に対する罰則を新設し、いずれも3年以下の懲役若しくは1,000万円以下の罰金又はこの併科とするなど、罰則を強化すること。 9 情報交換の促進等 国は、都道府県知事が行う産業廃棄物に係る事務が円滑に実施されるように、国と都道府県及び都道府県相互間の情報交換を促進するとともに、事務の実施状況に応じて必要な措置を講ずることに努めるものとすること。 10 施行期日等 (1) 施行期日 この法律は以下のとおり施行するものとすること。 1、4、8及び9に掲げる事項 平成9年12月17日から施行 2、3、6(2)及び7に掲げる事項 平成10年6月17日から施行 5及び6(1)に掲げる事項 平成10年12月1日から施行 (2) 経過措置 施行前に廃棄物処理業の許可の申請をした者の許可の基準については、なお従前の例によること。 施設の設置及び維持管理に関する改正事項は、施行後に許可の申請をした者から適用すること。ただし、維持管理に係る記録及び閲覧並びに最終処分場の廃止の確認は、施行前に許可を受けた者及び許可の申請をした者についても適用すること。 |
|||||
|