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(各都道府県知事・各政令市長あて厚生省生活衛生局水道環境部長通知) 廃棄物の処理及び清掃に関する法律及び産業廃棄物の処理に係る特定施設の整備の促進に関する法律の一部を改正する法律(平成一二年法律第一〇五号)は、本年六月二日に公布されたところであり、また、これに伴い廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行令等の一部を改正する政令(平成一二年政令第二四三号)は同日に、廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行令等の一部を改正する政令(平成一二年政令第三九一号)は本年七月二四日に、廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行規則の一部を改正する省令(平成一二年厚生省令第一〇一号)は本年六月一三日に、廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行規則等の一部を改正する省令(平成一二年厚生省令第一一五号)は本年八月一八日に、それぞれ公布されたところである。 これらの改正の趣旨及び内容は左記のとおりであるので、その運用に当たっては十分に留意の上、遺憾なきを期されたい。 記 第一 改正の趣旨 我が国においては、いわゆる循環型社会を実現するため、廃棄物の減量化を促進し、安全で適正に廃棄物を処理することができるような体制を整備することが大きな課題とされている一方、廃棄物を取り巻く状況としては、適正に処理するために必要な施設の整備が進まず、悪質な不法投棄等の不適正処分が増大するなど深刻な状況となっている。 このような状況を踏まえ、廃棄物について適正な処理体制を整備し、不適正な処分を防止するため、国における基本方針の策定、都道府県における廃棄物処理計画の策定、廃棄物処理センターにおける廃棄物の処理の推進、産業廃棄物管理票制度の見直し、廃棄物の焼却の禁止、支障の除去等の命令の強化等の措置を講ずるとともに、周辺の公共施設等の整備と連携して産業廃棄物の処理施設の整備を促進することとしたものである。 第二 改正の内容 一 国の基本方針に関する事項 循環型社会を実現する上で廃棄物の減量化は喫緊の課題とされており、国としても減量化の目標量を決定し、その達成に向けて一体となった施策の推進を行うこととしているところであるが、このような廃棄物の減量化を促進し、安全で適正に廃棄物を処理する施設を整備するなどの重要な政策課題について、国がどのような方針で施策を行うかを明確にし、その責務を十分に果たすことが必要とされていることから、環境大臣は、廃棄物の排出の抑制、再生利用等による廃棄物の減量その他その適正な処理に関する施策の総合的かつ計画的な推進を図るための基本的な方針を定めなければならないとし、廃棄物の処理に関する国の基本方針を定めるものとしたこと。 二 都道府県廃棄物処理計画に関する事項 これまで、都道府県は、区域内の産業廃棄物の処理に関する計画を定めているところであるが、廃棄物の減量及び適正処理に関する施策を総合的かつ計画的に推進するためには、国が定める一般廃棄物及び産業廃棄物を通じた廃棄物全般に関する施策の基本的な方針に即して都道府県が計画を策定し、実施することが必要とされることから、都道府県は、国の基本方針に即し、区域内における廃棄物の減量その他その適正な処理に関する計画を定めなければならないものとしたこと。 また、国及び都道府県は、この計画の達成に必要な措置を講ずるように努めるものとし、計画の達成を通じて、廃棄物の減量及び適正処理を推進するものとしたこと。 三 廃棄物処理業の許可等の要件に関する事項 (一) 廃棄物処理業の許可の取消し等の要件の追加 廃棄物処理業者が関与する悪質な不法投棄等の事例が後を絶たないことから、他人に対して違反行為をすることを要求し、依頼し、若しくは唆し、若しくは他人が違反行為をすることを助けたときを許可の取消し等の要件に追加したこと。 (二) 産業廃棄物処理業の許可の欠格要件の追加 産業廃棄物処理業には、暴力団が介入している実態があることから、これを排除するため、暴力団員、暴力団員でなくなった日から五年を経過しない者、暴力団員が事業活動を支配する法人等を産業廃棄物処理業の欠格要件に追加したこと。 また、都道府県知事が許可又は取消処分を行う際には、これらの欠格要件を的確に把握するため、警視総監又は道府県警察本部長に意見聴取を行うなどの手続を定めたこと。 四 廃棄物処理施設の設置に係る許可の要件に関する事項 (一) 廃棄物処理施設の設置者が倒産するなどして、適正な維持管理が行われなくなることなどを防止するため、申請者の能力が設置計画及び維持管理計画に従って施設の設置及び維持管理を的確に、かつ継続して行うに足りるものとして基準に適合するものであることなどを許可の要件に追加したこと。 (二) 学校、病院等の周辺に廃棄物処理施設を設置する場合においては、その施設の利用者の特性を踏まえた適正な配慮が求められるものの、「周辺地域の生活環境の保全についての適正な配慮」というこれまでの要件では、「周辺の施設」への配慮が求められるものか必ずしも明らかでなかったことから、「周辺地域の生活環境の保全」に加えて、「周辺の施設」についても適正な配慮がなされるものであることを許可の要件として明確化したこと。 (三) 多数の焼却施設が著しく集中することが社会的に問題となったことなども踏まえ、焼却施設の過度の集中によって、大気環境基準の確保が困難となると認めるときは、設置の許可をしないことができるものとしたこと。 五 廃棄物処理施設の譲受けの許可等に関する事項 廃棄物処理施設の譲受け等については、譲り受けた者等は設置者の地位を承継し、事後に届出を行うものとされていたところ、今回の改正において施設の設置許可の要件に申請者の能力等を追加したことに伴い、施設を譲り受け、又は借り受けようとする者は、都道府県知事の許可を受けなければならないものとし、また、施設の設置者たる法人の合併にあっては都道府県知事の認可を受けなければならないものとしたこと。 六 都道府県の行う産業廃棄物の処理に関する事項 都道府県は、区域内における産業廃棄物の適正処理を確保するために必要であると認めるときは、生活環境の保全及び公衆衛生の向上を図る観点から、産業廃棄物の処理をその事務として行うことができるものと明確化したこと。 七 多量排出事業者の処理計画の策定に関する事項 多量に産業廃棄物を生ずる事業場を設置している事業者に対しては、これまで都道府県知事が個別に処理計画の作成を指示してきたところであるが、これらの事業者は、産業廃棄物の減量その他その処理に関する計画を作成して都道府県知事に提出し、さらに計画の実施状況を報告しなければならないものとしたこと。また、都道府県知事は、計画及びその実施状況について公表するものとしたこと。 八 産業廃棄物管理票制度に関する事項 産業廃棄物管理票制度は、事業者は産業廃棄物の処理を委託する際に、処理業者に産業廃棄物管理票(以下「管理票」という。)を交付し、処理終了後に処理業者からその旨を記載した管理票の写しの送付を受けることにより、委託内容どおりに廃棄物が処理されたことを確認することで、適正な処理を確保する制度であるが、これまでの制度では、事業者が産業廃棄物の中間処理を委託した場合にあっては、中間処理の終了しか確認できない仕組みになっており、最終処分までの適正な処理を確保する事業者の処理責任が徹底されていない問題があったことから、事業者が最終処分の終了した旨の記載がされた管理票の写しの送付を受けることにより、最終処分の終了を確認させることなどを目的として、次のとおり制度を強化したこと。 (一) 最終処分業者は、中間処理業者に送付している管理票の写しに、最終処分の終了した旨を記載することとし、中間処理業者は、最終処分の終了した旨を記載した管理票の写しを事業者へ送付すること。 (二) 事業者は、最終処分の終了した旨を記載した管理票の写しの送付がないときに、状況把握及び適切な措置を講ずること。 九 廃棄物処理センター制度に関する事項 (一) 公的関与により産業廃棄物処理施設を整備する仕組みである廃棄物処理センター制度の利用を促進するため、指定の対象をこれまでの公益法人から、株式会社等を含む地方公共団体の出資等に係る法人及び民間資金等の活用による公共施設等の整備等の促進に関する法律(平成一一年法律第一一七号)による選定事業者に拡大するなどの改正を行ったこと。 (二) 事業者は、その事業活動に伴って生じた産業廃棄物を自ら適正に処理しなければならないとする責任があり、これを処理するための施設の整備も事業者においてなされるべきところ、廃棄物処理に対する住民の不安や不信感の高まりなどを背景に産業廃棄物処理施設の設置をめぐる問題が多発するなどして、必要な施設の確保が困難となっており、また、このことが不法投棄等の不適正処分をもたらすという悪循環を生じているのが現状である。この不適正処分に係る規制強化としては、一一のとおり、事業者の責任を大幅に強化する措置を講じたところであるが、一方で、産業廃棄物の適正処理に必要な施設の整備がなされない場合には、生活環境の保全に支障が生ずることはもとより、経済活動の維持が困難になることも予想されるなど、公的関与による施設の整備を図る必要性が高いことから、都道府県廃棄物処理計画において十分に検討の上、積極的に本制度を利用し、産業廃棄物の適正処理の確保に努められたいこと。 一〇 廃棄物の焼却の禁止に関する事項 (一) 廃棄物処理基準に違反して野外で廃棄物を焼却する行為が急増しており、取締りの一層の強化が求められているところ、これまでの行政処分によっては、処理基準の適用されない無許可業者に改善命令を行うことができないこと、命令に従い一旦は焼却を中止するものの、また新たな場所で焼却を始めることなど取締りの実効が上がらない問題があったことから、一定の例外を除いて廃棄物を焼却することを禁止し、罰則の対象としたこと。 (二) 焼却禁止の例外としては、処理基準に従って行う焼却、他の法令又はこれに基づく処分により行う焼却及び公益上若しくは社会の慣習上やむを得ないもの又は周辺地域の生活環境に与える影響が軽微であるものとして政令で定める焼却を定め、この政令で定める焼却としては、国又は地方公共団体がその施設の管理を行うために必要な廃棄物の焼却、震災等の災害の予防、応急対策又は復旧のために必要な廃棄物の焼却、風俗慣習上又は宗教上の行事を行うために必要な廃棄物の焼却、農業、林業又は漁業を営むためにやむを得ないものとして行われる廃棄物の焼却及びたき火その他日常生活を営む上で通常行われる廃棄物の焼却であって軽微なものを定めたこと。 一一 不適正処分に係る措置命令に関する事項 (一) 事業者はその事業活動に伴って生じた産業廃棄物を自ら適正に処理しなければならないとする排出事業者の処理責任の原則が規定されているところ、この原則は、自ら処理するか又は他人に処理を委託するかにかかわらず、最終的に適正に処分が終了するまでその責任が徹底されるべきことを趣旨としており、今回の改正において、事業者は他人に産業廃棄物の処理を委託する場合には、最終処分が終了するまでの一連の処理の行程における処理が適正に行われるために必要な措置を講ずるように努めなければならないものとして、この処理責任の原則を明確化する注意義務を定めたこと。 (二) また、悪質な不法投棄は後を絶たないものの、実際に原状回復されるものは少なく、投棄者不明や資力不足などにより結果として公費負担を余儀なくされる状況にあり、地域住民の産業廃棄物処理に対する不信感、不安感を生ずることとなっていることから、今回の改正において、排出事業者の処理責任の原則を徹底し、産業廃棄物の適正処理を確保するため、次のとおり措置命令を強化したこと。 不法投棄をめぐっては、斡旋するブローカーや不法投棄を知りつつ土地を提供する土地所有者など、複数の行為者が関与して組織的に行われる事案などが増加しており、悪質化、巧妙化が進んでいるものの、これまでの措置命令の対象においては、対象者が投棄者又は投棄者に直接処理を委託した者であって委託基準に違反した者若しくは管理票を交付しなかった者等に限られており、これらの者に対して命令を行うことができない問題があったことから、今回の改正において、不適正処分された産業廃棄物の発生から処分に至る一連の処理の行程において管理票に係る義務に違反した者、不適正処分等に関与した者を措置命令の対象者に追加したこと。 排出事業者の処理責任の原則により、産業廃棄物の適正処理を確保するため、事業者が管理票に係る義務等に違反しない場合においても、一定の要件の下に事業者を措置命令の対象としたこと。具体的には、不適正処分を行った者等に資力がないときであって、かつ、適正な処理料金を負担していないとき、不適正処分が行われることを知り、又は知ることができたときなど注意義務に照らして事業者に支障の除去等の措置を採らせることが適当であると認められるときに、事業者が措置命令の対象となるものであること。 一二 罰則に関する事項 不法投棄、無許可営業、無許可業者に対する委託基準違反、無確認輸出等の罰則を大幅に強化するとともに、廃棄物の焼却禁止、管理票の不交付等についての罰則を新設した趣旨を踏まえ、法令違反に関する情報を入手したときは都道府県警察に対して速やかに情報提供を行うとともに、積極的に告発を行うなど法令違反に対しては厳正に対処すること。また、捜査に必要があるため、都道府県警察から協力を要請されたときは、これに対して積極的に協力すること。 一三 産業廃棄物の処理に係る特定施設の整備の促進に関する法律の一部改正に関する事項 (一) 産業廃棄物処理施設のうち、焼却施設、安定型最終処分場、管理型最終処分場、遮断型最終処分場及び建設廃棄物処理施設と共同利用施設等から構成される一群の施設を特定施設に追加したこと。 (二) 特定施設の周辺地域における公共施設の整備と連携して、産業廃棄物の処理施設の立地を促進するため、特定施設の整備に伴い生活環境の保全を図るため公共施設の整備を図ることが適当と認められる地区を特定周辺整備地区に指定できるものとしたこと。 |
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