法令

>

告示

>

廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行規則の一部改正について
(昭和56年6月22日)



本則


(各都道府県・各政令市一般廃棄物主管部(局)長あて厚生省環境衛生局水道環境部環境整備課長通知)
 廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行規則の一部を改正する省令(昭和五六年厚生省令第三九号。以下「改正省令」という。)は、昭和五六年五月三〇日に別添のとおり公布され、昭和五六年六月一日から施行された。ついては、左記事項に留意の上、その運用に遺憾なきを期されたく通知する。

一 改正の趣旨
  今回の改正は、建築基準法施行令の一部を改正する政令(昭和五五年政令第一九六号)により建築基準法施行令(昭和二五年政令第三三八号)第三二条に規定するし尿浄化槽の性能に関する基準が改正されたこと、及び昭和五五年建設省告示第一二九二号(以下「新告示」という。)により建築基準法施行令第三二条の規定に基づくし尿浄化槽の構造が指定され昭和四四年建設省告示第一七二六号(以下「旧告示」という。)が廃止されたことに伴い、廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行規則(昭和四六年厚生省令第三五号。以下「規則」という。)第四条の二第三項に定めるし尿浄化槽の維持管理基準及び規則第七条に定めるし尿浄化槽の清掃基準について、放流水の水質基準を強化し、新たに加わつた方式のし尿浄化槽に関する規定を追加する等所要の改正を行つたものである。
  なお、昭和五六年六月一日に現に設置され又は設置中の、旧告示で指定された構造のし尿浄化槽(以下「旧構造浄化槽」という。)の維持管理及び清掃については、改正省令附則第二項により従来どおりの基準が適用されるものであるので、この旨十分留意されたい。
  なお、新告示で指定された構造のし尿浄化槽(以下「新構造浄化槽」という。)及び旧構造浄化槽にそれぞれ適用される項目は別表のとおりとなる。
二〜六〔昭和四六年一〇月二五日付け環整第四五号通知の改正文〕
  略


本則別表


 略



(一) 新構造浄化槽及び旧構造浄化槽に共通して適用される項目
維持管理基準
1 し尿浄化槽の正常な機能を維持するため、定期的に槽及び附属機器の機能の状態を点検すること。
2 し尿浄化槽内に生じた汚でい等は、当該施設の正常な機能が阻害されないように速やかに除去すること。
3 ばつ気装置にあつては、散気装置が目づまりしないようにし、機械かくはん装置に異物等が付着しないようにすること。
4 駆動装置及びポンプ設備にあつては、常時作動させること。
5 散水ろ床の装置にあつては、ろ床に均等な散水が行われ、かつ、ろ床に嫌気性変化が生じないようにすること。
6 地下浸透方式の施設にあつては、腐敗槽の水位が高まる等の異常を認めた場合には、浸透土壌の嫌気性変化の有無を点検し、速やかに必要な措置を講ずること。
7 吸着剤、凝集剤、水素イオン濃度調整剤その他の薬剤を使用する場合には、その供給量を適度に調節すること。
8 殺虫剤、洗剤、防臭剤、衛生用品等によりし尿浄化槽の機能が妨げられないようにすること。
9 し尿浄化槽の清掃に当たつては、第七条の規定の例によること。
10 放流水(地下浸透方式からの流出水を除く。)は、環境衛生上の支障が生じないように消毒すること。
11 処理対象人員五〇〇人以下の施設にあつては、その維持管理について一年以内ごとに一回、定期的に、地方公共団体の機関又は厚生大臣の指定する者の検査を受けること。
12 前各号のほか、し尿浄化槽の正常な機能を維持するため、必要に応じ専門的知識、技能及び相当の経験を有する者による点検を受ける等の措置を講じること。
13 施設の維持管理に関する点検、検査その他の措置の記録を作成し、三年間保存すること。
清掃基準
1 清掃は、し尿浄化槽の機能の状態に関する点検に基づいて行うこと。
2 し尿浄化槽の点検及び清掃の記録を二部作成し、一部をし尿浄化槽の管理者に交付し、一部を自ら三年間保存すること。

(二) 新構造浄化槽のみに適用される項目
維持管理基準
1 スカムの生成、汚でいの堆積及びスクリーンの目づまり並びに生物膜の生成の状況を点検し、並びに放流水の水質試験及びばつ気室又はばつ気槽の混合液の汚でい沈でん試験を行い、清掃の時期を的確に判定すること。
2 インバートます、接続管、沈でん室又は沈でん槽の越流ぜき及び排水口等に異物等が付着しないようにし、及びスクリーンが閉塞しないようにすること。
3 流量調整槽にあつては、ポンプ作動水位及び計量装置の調節を行い、汚水を安定して移送できるようにすること。
4 接触ばつ気室又は接触ばつ気槽にあつては、溶存酸素量を適正に保持し、かつ、死水域が生じないようにすること。
5 ばつ気室又はばつ気槽にあつては、溶存酸素量及び混合液浮遊物質濃度を適正に保持すること。
6 回転板接触装置にあつては、常時、適正な円周速度で作動させること。
7 悪臭並びに騒音及び振動により周囲の生活環境を損なわないようにし、及び、か、はえ等の発生の防止に努めること。
8 放流水の生物化学的酸素要求量の日間平均値は、一リットルにつき、処理対象人員五〇人以下の施設にあつては九〇ミリグラム以下、処理対象人員五一人以上五〇〇人以下の施設にあつては六〇ミリグラム以下、処理対象人員五〇一人以上の施設にあつては三〇ミリグラム以下とすること。ただし、生活環境保全上又は利水上支障を生じるおそれがない水域に放流する場合には、一リットルにつき、処理対象人員五一人以上五〇〇人以下の施設にあつては九〇ミリグラムまで、処理対象人員五〇一人以上二〇〇〇人以下の施設にあつては六〇ミリグラムまで、動植物の生育環境に支障を生ずるおそれがない水域に放流する場合には、一二〇ミリグラムまでは差し支えないものとする。
9 地下浸透方式の施設にあつては、流出水に含まれる浮遊物質量の日間平均値は一リットルにつき二五〇ミリグラム以下とすること。
清掃基準
1 沈でん分離室、腐敗室及び汚でい貯留槽の汚でい等の引出しは、全量とすること。
2 汚でい濃縮貯留槽の汚でい等の引出しは、脱離液を流量調整槽又はばつ気槽に移送した後の全量とすること。
3 沈でん分離槽の汚でい等の引出しは、適正量とすること。
4 ばつ気室の汚でい等の引出しは、張り水後のばつ気室の混合液の三〇分間汚でい沈でん率が、おおむね一〇%以上一五%以下になるように行うこと。
5 散水ろ床の装置にあつては、ろ床の生物膜の機能を阻害しないように洗浄すること。
6 スクリーンにあつては、付着物及び沈でん物等を除去し、洗浄すること。
7 単独処理の施設にあつては、洗浄に使用した水は、室内の張り水として使用すること。

(三) 旧構造浄化槽のみに適用される項目
維持管理基準
1 スカムの生成及び汚でいの堆積状況を点検し、並びに放流水の水質試験及びばつ気室又はばつ気タンクの混合液の汚でい沈でん試験を行い、清掃の時期を的確に判定すること。
2 インバートます、接続管、沈でん室、沈でん池の越流ぜき及び排水口等に異物等が付着しないようにすること。
3 活性汚でい方式の流量調整タンクを有する合併処理の施設にあつては、ばつ気タンクに汚水が均等に流入するようにすること。
4 活性汚でい方式の施設にあつては、ばつ気室又はばつ気タンクの混合液の溶存酸素量及び混合液浮遊物質濃度を適正に保持すること。
5 平面酸化床の装置にあつては、流水部に均等に流水し、かつ、異物等が付着しないようにすること。
6 地下砂ろ過の装置にあたつては、放流水が異常な臭気を発散する等の異常を認めた場合には、ろ過層の嫌気性変化の有無等を点検し、速やかに必要な措置を講ずること。
7 悪臭が周囲に発散しないように必要な措置を講じ、及び、か、はえ等の発生の防止に努めること。
8 放流水の生物化学的酸素要求量の日間平均値は、処理対象人員一〇〇人以下の施設にあつては九〇ppm以下、処理対象人員一〇一人以上五〇〇人以下の施設にあつては六〇ppm以下、処理対象人員五〇一人以上の施設にあつては三〇ppm以下とすること。ただし、生活環境の保全上又は利水上支障を生じるおそれがない水域に放流する場合には、処理対象人員一〇一人以上五〇〇人以下の施設にあつては九〇ppmまで、処理対象人員五〇一人以上二〇〇〇人以下の施設にあつては六〇ppmまで、動植物の生育環境に支障を生ずるおそれがない水域に放流する場合には、一二〇ppmまでは差し支えないものとする。
9 地下浸透方式の施設にあつては、流出水に含まれる浮遊物質量の日間平均値は二五〇ppm以下とすること。
清掃基準
1 腐敗タンク方式の施設の一次処理装置及び二次処理装置のうち単純ばつ気装置の汚でい等の引出しは、全量とすること。
2 二階タンクを有する合併処理の施設の汚でい等の引出しは、槽底から適正量を引き出すこと。
3 活性汚でい方式の単独処理の施設のうち、沈でん分離タンクの汚でい等の引出しは、全量とし、ばつ気室の汚でい等の引出しは、張り水後のばつ気室の混合液の三〇分間汚でい沈でん率が、おおむね一〇%以上一五%以下になるように行うこと。
4 活性汚でい方式の汚でい貯留タンクのない合併処理の施設の汚でい等の引出しは、ばつ気タンクの混合液浮遊物質濃度が所定の濃度を保つように行うこと。
5 散水ろ床の装置及び平面酸化床の装置にあつては、ろ床の生物膜の機能を阻害しないように洗浄すること。
6 腐敗タンク方式及び活性汚でい方式の単独処理の施設にあつては、洗浄に使用した水は、槽内の張り水として使用すること。

 (注) 維持管理基準及び清掃基準における単位装置の名称は構造基準の例によるものである。したがつて、たとえば、新構造浄化槽では沈でん分離室、ばつ気室等は単独処理の場合に、沈でん分離槽、ばつ気槽等は合併処理の場合にそれぞれ用いている。