法令

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告示

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廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行規則の一部改正について
(平成10年11月30日)



本則





厚生省生活衛生局水道環境部環境整備課長から各都道府県・政令市廃棄物行政主管部(局)長あて
 廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行規則の一部を改正する省令(平成10年厚生省令第93号。以下「改正省令」という。)が平成10年11月30日に公布され、平成10年12月1日から施行される。ついては、左記事項に留意の上、その運用に遺漏のないようにされたい。

1 改正の趣旨
  既に平成9年9月30日衛環第251号により通知したとおり、廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行規則(昭和46年厚生省令第35号。以下「規則」という。)第4条の5第1項第2号に規定するごみ焼却施設に係る維持管理基準のうち、同号ニに掲げる焼却灰の熱しゃく減量に関する基準(産業廃棄物焼却施設については、規則第12条の7第5項に基づき同様の基準が適用される)は、完全燃焼が達成されているか否かの指標として定めたものである。これは、廃棄物焼却施設への廃棄物の投入が、当該施設の処理能力を超える過負荷投入の状態となった場合、ダイオキシン類が生成しやすい不完全燃焼が生じ、焼却灰の熱しゃく減量が高くなることから、焼却灰の熱しゃく減量を一定基準以下となるよう焼却することを義務づけることにより、過負荷投入による不完全燃焼を防止することを目的としたものである。
  しかしながら、焼却灰の熱しゃく減量が10%の基準値を超える場合であっても、必ずしもこれが過負荷投入による不完全燃焼の指標とはならない場合があるため、こうした例外的な場合について、焼却灰の熱しゃく減量に関する基準を適用除外とすることとしたものであること。
2 改正の内容
  焼却灰の熱しゃく減量が10%の基準値を超える場合であっても、必ずしもこれが過負荷投入による不完全燃焼の指標とはならない例外的な場合とは、焼却灰を焼却灰のまま使用するために当該焼却灰の熱しゃく減量を高くする必要がある場合であること。
  例えば、木くずなどを焼却して炭化物とし、多孔質、吸着活性等の炭化物の特性を活かして木炭、土地改良材等に使用する場合であり、通常、こうした炭化物の熱しゃく減量は10%を超えるが、良質の炭化物を得るためには、適切な燃焼管理の下で焼却する必要があることから、たとえ焼却灰の熱しゃく減量が10%を超えていても、必ずしもこれが過負荷投入に起因するものではないと考えられる。
  このため、改正省令による改正後の規則第4条の5第1項第2号ニにおいて、木炭等に利用される焼却灰が、生活環境の保全上問題のないものとして使用される場合の焼却行為に限り、「熱しゃく減量10%以下」という維持管理基準の適用を除外することとしたものであること。
3 その他
  焼却灰の熱しゃく減量の測定については、平成2年衛環第22号の別紙2に示した方法により行うこととしたところであるが、この測定法は、焼却灰中の未燃焼有機物の割合を示すことを目的とし、炭酸塩などの無機物の分解による影響を排除するように定めていることから、廃棄物に燃焼速度が極めて遅く通常の燃焼で燃焼しきることが困難な無機物が大量に含まれている場合には、熱しゃく減量の測定において、その影響を控除しても差し支えないこと。
  例えば、廃タイヤ等には、ゴムの強度を高めるためにカーボンブラック(無定形炭素)が含まれているが、このカーボンブラックは、融点が3,000℃以上の化学的に極めて安定な無機物であり、通常これが焼却灰中の未燃物として大量に残存することから、廃棄物に占める廃タイヤ等の割合が大きいほど焼却灰の熱しゃく減量は高くなる傾向にある。したがって、廃棄物に廃タイヤ等が含まれることにより、焼却灰の熱しゃく減量が10%の基準値を超える場合には、熱しゃく減量の測定において、カーボンブラックによる影響を控除しても差し支えない。なお、焼却灰中のカーボンブラックの含有量については、日本工業規格K6350に規定するゴム製品分析方法のカーボンブラックの定量等により廃タイヤ等に含まれるカーボンブラック量を把握し、これを基に控除するものとすること。