昨今の環境問題は、地域的な問題から地球温暖化など、空間的・時間的な広がりをもった問題にまで拡大しています。いずれも1人ひとりの日常の行動や通常の企業活動に起因していることはいうまでもなく、不特定多数の原因者が同時にその影響を受ける側にもなる状況にあるほか、発生メカニズムも複雑・多様化しています。
地球温暖化防止に向けては、環境基本法に基づく環境基本計画の見直しを行い、温室効果ガスの排出削減に関わる具体策としてエネルギーの面的利用や省エネのほか、交通システムの効率化などを促進すること、また、温暖化対策と両輪となる循環型社会の構築に向けては、3R(リデュース、リユース、リサイクル)を基本に、廃棄物やバイオマスを利用した熱回収、発電などが掲げられており、それらの動向に注目が集まりそうです。
「自然の叡智」というテーマのもと、地球が抱えるさまざまな課題の解決に貢献し、自然の仕組みと調和した新しい文明を構築することを目指して開催された「愛・地球博」の開催から1年。開催地となった愛知県をはじめとする中部地域でも足元の対策、企業活動が活発化しています。
静岡県では、リサイクル製品の利用推進を図ることで、廃棄物の減量と再利用を促進し、リサイクル社会の構築を目指した「リサイクル製品認定制度」を2006年度から創設。これにより、中部地域が揃ってリサイクル市場の拡大を後押しする体制が整いました。愛知県では、あいちエコタウンプランに基づき、先導的なリサイクル施設の整備を行う一方、循環ビジネスの事業化を支援するため、産官学の協働拠点となる「あいち資源循環推進センター」を設立し、ハードのみならずソフト面の強化を図っています。岐阜県の「ぎふ地球環境大学養成講座」に見られるように、ソフト面の充実は、実践者の共通理解、ネットワークやデータベースの構築などにつながる環境教育の分野にも広がりを見せはじめ、三重県が実施する「日本環境経営大賞」が“環境文化の創造”という視点を加えたことからも、環境への取り組み、環境産業が“クリエイティブな取り組み・産業”へと大きく進展していることを窺わせます。
2005年2月に発効された京都議定書の第一期(2008年〜2012年)を直前に、1990年比6%のCO2削減を目標にした取り組みも待ったなしとなりました。環境と両立した企業経営と、環境ビジネスにも変化が問われています。
地球温暖化防止や循環型社会を実現するための最先端テクノロジーを紹介する「NEW環境展名古屋会場」もまた、地域が本来持つ特性に下支えされた活動をさらに、企業らのビジネスチャンスの道すじとするための大きな原動力になるものと確信しています。廃棄物対策、環境修復、浄化、グリーン購入、地球温暖化防止対策、エネルギー、大気、水、土壌関係などの幅広い環境技術の展示を通じ、中部地域経済における産業振興の一助となるよう、努めて参ります。
地域発信の新たな“創事業”のきっかけとして、同展を是非ご活用くださいますよう、企業、団体、大学等のご参加を何卒よろしくお願い申し上げます。 |